不動産業・物品賃貸業(仲介・管理・リース・レンタル)の産業医|営業職のメンタルヘルス、管理員の一人勤務・熱中症、倉庫のフォークリフト作業の健康管理を産業医が解説

「営業は土日も出勤で、休みがとりにくい」「マンションの管理員さんは年齢が高く、一人で勤務している」「レンタル品の倉庫で、重い物の運搬やフォークリフトの作業がある」――不動産会社やリース・レンタル会社の人事・総務の方から、こうしたご相談をいただきます。
不動産業・物品賃貸業には、不動産の売買・仲介、賃貸住宅やビル・マンションの管理、リース、レンタカー、建設機械やイベント用品のレンタルなどが含まれます。京都市で常用雇用者50人以上の事業所は32、30〜49人の事業所は34あります(総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1))。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、この業種の産業医の選任と、職場ごとの健康管理のポイントを解説します。

1. 本社・営業所・管理事務所ごとに50人以上で産業医が必要
産業医の選任義務は、会社全体ではなく、本社・営業所・物流センターなどの事業場ごとに、パート・アルバイトや派遣スタッフを含めて常時50人以上かどうかで判断します(パート・アルバイトが多い職場の産業医/派遣社員の健康管理は派遣元と派遣先のどちら?)。
- マンションやビルに少人数で勤務する管理員・清掃員は、規模が小さく独立性のない現場であれば、それを管理する営業所などと一括して数えます(昭和47年9月18日 発基第91号)。
- 50人以上の事業場では、産業医と衛生管理者の選任、衛生委員会の毎月の開催、ストレスチェックが必要です(産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)。
- 10〜49人の営業所では、衛生推進者などを選びます(安全衛生推進者・衛生推進者とは)。
2. 営業職のメンタルヘルスと長時間労働

厚生労働省の調査では、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した人や退職した人がいた事業所の割合は、全産業で13.5%、不動産業・物品賃貸業では14.9%でした(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」)。
| 項目 | 全産業 | 不動産業,物品賃貸業 |
|---|---|---|
| 休業または退職した人がいた事業所 | 13.5% | 14.9% |
| うち、連続1か月以上休業した人がいた | 10.8% | 12.5% |
| うち、退職した人がいた | 6.5% | 8.3% |
不動産の営業では、成約の目標、土日・夜の接客、入居者やオーナーからの苦情対応などが重なり、休みがとりにくくなることがあります。産業医には、次のようなことを相談できます。
- 時間外・休日労働が月80時間を超えた人の面接指導(長時間労働者の面接指導の流れ)
- ストレスチェックの集団分析で、負担の大きい店舗・部署を見つける(高ストレス者の面接指導)
- 入居者やお客さまからの理不尽な要求・暴言への対策と、被害を受けた社員の面談(カスタマーハラスメント対策の義務化)
- 休職させるかどうかの判断と、復職の判断(社員を休職させるべきかの判断/主治医の「復職可」だけで復帰させていいのか)
3. 建物の管理・清掃・点検の仕事の健康管理
マンションやビルの管理では、年齢の高い管理員が一人で勤務していることが多く、清掃・ごみ出し・設備の点検による転倒や腰痛、夏の熱中症に注意が必要です。令和7年の職場の熱中症の死傷者は全国で1,803人と、統計のある2005年以降で最も多くなりました(厚生労働省「令和7年 職場における熱中症の発生状況(確定値)等について」)。
- 熱中症を起こすおそれのある作業の報告体制と対応手順を決め、管理員にも周知する(職場の熱中症対策の義務化)
- 一人で勤務する人の体調急変に備え、連絡の方法と、連絡がないときの確認の流れを決めておく
- 健康診断の結果をふまえて、脚立を使う作業や重い物の運搬への配慮を産業医が意見する
- 高年齢の従業員の働きやすい職場づくりには、厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)」も参考になります
清掃や点検の仕事の注意点は、ビルメンテナンス・清掃・警備業の産業医でも解説しています。
4. リース・レンタル会社の倉庫・整備の仕事の健康管理
| 仕事の例 | 主な健康の課題 | 産業医に頼めること |
|---|---|---|
| 建設機械・イベント用品の倉庫 | 重い物の運搬、フォークリフト、夏の暑さ・冬の寒さ | 腰痛予防の助言(職場における腰痛予防対策指針)、熱中症対策、職場巡視(産業医の職場巡視とは) |
| レンタカーの洗車・点検 | 屋外での作業、立ち仕事、洗剤 | 暑さ指数に応じた作業の調整、洗剤のSDSの確認(化学物質の自律的管理) |
| 事務・営業(契約管理など) | 長時間の画面作業、目の疲れ・肩こり | 作業時間と休憩の助言(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号)) |
フォークリフトの運転には、最大荷重1トン以上は技能講習の修了、1トン未満は特別教育が必要です(特別教育とは)。安全の教育と健康管理をあわせて、衛生委員会で確認しておくと安心です。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
京都・大阪・滋賀・奈良の不動産会社・リース会社の事業場を訪問し、営業職のメンタルヘルス不調や長時間労働の面接指導、管理員・倉庫スタッフの健康管理に対応しています。紹介会社の中間手数料がかからない直接契約と、ストレスチェックや健康管理のWeb化(DX)によって、料金をできるだけ抑えています。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「社員を休職させるべきか」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
業種別の産業医のコラム
よくある質問
不動産会社の店舗ごとに産業医が必要ですか?
店舗・営業所ごとに、パートや派遣スタッフを含めて常時50人以上なら必要です。50人未満の店舗には選任義務はありませんが、10〜49人なら衛生推進者などを選びます。
マンションの管理員は、どこの人数に数えますか?
少人数で、一つの事業場といえるほどの独立性がない勤務先であれば、その管理員を管理する営業所などと一括して数えます。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。
不動産業はメンタルヘルス不調が多いのですか?
厚生労働省の令和7年の調査では、メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所の割合は、全産業の13.5%に対し、不動産業・物品賃貸業は14.9%でした。
一人で勤務する管理員の健康管理で気をつけることは?
体調が急に悪くなったときの連絡方法を決め、連絡がないときに確認する流れをつくっておきます。夏は熱中症対策の手順を周知し、健康診断の結果に応じて作業の内容にも配慮します。
レンタル品の倉庫でフォークリフトを使う場合、何が必要ですか?
最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転には技能講習の修了、1トン未満には特別教育が必要です。あわせて、重い物の運搬による腰痛や、倉庫の暑さ・寒さへの対策も確認します。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 労働安全衛生法(第13条 産業医等)(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(第36条 特別教育)(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
- 厚生労働省「令和7年 職場における熱中症の発生状況(確定値)等について」
- 厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)」
- 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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