産業医の契約書で確認すべき12項目|業務範囲・訪問頻度・追加費用・解約条項とトラブルになりやすい条項を産業医が解説

産業医の契約書で確認すべき12項目|業務範囲・訪問頻度・追加費用・解約条項とトラブルになりやすい条項を産業医が解説(うえまつ産業医事務所)
産業医の契約書では、業務の範囲・訪問頻度・追加費用・契約の相手方を必ず確認します。

産業医と契約するとき、契約書のどこを確認すればよいのでしょうか。月額の報酬だけを見て契約すると、「臨時の面談は別料金だった」「巡視が2か月に1回になっていた」「紹介会社から医師に再委託されていた」といったトラブルにつながります。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、産業医の契約書で確認すべき12項目を、労働安全衛生法の定めとあわせて解説します。契約の流れや直接契約の進め方は産業医と直接契約する方法をご覧ください。

4コマ漫画:安い産業医契約を見つけて喜んだ総務部長が、半年後に休職者の面談が別料金だと知って驚く。めーくんが「契約前に、業務の範囲と追加費用を確認します」と説明し、総務部長は業務の範囲・訪問頻度・追加費用・契約の相手方の4つを確認する。

結論:業務の範囲・訪問頻度・追加費用・契約の相手方の4点を必ず確認する

  • 業務の範囲:健康診断後の意見、長時間労働者・高ストレス者の面接指導、復職判定、意見書の作成など、法律上の職務が含まれているか。
  • 訪問頻度:職場巡視は原則毎月1回。2か月に1回にするには、法令の条件を満たしているか(労働安全衛生規則第15条)。
  • 追加費用:臨時の面談、意見書、交通費、ストレスチェックが月額に含まれるか、別料金か。
  • 契約の相手方:医師(産業医事務所)と直接契約か、紹介会社と契約して医師に再委託される形か。

産業医の契約書で確認すべき12項目

1コマ漫画:ホワイトボードの「契約書でここを見る」(業務の範囲:面接指導・復職判定・意見書、追加費用:臨時の面談・交通費、契約の相手方:医師に直接連絡できるか)を前に、月額に何が入っているのかと聞く人事担当に、めーくんが「面談や意見書が含まれるか確認します」と説明。
項目確認するポイント
1契約の当事者医師本人または医師が所属する産業医事務所か。紹介会社の場合、医師への再委託の有無と、医師に直接連絡できるか
2契約の形態産業医業務は一般に準委任契約。業務の進め方を誰が決めるか(医師の専門的判断が尊重されるか)
3業務の範囲労働安全衛生規則第14条第1項の職務(健康診断・面接指導・ストレスチェック・作業環境と作業の管理・健康教育・衛生教育・健康障害の原因調査など)が含まれているか
4訪問の頻度と時間毎月か2か月に1回か、1回あたりの時間。2か月に1回の場合は、衛生管理者の巡視結果などの情報提供と事業者の同意という条件を満たしているか
5衛生委員会への出席産業医は衛生委員会の委員。出席の頻度と、欠席時の意見の伝え方
6報酬と追加費用月額に含まれる業務と、別料金になる業務(臨時の面談、意見書、交通費、ストレスチェック、研修など)の一覧
7緊急時・臨時の対応休職者や長時間労働者が出たときに、どのくらいの期間で面談や意見をもらえるか。連絡方法(電話・メール・Web面談)
8情報提供会社が産業医に提供する情報(80時間超の労働者の情報、健診結果など)と提供方法(同規則第14条の2)
9秘密保持と健康情報健康情報の取扱い、保管場所、契約終了後の扱い。健康情報等の取扱規程との整合
10産業医の権限と独立性事業者は産業医に職務に必要な権限を与え(同規則第14条の4)、勧告などを理由とする解任その他の不利益な取扱いをしない(同規則第14条第4項)
11契約期間・更新・解約契約期間、自動更新の有無、解約の予告期間。後任への引継ぎ方法
12記録と報告巡視記録、面談記録、意見書の作成者と保存先。選任報告に必要な書類(医師免許・産業医の資格を証する書面の写し)の提供
産業医の契約書で確認すべき12項目

トラブルになりやすい条項

条項よくあるトラブル対策
業務の範囲が「月1回の訪問」だけ休職者の面談や意見書を頼んだら別料金と言われた面接指導、復職判定、意見書が月額に含まれるか明記する
訪問頻度が「2か月に1回」条件を満たさないまま隔月にしていた衛生管理者の巡視結果の提供など、法令の条件を満たす手順を決める
医師の交代条項担当医が予告なく交代した交代の条件と、事前の協議・同意を定める
直接取引の禁止条項(紹介会社)担当医と直接契約に切り替えられない契約前に条項の有無と期間を確認する
解約の予告期間解約したくても数か月先まで解約できない予告期間と、後任への引継ぎ方法を確認する
産業医契約でトラブルになりやすい条項

委任契約は、原則として当事者がいつでも解除できますが(民法第651条)、産業医は選任から交代まで切れ目なく必要なため、予告期間と引継ぎ方法を定めておくのが一般的です。紹介会社との契約の問題点は産業医紹介会社のデメリット・問題点、産業医を交代するときの手順は産業医を変更・交代したいときの手順で解説しています。

契約したら会社がやること

  1. 選任すべき事由が発生した日から14日以内に産業医を選任し、遅滞なく労働基準監督署に選任報告を提出する(産業医選任報告(選任届)の書き方と提出方法)
  2. 産業医の氏名、業務内容、産業医への相談方法を社員に周知する
  3. 80時間を超えた労働者の情報など、産業医への情報提供の手順を決める
  4. 衛生委員会の日程と、巡視の日程を年間で決める

うえまつ産業医事務所にご相談ください

うえまつ産業医事務所は、紹介会社を通さず医師と直接契約します。月額に含まれる業務と別料金の業務を契約前に書面でご説明します。

  • 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
  • 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
  • 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
  • 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)

事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。

よくある質問

産業医の契約書で一番確認すべき点は何ですか?

業務の範囲、訪問頻度、追加費用、契約の相手方の4点です。特に、長時間労働者・高ストレス者の面接指導、復職判定、意見書の作成が月額に含まれるか、別料金かを確認してください。

産業医との契約は業務委託契約ですか?

産業医業務は、医師の専門的判断にもとづいて事務を行う準委任契約として結ばれるのが一般的です。業務の進め方について、医師の専門的判断が尊重されることが大切です。

産業医の訪問は2か月に1回でもよいですか?

職場巡視は原則毎月1回です。事業者から衛生管理者の巡視結果などの情報提供を毎月受け、事業者の同意を得ている場合に限り、2か月に1回とすることができます(労働安全衛生規則第15条)。

産業医との契約はいつでも解約できますか?

委任契約は原則として当事者がいつでも解除できますが、産業医は切れ目なく選任しておく必要があるため、予告期間と後任への引継ぎ方法を契約書で定めておくのが一般的です。

まとめ

産業医の契約書では、業務の範囲、訪問頻度、追加費用、契約の相手方を必ず確認しましょう。法律上の職務が含まれているか、臨時の面談や意見書が別料金にならないか、医師に直接相談できるかを契約前に確かめておくことが、トラブルを防ぐいちばんの近道です。

参考:公的機関の資料

この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

この記事を書いた人

上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。

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うえまつ産業医事務所 所長
上松 弘典
産業医・労働衛生コンサルタント
総合内科専門医
博士(社会健康医学)
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