高ストレス者の面接指導の流れ|対象・申出・医師の意見・就業上の措置・記録まで8ステップと、申出しない人へのフォローを産業医が解説

ストレスチェックで「高ストレス」と判定された社員から、医師の面接指導を受けたいと申出があったとき、会社は何をすればよいのでしょうか。この記事では、ストレスチェックの実施者も務める京都の嘱託産業医が、高ストレス者の面接指導の対象、申出から就業上の措置・記録までの流れ、申出しない人へのフォローを、条文にもとづいて解説します。
結論:申出があれば遅滞なく医師の面接指導。申出を理由とする不利益な取扱いは禁止
- 対象は、ストレスチェックの結果心理的な負担の程度が高く、面接指導が必要と実施者(医師・保健師など)が認めた人です(労働安全衛生規則第52条の15)。
- 本人から申出があったら、会社は遅滞なく医師の面接指導を行います(同規則第52条の16)。目安はおおむね1か月以内です。
- 面接指導の申出をしたことを理由に、解雇や配置転換などの不利益な取扱いをすることは禁止されています(労働安全衛生法第66条の10第3項)。
- 面接指導の後は、遅滞なく医師の意見を聴いて就業上の措置を決め、記録を5年間保存します。
面接指導の流れ(8ステップ)
| ステップ | やること | 期限・ポイント | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 結果の通知 | 実施者が本人に結果を通知し、高ストレス者には面接指導の申出方法を案内する | 結果は本人の同意なく会社に渡さない | 労働安全衛生規則第52条の12 |
| 2 申出の勧奨 | 実施者が、面接指導が必要な人に申出を勧める | 勧奨は実施者から本人に直接行う | 同規則第52条の16第3項 |
| 3 本人の申出 | 本人が会社の窓口に面接指導を申し出る | 結果の通知を受けた後、遅滞なく(目安はおおむね1か月以内) | 同規則第52条の16第1項 |
| 4 結果の確認 | 申出をした人が高ストレス者の要件に当たるか、実施者に確認する | 厚生労働省の指針では、申出をもって結果の提供に同意したものとして扱ってよいとされている | 労働安全衛生法第66条の10 |
| 5 面接指導の実施 | 医師が、勤務の状況、心理的な負担の状況、その他の心身の状況を確認する | 申出後、遅滞なく(目安はおおむね1か月以内) | 同規則第52条の16第2項・第52条の17 |
| 6 医師の意見聴取 | 就業上の措置が必要か、医師から意見を聴く | 面接指導の後、遅滞なく | 同規則第52条の19 |
| 7 就業上の措置 | 労働時間の短縮、業務内容や作業場所の変更、休業などを検討する | 本人の意見を聴き、上司には必要な配慮だけを伝える | 労働安全衛生法第66条の10第6項 |
| 8 記録の保存 | 面接指導の結果と医師の意見を記録する | 5年間保存 | 同規則第52条の18 |
面接指導で医師が確認すること
- 勤務の状況:労働時間、業務の量と内容、職場の人間関係、最近の変化(異動・昇進など)
- 心理的な負担の状況:ストレスチェックの結果(ストレスの原因、心身の反応、周囲のサポート)、睡眠、気分の落ち込みや不安
- その他の心身の状況:体の症状、持病や通院の状況、生活習慣
面接の前に、会社から医師へ、本人の勤務時間の推移、業務内容、職場で把握している状況を共有しておくと、職場で実行できる具体的な措置につなげやすくなります。必要に応じて、医師から医療機関の受診を勧めることもあります。
申出しない高ストレス者へのフォロー
高ストレスと判定されても、「会社に知られたくない」「評価に響くのでは」と申出をためらう人は少なくありません。面接指導の申出は強制できませんが、次のような受け皿を用意しておくことが大切です。
- 実施者(産業医・保健師)による、面接指導とは別の相談の機会(会社に結果を知らせない形の相談)
- 社内外の相談窓口の周知(電話・メール・オンライン)
- セルフケアの情報提供(睡眠、休養、相談先の案内)
- 集団分析の結果をもとにした職場環境の改善(ストレスチェックの集団分析と職場改善の活かし方)
よくある運用のつまずき
- 申出の窓口が人事部長など人事権のある人だけで、申出しにくい
- 本人の同意なく、上司が高ストレスの結果を知っている
- 面接指導は行ったが、医師の意見にもとづく措置をとっていない
- 面接指導の結果を人事評価に使ってしまう
ストレスチェックの実施体制(実施者と実施事務従事者)はストレスチェックの実施者は誰がなれる?、50人未満の事業場の義務化(2028年4月)はストレスチェック50人未満の義務化で解説しています。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「高ストレス者の面接指導をどう進めればよいか」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
当事務所の産業医が実施者を務める「ストレスチェックWeb」では、高ストレス者から面接指導の申出があると、実施事務従事者と実施者である産業医に通知が届きます。面接指導の前には、本人にAIによる自動問診を受けていただくため、産業医が状況を把握したうえで面談でき、より実のある配慮につながる相談ができる環境です(契約企業は追加費用なし。ストレスチェックWebのみのご利用は1回22,000円・税込)。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
高ストレス者の面接指導は誰が対象ですか?
ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高く、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた人で、本人が申し出た場合に対象になります(労働安全衛生規則第52条の15・第52条の16)。
高ストレス者が面接指導を申し出なかったらどうすればよいですか?
面接指導の申出は強制できません。実施者による相談の機会や社内外の相談窓口を案内し、集団分析にもとづく職場環境の改善を進めます。
面接指導を申し出ると、会社に結果が知られますか?
面接指導を行うために、会社は申出者が対象者に当たるかを確認します。厚生労働省の指針では、申出をもって結果の提供に同意したものとして扱ってよいとされています。申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されています。
面接指導の記録は何年保存しますか?
面接指導の結果と医師の意見を記録し、5年間保存します(労働安全衛生規則第52条の18)。
まとめ
高ストレス者の面接指導は、実施者の勧奨、本人の申出、医師の面接指導、意見聴取、就業上の措置、記録の保存という流れで進めます。申出しやすい窓口と、申出しない人のための相談の受け皿を用意し、集団分析による職場改善とあわせて取り組みましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- こころの耳(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 労働者健康安全機構「産業保健とは」(産業保健総合支援センター・地域産業保健センター)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
産業医面談の基本:産業医面談とは|対象者と種類・流れ・話す内容・守秘義務/オンライン産業医とは|Web面談でできること・実地が必要なこと
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
あわせて読みたい

