派遣社員の健康管理は派遣元と派遣先のどちら?健康診断・ストレスチェック・面接指導・産業医選任の分担を産業医が解説

派遣社員を受け入れている会社から、「派遣社員の健康診断は誰がするのか」「ストレスチェックや長時間労働の面接指導はどちらの責任か」という質問をよくいただきます。労働安全衛生法の義務は、原則として雇用主である派遣元が負いますが、労働者派遣法第45条により、職場を管理する派遣先が責任を負う項目もあります。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、派遣元と派遣先の分担を一覧で整理します。
結論:雇用に関わる健康管理は派遣元、職場と作業に関わるものは派遣先
- 一般健康診断(雇入れ時・定期)、長時間労働者の面接指導、ストレスチェック、雇入れ時教育は派遣元が行います。
- 特殊健康診断、特別教育、作業環境測定など作業場の管理に関わる措置は派遣先が行います。
- 衛生管理者・産業医の選任と衛生委員会の設置は両方の義務で、人数の数え方がそれぞれ違います。
- 派遣先は、労働時間や特殊健康診断の結果などを派遣元に伝え、両者で情報をつなぐことが大切です。

派遣元と派遣先の分担一覧

| 項目 | 派遣元 | 派遣先 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 一般健康診断(雇入れ時・定期) | ○ | 医師の意見聴取と就業上の措置も派遣元 | |
| 特殊健康診断(有害業務) | ○ | 派遣先は結果を記録し、結果の写しを派遣元に送付する | |
| 長時間労働者の面接指導 | ○ | 派遣先は、就業日や始業・終業時刻などを派遣元に通知する | |
| ストレスチェック | ○ | 派遣先は、職場の集団分析に派遣社員も含めることが望ましい | |
| 雇入れ時教育 | ○ | 派遣先は作業内容の情報を提供する | |
| 作業内容変更時教育 | ○ | ○ | 派遣先で作業内容が変わるときは派遣先も行う |
| 特別教育(危険・有害業務) | ○ | フォークリフトなど、派遣先の業務に必要な教育 | |
| 衛生管理者・産業医の選任、衛生委員会 | ○ | ○ | 人数の数え方は下の表のとおり |
| 作業環境測定・作業場の設備や環境の管理 | ○ | 熱中症対策など、作業場を管理する派遣先が中心になる |
健診の項目や省略基準は定期健康診断の項目と省略基準、特殊健康診断の対象業務は特殊健康診断とは(対象業務・頻度・報告)で解説しています。
産業医・衛生管理者の選任:人数の数え方
| 数える人数 | 50人以上になったら | |
|---|---|---|
| 派遣元 | 自社で働く社員+派遣している社員 | 派遣元として産業医・衛生管理者の選任、衛生委員会の設置 |
| 派遣先 | 自社の社員+受け入れている派遣社員 | 派遣先として産業医・衛生管理者の選任、衛生委員会の設置 |
派遣社員を含めると50人を超える事業場は、自社の社員だけでは50人未満でも、産業医の選任が必要になる場合があります(産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)。
派遣先が気をつけたい3つのこと
- 労働時間の情報を派遣元に伝える:長時間労働者の面接指導は派遣元の義務ですが、実際の労働時間を把握しているのは派遣先です。派遣先管理台帳の就業日や始業・終業時刻を、決められたとおり派遣元に通知します。
- 体調不良に気づいたら派遣元と連携する:派遣先の上司が変化に気づいたら、本人の了解を得て派遣元の担当者に伝え、必要に応じて派遣元の産業医につなぎます(メンタル不調のサインと声のかけ方)。
- 職場の安全衛生は派遣先の責任:熱中症対策、作業環境、危険・有害業務の教育など、作業場に関わることは派遣先が自社の社員と同じように行います(職場の熱中症対策の義務化)。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、派遣元・派遣先それぞれの立場で、健康診断や面接指導の分担の整理、派遣社員を含めた衛生委員会の運営、職場巡視をお手伝いします。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
派遣社員の健康診断は派遣元と派遣先のどちらが行いますか?
一般健康診断(雇入れ時・定期)は派遣元が行います。有害な業務に就く場合の特殊健康診断は派遣先が行い、結果の写しを派遣元に送付します(労働者派遣法第45条)。
派遣社員のストレスチェックは誰が行いますか?
ストレスチェックの実施は派遣元の義務です。派遣先は、職場ごとの集団分析に派遣社員も含めて職場環境の改善に活かすことが望ましいとされています。
派遣社員が長時間労働になったときの面接指導は誰が行いますか?
長時間労働者の面接指導は派遣元が行います。派遣先は、派遣社員の就業日や始業・終業時刻などを派遣元に通知し、派遣元が労働時間を把握できるようにします。
産業医の選任人数に派遣社員は含まれますか?
含まれます。派遣元は自社の社員と派遣している社員を、派遣先は自社の社員と受け入れている派遣社員を数えて、50人以上かどうかを判断します。
まとめ
派遣社員の健康管理は、一般健康診断・長時間労働者の面接指導・ストレスチェックは派遣元、特殊健康診断・特別教育・作業場の管理は派遣先が担います。産業医の選任や衛生委員会は両方の義務です。派遣先は労働時間や健診結果などの情報を派遣元に伝え、両者で切れ目なく健康を守りましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- こころの耳(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 職場における熱中症予防情報(厚生労働省)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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