特別教育とは|対象の主な業務(1トン未満のフォークリフト・低圧電気・フルハーネスなど)、技能講習との違い、記録の保存を産業医が解説

特別教育とは|対象の主な業務(1トン未満のフォークリフト・低圧電気・フルハーネスなど)、技能講習との違い、記録の保存を産業医が解説(うえまつ産業医事務所)
危険・有害な業務につかせる前に特別教育を行い、記録を3年間保存します。

「フォークリフトに乗る社員に、どんな教育が必要?」「特別教育の記録は残している?」。工場や倉庫の安全衛生担当の方からいただく質問です。危険・有害な業務に社員をつかせるときは、雇入れ時教育とは別に特別教育が必要です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、特別教育が必要な主な業務、技能講習・免許との違い、省略できる場合、記録の保存を、条文にもとづいて解説します。

結論:危険・有害な業務につかせる前に特別教育を行い、記録を3年間保存する

  • 事業者は、危険または有害な業務で厚生労働省令で定めるものに社員をつかせるときは、特別教育を行わなければなりません(労働安全衛生法第59条第3項)。
  • 対象は労働安全衛生規則第36条の業務で、1トン未満のフォークリフト、低圧の充電電路の取扱い、アーク溶接、研削といしの取替え、酸素欠乏危険作業、フルハーネス型墜落制止用器具を使う作業などです。
  • 十分な知識・技能がある社員には、その科目を省略できます(同規則第37条)。
  • 受講者・科目などの記録を作成し、3年間保存します(同規則第38条)。違反すると6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(同法第119条)。

特別教育が必要な主な業務

分野主な業務(労働安全衛生規則第36条)
機械・工具研削といしの取替え・試運転、動力プレスの金型の取付け・調整、アーク溶接、産業用ロボットの教示・検査
電気低圧・高圧の充電電路の敷設・修理など、対地電圧50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車の整備
運搬・荷役最大荷重1トン未満のフォークリフト・ショベルローダーの運転、テールゲートリフターの操作、つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転、1トン未満の移動式クレーンの運転、1トン未満のクレーンなどの玉掛け
建設・高所機体重量3トン未満の車両系建設機械の運転、作業床の高さ10メートル未満の高所作業車の運転、足場の組立て・解体、フルハーネス型墜落制止用器具を使う作業、ロープ高所作業
衛生酸素欠乏危険場所での作業、特定粉じん作業、石綿の除去などの作業、エックス線装置の取扱い、廃棄物焼却施設の作業
特別教育が必要な主な業務(約60項目のうち主なもの)

上の表は主なものです。自社の業務が当てはまるかは、労働安全衛生規則第36条の各号で確認してください。教育の科目と時間は、業務ごとに厚生労働省の告示(安全衛生特別教育規程など)で定められています。

技能講習・免許との違い

種類内容例
特別教育事業者が社内または外部機関で行う教育。修了試験は義務ではない最大荷重1トン未満のフォークリフト、1トン未満の玉掛け
技能講習都道府県労働局長の登録を受けた機関が行う講習。修了試験がある最大荷重1トン以上のフォークリフト、1トン以上の玉掛け
免許国家試験などで取得するつり上げ荷重5トン以上のクレーンの運転
特別教育・技能講習・免許の違い

同じ機械でも、大きさによって必要な資格が変わります。「特別教育を受けたからどの機械にも乗れる」わけではない点に注意が必要です。

特別教育の進め方

  1. 対象者を洗い出す:業務ごとに、特別教育が必要な社員の名簿を作ります。派遣社員は、派遣先の業務に応じて派遣先が行います(派遣社員の健康管理)。
  2. 講師と方法を決める:社内で十分な知識・経験のある人が講師になるか、外部の講習機関を利用します。
  3. 学科と実技を行う:定められた科目と時間を満たします。
  4. 記録を残す:受講者、科目、日時、講師などの記録を作成し、3年間保存します。修了証を発行しておくと、配置のときに確認しやすくなります。
  5. 省略するときは根拠を残す:前職で同じ教育を受けた、上位の技能講習を修了しているなど、省略の根拠となる書類を保管します。

雇入れ時教育・職長教育との関係

雇入れ時と作業内容の変更時には、すべての社員に雇入れ時教育が必要です(雇入れ時教育とは)。特別教育は、そのうえで危険・有害な業務につく社員に追加で行うものです。また、製造業などで新たに職長になる人には職長教育が必要です(労働安全衛生法第60条)。教育の年間計画は衛生委員会(安全委員会)で話し合うと、漏れを防げます。

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うえまつ産業医事務所では、労働衛生教育の計画づくりの助言、衛生委員会での教育計画の審議、職場巡視での作業方法や保護具の確認を、毎月定額の範囲で行います。

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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。

よくある質問

特別教育とは何ですか?

危険または有害な業務に社員をつかせるときに、事業者が行わなければならない安全・衛生のための特別の教育です(労働安全衛生法第59条第3項)。対象業務は労働安全衛生規則第36条で定められています。

1トン未満のフォークリフトの運転に必要なのは特別教育ですか?

はい。最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転は特別教育の対象です。1トン以上は技能講習の修了が必要です。

特別教育の記録は何年保存しますか?

受講者、科目などの記録を作成し、3年間保存します(労働安全衛生規則第38条)。

特別教育を省略できるのはどんな場合ですか?

科目の全部または一部について十分な知識と技能を有していると認められる社員は、その科目を省略できます(労働安全衛生規則第37条)。省略の根拠となる書類を保管しておきましょう。

まとめ

危険・有害な業務に社員をつかせる前に特別教育を行い、受講者と科目の記録を3年間保存します。対象業務の洗い出し、技能講習・免許との区別、省略の根拠の保管までを仕組みにして、配置のたびに確認できるようにしておきましょう。

参考:公的機関の資料

この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

この記事を書いた人

上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。

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