じん肺健康診断とは|粉じん作業の社員は3年または1年ごと。じん肺管理区分、会社の措置、毎年の実施状況報告を産業医が解説

「粉じん作業の社員のじん肺健診は、毎年必要?3年ごと?」「管理2と言われたらどうする?」。金属加工、鋳物、窯業、建設、石材などの事業場の担当の方からいただく質問です。じん肺は、粉じんを長く吸い込むことで肺が硬くなる病気で、一度かかると元に戻りません。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、じん肺健康診断の種類と頻度、じん肺管理区分、区分ごとの会社の措置、毎年の報告を、じん肺法にもとづいて解説します。
結論:常時粉じん作業に従事する社員は、管理区分に応じて3年または1年ごとにじん肺健診を行う
- じん肺健康診断は、就業時・定期・定期外・離職時に行います(じん肺法第7条〜第9条の2)。
- 定期の健診は、常時粉じん作業に従事する社員なら管理1は3年以内ごと、管理2・管理3は1年以内ごとです。
- じん肺の所見がある人は、エックス線写真などを都道府県労働局長に提出し、じん肺管理区分が決定されます。
- 毎年12月31日現在の実施状況を、翌年2月末日までに電子申請で報告します(じん肺法施行規則第37条)。
じん肺健康診断の種類と頻度
| 種類 | 対象 | 時期 |
|---|---|---|
| 就業時健康診断 | 新たに常時粉じん作業に従事する社員 | 就業の際(就業前1年以内に管理2・管理3イと決定された人などは除く) |
| 定期健康診断 | 常時粉じん作業に従事する社員 | 管理1:3年以内ごとに1回/管理2・管理3:1年以内ごとに1回 |
| 定期健康診断 | 過去に常時粉じん作業に従事し、いまは粉じん作業以外の作業に常時従事している社員 | 管理2:3年以内ごとに1回/管理3:1年以内ごとに1回 |
| 定期外健康診断 | 一般健康診断でじん肺の所見や疑いがあった人、合併症で1年を超えて休業した人が療養不要となったときなど | 遅滞なく |
| 離職時健康診断 | 一定の期間を超えて使用していた社員で、離職の際に健診を求めた人 | 離職の際 |
検査は、粉じん作業の職歴の調査と胸部エックス線写真を基本に、じん肺の所見がある人には胸部の臨床検査・肺機能検査、必要に応じて結核精密検査などを行います(じん肺法第3条)。
じん肺管理区分
| 管理区分 | じん肺健康診断の結果 |
|---|---|
| 管理1 | じん肺の所見がない |
| 管理2 | エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がない |
| 管理3イ | エックス線写真の像が第2型で、著しい肺機能の障害がない |
| 管理3ロ | エックス線写真の像が第3型または第4型(大陰影が一側の肺野の3分の1以下)で、著しい肺機能の障害がない |
| 管理4 | 第4型(大陰影が一側の肺野の3分の1を超える)、またはじん肺による著しい肺機能の障害がある |
じん肺の所見がないと診断された人は管理1です。所見がある人は、会社がエックス線写真と健診結果を都道府県労働局長に提出し、地方じん肺診査医の診断・審査にもとづいて管理区分が決定されます(じん肺法第12条・第13条)。決定の通知を受けたら、会社は本人に管理区分と留意事項を通知し、その記録を3年間保存します(同法第14条)。
管理区分ごとの会社の措置
| 管理区分 | 会社の措置 |
|---|---|
| 管理2・管理3イ | 粉じんにさらされる程度を減らすため、就業場所の変更、粉じん作業の時間の短縮などに努める(じん肺法第20条の3) |
| 管理3イ | 都道府県労働局長から、粉じん作業以外の作業への転換を勧奨されることがある。勧奨を受けたら、作業の転換に努める(同法第21条) |
| 管理3ロ | 粉じん作業以外の作業に常時従事させるよう努める(同法第21条) |
| 管理4・合併症 | 療養が必要(同法第23条)。業務上の疾病として労災保険の対象になる |
療養が必要になったときの休業の補償は労災の休業補償給付で解説しています。
記録の保存と毎年の報告
- じん肺健康診断の記録とエックス線写真は7年間保存します(じん肺法第17条。健康診断の記録の保存期間)。
- 毎年、12月31日現在のじん肺に関する健康管理の実施状況を、翌年2月末日までに電子申請で報告します(じん肺法施行規則第37条)。
- 粉じん作業の作業場では、作業環境測定(6か月以内ごと)も必要です(作業環境測定とは(対象作業場・頻度・管理区分))。
予防の基本
- 発散源を囲う、局所排気装置を使う、湿らせて粉じんを飛ばさない
- 有効な呼吸用保護具を正しく着用させる(マスクのフィットテスト義務化とは)
- 粉じん作業の特別教育を行う(特別教育とは(対象業務と記録の保存))
- 喫煙はじん肺の肺機能の低下や肺がんのリスクを高めるため、禁煙を支援する
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、粉じん作業のある事業場で、じん肺健康診断の対象者と頻度の整理、結果にもとづく就業上の措置、職場巡視での粉じん対策や保護具の確認、衛生委員会での審議を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
じん肺健康診断はどのくらいの頻度で行いますか?
常時粉じん作業に従事する社員は、じん肺管理区分が管理1なら3年以内ごとに1回、管理2・管理3なら1年以内ごとに1回です(じん肺法第8条)。
じん肺管理区分は誰が決めますか?
じん肺の所見がない人は管理1です。所見がある人は、会社がエックス線写真などを都道府県労働局長に提出し、地方じん肺診査医の診断・審査にもとづいて労働局長が決定します(じん肺法第13条)。
じん肺健康管理実施状況報告はいつ出しますか?
毎年12月31日現在の実施状況を、翌年2月末日までに、電子申請で労働基準監督署を経由して都道府県労働局長に報告します(じん肺法施行規則第37条)。
じん肺健康診断の記録は何年保存しますか?
じん肺健康診断の記録とエックス線写真は7年間保存します(じん肺法第17条)。
まとめ
粉じん作業に常時従事する社員には、就業時と、管理区分に応じて3年または1年ごとにじん肺健康診断を行います。所見があれば労働局長に提出して管理区分の決定を受け、区分に応じてばく露の低減や作業の転換を行います。毎年2月末までの報告と、7年間の記録の保存も忘れないようにしましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 粉じん障害防止規則(e-Gov法令検索)
- じん肺法(e-Gov法令検索)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
あわせて読みたい

