健康診断の記録の保存期間|一般健診は5年、特殊健診は5年・7年・30年・40年。面接指導・ストレスチェック、退職者の記録、電子保存を産業医が解説

「退職した社員の健康診断の結果は、いつまで保管すればいいですか?」「特殊健診の記録は何年?」。書類の整理や健康管理システムの導入を考えるときに、人事・総務の方からよくいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、健康診断・面接指導・ストレスチェックの記録の保存期間を一覧にし、退職者の記録、電子保存、保存期間が過ぎた記録の扱いを解説します。

結論:一般健診は5年、特殊健診は物質により5年・7年・30年・40年
- 定期健康診断などの一般健康診断は、健康診断個人票を作成して5年間保存します(労働安全衛生規則第51条)。
- 長時間労働者・高ストレス者の面接指導の記録、本人の同意を得て会社が受け取ったストレスチェックの結果も5年間です。
- 特殊健康診断は原則5年ですが、じん肺は7年、電離放射線と特別管理物質は30年、石綿は40年と長いものがあります。
- 退職した社員の記録も、保存期間が終わるまで保存します。
記録の保存期間の一覧

| 記録 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般健康診断(雇入れ時、定期、特定業務従事者、海外派遣、給食従業員の検便)の健康診断個人票 | 5年 | 労働安全衛生規則第51条 |
| 深夜業の社員が自ら受けた健康診断(自発的健康診断)の結果 | 5年 | 労働安全衛生規則第51条 |
| 長時間労働者の面接指導の記録 | 5年 | 労働安全衛生規則第52条の6 |
| ストレスチェックの結果(本人の同意を得て会社が提供を受けたもの) | 5年 | 労働安全衛生規則第52条の13 |
| 高ストレス者の面接指導の記録 | 5年 | 労働安全衛生規則第52条の18 |
| 有機溶剤等健康診断個人票 | 5年 | 有機溶剤中毒予防規則第30条 |
| 鉛健康診断個人票 | 5年 | 鉛中毒予防規則第54条 |
| 特定化学物質健康診断個人票 | 5年(特別管理物質を扱う業務に常時従事した人は30年) | 特定化学物質障害予防規則第40条 |
| リスクアセスメント対象物健康診断個人票 | 5年(がん原性物質の場合は30年) | 労働安全衛生規則第577条の2 |
| じん肺健康診断の記録とエックス線写真 | 7年 | じん肺法第17条 |
| 電離放射線健康診断個人票 | 30年(5年保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すことも可) | 電離放射線障害防止規則第57条 |
| 石綿健康診断個人票 | その業務に常時従事しなくなった日から40年 | 石綿障害予防規則第41条 |
特別管理物質や石綿などの記録が長いのは、がんなどの病気が、ばく露してから何十年もたって発症することがあるためです。化学物質の健診は化学物質の自律的管理と特殊健康診断でも解説しています。
ストレスチェックの結果は、本人の同意がなければ会社は受け取れません。同意がない場合の結果は、実施者(医師・保健師など)や実施事務従事者が保存します(ストレスチェックの実施者)。
記録を保存するときの5つのポイント
- 健診機関が保存していても、会社の義務はなくならない:保存の義務は事業者にあります。健診機関から届いた結果をもとに、会社として健康診断個人票を作成・保存します。
- 退職者の記録も保存する:保存期間は退職で終わりません。石綿のように「業務に従事しなくなった日」から数える記録もあるため、起算日も記録しておきます。
- 医師の意見と就業上の措置も残す:健康診断個人票には医師の意見を記入する欄があります。意見を聴いた日、措置の内容もあわせて残すと、後から経緯を説明できます(健診後の医師の意見聴取)。
- 電子データでの保存もできる:法令で保存が求められる記録も、いわゆるe-文書法にもとづく厚生労働省の省令の要件(必要なときにすぐ画面や書面に表示できることなど)を満たせば、電子データで保存できます。
- 見られる人を決めておく:健康情報は要配慮個人情報です。保管場所、閲覧できる人、保存期間が過ぎた記録の廃棄方法を、健康情報の取扱規程に定めます(健康情報の取扱規程の作り方、健康診断の結果は社内の誰が見てよい?)。
健康診断の結果の記録を怠ると、労働安全衛生法第66条の3の違反として、50万円以下の罰金の対象になります(同法第120条)。
保存期間が過ぎた記録の扱い
法令の保存期間が過ぎた記録は、廃棄してかまいません。ただし、廃棄するときはシュレッダーや溶解処理など、第三者が読めない方法で行います。休職・復職の判断や労災の申請など、過去の健康状態の経過を確認する必要が出ることもあるため、保存期間を独自に長く定めている会社もあります。どちらにするかは、取扱規程で決めておきましょう。
よくある疑問
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 会社が費用を出さず、社員が自分で受けた健診の結果を提出した | 定期健康診断の代わりとして提出された結果も、健康診断個人票を作成して5年間保存する |
| 合併・事業譲渡で事業を引き継いだ | 保存期間中の記録をどちらが保存するかを、引き継ぎの際に確認しておく |
| 健康管理システムを乗り換える | 保存期間中の記録を新しいシステムに移すか、旧システムのデータを出力して保存する |
| 産業医が交代した | 記録は会社が保存するもの。新しい産業医に必要な範囲で共有する |
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よくある質問
健康診断の結果は何年保存すればよいですか?
定期健康診断などの一般健康診断は、健康診断個人票を作成して5年間保存します(労働安全衛生規則第51条)。特殊健康診断は原則5年で、じん肺は7年、電離放射線と特別管理物質は30年、石綿は40年です。
退職した社員の健康診断の記録も保存が必要ですか?
必要です。保存期間は退職で終わらないため、保存期間が過ぎるまで保存します。
ストレスチェックの結果は会社が保存しますか?
本人の同意を得て会社が結果の提供を受けた場合は、会社が記録を作成して5年間保存します(労働安全衛生規則第52条の13)。同意がない場合は、実施者などが保存します。
健康診断の記録は電子データで保存してもよいですか?
e-文書法にもとづく厚生労働省の省令の要件(必要なときにすぐ表示できることなど)を満たせば、電子データで保存できます。
まとめ
健康診断の記録は、一般健診なら5年、特殊健診は物質により5年から40年保存します。面接指導やストレスチェックの記録も5年です。退職者の記録も含め、保管場所と閲覧できる人、廃棄の方法を取扱規程に定めておきましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- こころの耳(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 有機溶剤中毒予防規則(e-Gov法令検索)
- 特定化学物質障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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