労働者死傷病報告の出し方|休業4日以上・4日未満の期限、電子申請、労災が起きたときの会社の対応を産業医が解説

社員が仕事中にけがをして休んだとき、会社は労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を出さなければなりません。2025年1月からは電子申請が原則になりました。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、労災が起きたときに会社がやることの流れと、労働者死傷病報告の出し方を、条文にもとづいて解説します。
結論:休業4日以上は遅滞なく、4日未満は3か月ごとに電子申請で報告
- 労働災害などで社員が死亡または休業したときは、所轄の労働基準監督署長に報告します(労働安全衛生規則第97条)。
- 休業4日以上(死亡を含む)は遅滞なく、休業4日未満は1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月ごとに、それぞれの期間の最後の月の翌月末日までに報告します。
- 報告は電子申請(e-Gov)が原則です。
- 報告をしなかったり、うその報告をしたりすると、いわゆる労災かくしとして50万円以下の罰金の対象になります(労働安全衛生法第100条・第120条)。
労災が起きたときに会社がやることの流れ
- 救護と緊急対応:けが人の救護を最優先にし、必要なら119番に連絡する
- 状況の記録:発生日時、場所、作業内容、原因を記録し、写真を残す
- 家族への連絡:入院や重いけがの場合は、速やかに家族に連絡する
- 労災保険の手続き:療養(補償)給付などの請求を本人と一緒に進める。休業の最初の3日間は、会社が平均賃金の60%以上の休業補償を行う(労働基準法第76条)
- 労働者死傷病報告:休業日数に応じて期限までに電子申請で報告する
- 原因調査と再発防止:衛生委員会(安全委員会)で原因と対策を審議し、職場に周知する
労働者死傷病報告の主な報告事項
- 労働保険番号、事業の種類、事業場の名称・所在地・電話番号、常時使用する労働者の数
- 被災した社員の氏名、生年月日、年齢、性別、職種、その職種での経験期間、傷病名と部位
- 休業見込期間(または死亡日時)
- 外国人の場合は国籍・地域と在留資格の区分
- 派遣社員の場合は、派遣元・派遣先のどちらにあたるか
- 発生日時、発生場所、発生状況と略図、原因
派遣社員が被災した場合は、派遣先と派遣元の両方が報告します(派遣社員の健康管理)。
よくある疑問
| ケース | 報告が必要か |
|---|---|
| 通勤中のけが(通勤災害) | 労働者死傷病報告の対象ではない(労災保険の通勤災害の手続きは行う) |
| 仕事中の熱中症で休業した | 対象になる(熱中症対策の義務化) |
| 休業はせず、通院だけだった | 休業がなければ労働者死傷病報告は不要(労災保険の療養給付の手続きは行う) |
| パート・アルバイトのけが | 雇用形態にかかわらず対象 |
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、労災が起きたときの再発防止策の検討、衛生委員会での審議、職場巡視での危険箇所の確認、休業した社員の復職判定を、毎月定額の範囲で行います。
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よくある質問
労働者死傷病報告はいつまでに出しますか?
休業4日以上(死亡を含む)の場合は遅滞なく報告します。休業4日未満の場合は、1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月ごとに、それぞれの期間の最後の月の翌月末日までに報告します(労働安全衛生規則第97条)。
労働者死傷病報告は紙で出せますか?
2025年1月から電子申請(e-Gov)が原則になりました。電子申請が難しい場合の扱いは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
通勤中のけがも報告が必要ですか?
通勤災害は労働者死傷病報告の対象ではありません。ただし、労災保険の通勤災害の給付の手続きは行います。
労働者死傷病報告を出さないとどうなりますか?
いわゆる労災かくしとして、労働安全衛生法第100条にもとづく報告義務の違反となり、50万円以下の罰金の対象になります(同法第120条)。
まとめ
労働災害などで社員が死亡・休業したら、休業4日以上は遅滞なく、4日未満は3か月ごとに、電子申請で労働者死傷病報告を出します。救護、記録、労災保険の手続き、再発防止までを一連の流れとして準備しておきましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 職場における熱中症予防情報(厚生労働省)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働者派遣法(e-Gov法令検索)
- 労働者災害補償保険法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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