定期健康診断結果報告の出し方|50人以上の義務・報告する項目・電子申請・よくある記入ミスを産業医が解説

定期健康診断結果報告の出し方|50人以上の義務・報告する項目・電子申請・よくある記入ミスを産業医が解説(うえまつ産業医事務所)
常時50人以上の事業場は、定期健康診断の結果を遅滞なく労働基準監督署に報告します。

従業員が50人以上の事業場では、定期健康診断を行ったら、結果を労働基準監督署に報告しなければなりません。2025年1月からは電子申請が原則になり、「どこから出すのか」「何を書くのか」と迷う人事・総務の方も多いと思います。この記事では、京都で嘱託産業医として健診後の就業判定を担当している筆者が、定期健康診断結果報告の対象、報告する項目、提出の時期と方法、よくある記入ミスを、条文にもとづいて解説します。

結論:50人以上の事業場は、定期健診を行ったら遅滞なく電子申請で報告する

  • 常時50人以上の労働者を使用する事業場は、定期健康診断を行ったら遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します(労働安全衛生規則第52条第1項)。
  • 2025年1月から、報告は電子申請(e-Gov)が原則になりました。
  • 50人未満の事業場は、定期健康診断の結果報告は不要です。ただし、特殊健康診断や歯科医師による健康診断は、規模にかかわらず報告が必要です。
  • 報告をしなかったり、うその報告をしたりすると、50万円以下の罰金の対象になります(労働安全衛生法第100条・第120条)。

報告が必要な健康診断

健康診断報告が必要な事業場根拠
定期健康診断(一般)常時50人以上労働安全衛生規則第52条第1項
特定業務従事者の健康診断(深夜業など)常時50人以上同上
歯科医師による健康診断(酸などを扱う業務)規模を問わない同規則第52条第2項
特殊健康診断(有機溶剤・特定化学物質など)規模を問わない各規則(特殊健康診断)
ストレスチェック常時50人以上(2028年4月から50人未満も実施義務)同規則第52条の21(50人未満の義務化)
労働基準監督署への報告が必要な健康診断

報告する項目

定期健康診断結果報告では、次の項目を報告します(労働安全衛生規則第52条第1項)。

  1. 労働保険番号
  2. 事業の種類、事業場の名称・所在地・電話番号
  3. 常時使用する労働者の数
  4. 報告の対象となる期間、その年の報告の回数、健康診断の実施年月日
  5. 健康診断を行った機関の名称と所在地
  6. 健康診断を受けた労働者の数と、深夜業などの特定業務に常時従事する労働者の数
  7. 聴力・胸部エックス線・血圧・貧血・肝機能・血中脂質・血糖・尿・心電図などの項目ごとの受診者数と有所見者数
  8. いずれかの項目で有所見となった労働者の数と、医師の指示のあった労働者の数
  9. 産業医の氏名、所属機関の名称と所在地
  10. 報告年月日と、事業者の職氏名

健診の項目と、年齢などで省略できる検査は定期健康診断の項目と省略基準で解説しています。

提出の時期と方法

  • 時期:健康診断を行った後、遅滞なく。誕生月ごとなど受診の時期が分かれる会社は、一定の期間ごとにまとめて報告できます(報告の対象期間と回数を記載します)。
  • 提出先:事業場を管轄する労働基準監督署長。
  • 方法:e-Govの電子申請で「定期健康診断結果報告」を選び、入力して送信します。e-Govのアカウント(またはGビズID)を事前に用意しておきます。電子申請が難しい場合の扱いは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
  • 産業医の欄:産業医の氏名と所属機関を入力します。産業医に結果を確認してもらってから提出すると、記入ミスを防げます。

よくある記入ミス

ミス正しい書き方
受診者数に、未受診の人や退職者を含めている実際に健康診断を受けた人数を書く
有所見者数を、項目ごとの合計で書いている「いずれかの項目で有所見となった労働者の数」は人数で書く(1人が複数項目で有所見でも1人)
医師の指示人数を0にしている要再検査・要精密検査・要治療など、医師から指示のあった人数を書く
産業医の欄が空欄選任している産業医の氏名と所属機関を書く
特殊健康診断の報告を忘れている50人未満でも、特殊健康診断は別の様式で報告する
定期健康診断結果報告でよくあるミス

報告して終わりではない:健診後にやること

労働基準監督署への報告は、健診後の義務のひとつにすぎません。異常の所見がある人について、健診から3か月以内に医師の意見を聴き、必要な就業上の措置を決めることが大切です(健康診断後の医師の意見聴取(就業判定))。要再検査の人が受診しない場合の対応は「要再検査」に社員が行かないときの対応で解説しています。

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よくある質問

定期健康診断結果報告は何人以上で必要ですか?

常時50人以上の労働者を使用する事業場で必要です(労働安全衛生規則第52条第1項)。50人未満の事業場は不要ですが、特殊健康診断や歯科医師による健康診断は規模にかかわらず報告が必要です。

定期健康診断結果報告はいつまでに出しますか?

健康診断を行った後、遅滞なく報告します。受診の時期が分かれる会社は、一定の期間ごとにまとめて報告できます。

定期健康診断結果報告は紙で出せますか?

2025年1月から電子申請(e-Gov)が原則になりました。電子申請が難しい場合の扱いは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

定期健康診断結果報告を出さないとどうなりますか?

労働安全衛生法第100条にもとづく報告義務の違反として、50万円以下の罰金の対象になります(同法第120条)。

まとめ

常時50人以上の事業場は、定期健康診断を行ったら遅滞なく、電子申請で労働基準監督署に結果を報告します。受診者数、項目ごとの有所見者数、医師の指示人数、産業医の氏名などを正しく記入し、報告とあわせて健診後の医師の意見聴取と就業上の措置まで進めましょう。

参考:公的機関の資料

この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

この記事を書いた人

上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。

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上松 弘典
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