外国人社員の健康管理|健康診断・ストレスチェック・安全衛生教育を「伝わる」形で行う5つの工夫を産業医が解説

外国人社員を雇う会社が増え、「健康診断やストレスチェックは日本人と同じでよいのか」「日本語が十分でない社員にどう説明すればよいか」という相談が増えています。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、外国人社員の健康管理で会社がやるべきことと、伝わるための工夫を解説します。

結論:法律上の義務は日本人と同じ。違うのは「伝わる方法」の工夫
- 労働安全衛生法は国籍にかかわらず適用されます。健康診断、ストレスチェック、長時間労働者の面接指導、安全衛生教育は日本人と同じように行います。
- 厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、安全衛生教育や健康診断の説明を、本人が理解できる方法で行うよう求めています。
- 母国語の資料、やさしい日本語、図やイラストを組み合わせて、「受ける理由」と「結果の意味」まで伝えます。
- 外国人を雇い入れたとき・離職したときは、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。
日本人と同じく必要な健康管理
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 雇入れ時・定期健康診断 | 対象の条件は日本人と同じ。問診票や結果の説明を理解できる言語で |
| 安全衛生教育(雇入れ時教育など) | 母国語の教材や視聴覚教材を使い、内容を理解できる方法で行う(雇入れ時教育) |
| ストレスチェック | 厚生労働省が外国語版の調査票を公開している。結果の見方も説明する |
| 長時間労働者の面接指導 | 必要に応じて通訳を手配する。通訳者にも守秘を求める |
| 健康保険・労災保険 | 国籍にかかわらず加入・適用。業務中のけがは労災保険の対象 |
伝わるための5つの工夫

- やさしい日本語を使う:一文を短く、専門用語を言い換える(例:「要精密検査」→「病院で もう一度 くわしく 調べて ください」)
- 母国語の資料と図を使う:厚生労働省などが公開している多言語の教材や、写真・イラストを活用する
- 「なぜ受けるか」を伝える:健診や面接指導が本人を守るためのもので、受けても不利益はないことを説明する
- 結果の説明まで行う:結果を渡すだけでなく、受診が必要な人には病院の受け方や費用の目安も伝える
- 相談先を示す:社内の窓口に加え、都道府県労働局などの外国人向けの相談窓口を案内する
文化・宗教への配慮と健康情報の扱い
- 食事の制限や断食の期間、礼拝の時間など、本人の希望を聞いて、健診の日程や休憩の取り方を調整する
- 通訳を社員や家族に頼む場合は、健康情報を知られたくない気持ちに配慮し、本人の同意を得る
- 健康情報は日本人と同じく取扱規程にもとづいて管理する(健康情報の取扱規程の作り方)
派遣社員として受け入れている外国人の健康診断やストレスチェックは、原則として派遣元が行います(派遣社員の健康管理(派遣元・派遣先の分担))。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、外国人社員を含めた健康診断後の就業判定、面接指導、やさしい日本語での説明、職場巡視を毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
外国人社員にも健康診断は必要ですか?
はい。労働安全衛生法は国籍にかかわらず適用されるため、雇入れ時・定期健康診断などは日本人と同じ条件で行います。
外国人社員のストレスチェックはどうすればよいですか?
日本人と同じく実施します。厚生労働省が外国語版の調査票を公開しているので、本人が理解できる言語で受けられるようにし、結果の見方も説明します。
日本語が十分でない社員への安全衛生教育はどうすればよいですか?
厚生労働省の指針では、母国語の教材や視聴覚教材を使うなど、内容を理解できる方法で行うことが求められています。やさしい日本語や図も活用します。
外国人を雇ったときに必要な届出はありますか?
外国人を雇い入れたときと離職したときは、ハローワークに外国人雇用状況の届出を行います。
まとめ
外国人社員の健康管理は、法律上の義務は日本人と同じです。違いは「伝わる方法」で、母国語の資料ややさしい日本語、図を使い、受ける理由と結果の意味まで説明することが大切です。文化や宗教への配慮と健康情報の適切な管理もあわせて進めましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- こころの耳(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 労働者派遣法(e-Gov法令検索)
- 個人情報保護法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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