粉じん障害防止規則とは|粉じん作業と特定粉じん作業、毎日・毎月の清掃、特別教育、6か月ごとの測定、呼吸用保護具を産業医が解説

「研磨やアーク溶接をする工場では、粉じん対策として何をすればいい?」「粉じん作業の掃除は毎日必要?」「じん肺健診をしていれば十分?」。金属加工や鋳物、窯業の工場の安全衛生担当の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、粉じん障害防止規則(粉じん則)にもとづいて、粉じん作業と特定粉じん作業の違い、発生源対策、清掃、休憩設備と掲示、特別教育、作業環境測定、呼吸用保護具を解説します。
結論:粉じん作業では、発生源対策・清掃・保護具・教育・健診をセットで行う
- 研磨、アーク溶接、鋳物の砂型、陶磁器の原料の混合など、粉じん則の別表第1に掲げる作業が粉じん作業です。このうち、別表第2の発生源で行うものが特定粉じん作業で、局所排気装置や湿潤化などの発生源対策が義務です(粉じん則第2条・第4条)。
- 屋内の粉じん作業の場所は毎日1回以上清掃し、床や設備にたまった粉じんは1か月以内ごとに1回、真空掃除機や水洗など粉じんが飛ばない方法で除去します(同規則第24条)。
- 常時特定粉じん作業を行う屋内作業場では、6か月以内ごとに1回、粉じん濃度を測定します(同規則第25条・第26条)。
- 常時特定粉じん作業に就かせる労働者には特別教育を行い、別表第3の作業(アーク溶接など)では有効な呼吸用保護具を使用させます(同規則第22条・第27条)。健康管理はじん肺法にもとづくじん肺健康診断で行います。
粉じん作業と特定粉じん作業
粉じん則の別表第1には、次のような作業が粉じん作業として定められています。
- 研磨材の吹き付けや、研磨材を用いた動力による岩石・鉱物・金属の研磨・ばり取り
- 金属をアーク溶接する作業、屋内やタンクの内部などでの金属の溶断・アーク溶接
- 砂型を用いた鋳物の製造工程での造型、型ばらし、砂落とし
- 陶磁器・耐火物・研磨材などの製造工程での原料の混合や成形
- セメントや粉状の鉱石などを袋詰めする作業
- 鉱物等の掘削、破砕、粉砕、ふるい分け、ずい道(トンネル)内の作業
このうち、別表第2に掲げる発生源で行う作業が特定粉じん作業です。屋内で固定式の動力機械を使って研磨・ばり取りをする箇所、鉱物などを動力で粉砕する箇所、セメントなどを袋詰めする箇所、型ばらし装置で砂型を壊す箇所などが該当し、手持式・可搬式の動力工具による作業は多くが除かれています。特定粉じん発生源には、密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、湿潤な状態に保つための設備など、定められたいずれかの措置を講じます(粉じん則第4条)。特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場では、全体換気装置による換気などを行います(同規則第5条)。
清掃・休憩設備・掲示
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 毎日の清掃 | 粉じん作業を行う屋内の作業場所を、毎日1回以上清掃する | 粉じん則第24条第1項 |
| 定期の清掃 | 屋内作業場の床・設備や休憩設備のある場所の床などを、1か月以内ごとに1回、真空掃除機や水洗など粉じんの飛散しない方法で清掃する | 同条第2項 |
| 休憩設備 | 粉じん作業を行う作業場以外の場所に休憩設備を設け、作業衣などに付いた粉じんを除去する用具を備える | 同規則第23条 |
| 掲示 | 粉じん作業を行う作業場であること、起こるおそれのある疾病と症状、取扱い上の注意などを見やすい箇所に掲示する | 同規則第23条の2 |
ほうきで掃くと粉じんが舞い上がるため、定期の清掃は真空掃除機や水洗で行うのが原則です。休憩室に作業着のまま入って粉じんを持ち込まないよう、衣服の粉じんを落とす用具も備えましょう。
局所排気装置の点検と特別教育
特定粉じん発生源に設けた局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置は、定期自主検査と点検を行い、記録を残します(粉じん則第17条〜第20条)。常時特定粉じん作業に就かせる労働者には、次の科目の特別教育を行います(同規則第22条)。
- 粉じんの発散防止及び作業場の換気の方法
- 作業場の管理
- 呼吸用保護具の使用の方法
- 粉じんに係る疾病及び健康管理
- 関係法令
特別教育の全体像は特別教育とは(対象業務と記録の保存)で解説しています。
作業環境測定と呼吸用保護具
常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場では、6か月以内ごとに1回、空気中の粉じん濃度を測定します。土石・岩石・鉱物の特定粉じん作業では、粉じん中の遊離けい酸の含有率も測定します(粉じん則第25条・第26条)。測定結果は管理区分で評価し、第3管理区分になった場合は改善や呼吸用保護具の使用などの措置が必要です(作業環境測定とは(対象作業場・頻度・管理区分))。
アーク溶接や研磨材の吹き付けなど、粉じん則の別表第3に掲げる作業では、有効な呼吸用保護具(防じんマスクなど)を使用させます(同規則第27条)。マスクは顔に密着していなければ効果が落ちるため、正しい装着方法も教育しましょう(マスクのフィットテスト義務化とは)。
健康管理(じん肺健康診断)
粉じん作業に常時従事する労働者の健康管理は、じん肺法にもとづくじん肺健康診断で行います。就業時、定期(じん肺管理区分に応じて1年または3年以内ごと)、離職時などに胸部エックス線写真などの検査を行い、じん肺管理区分の決定を受けます(じん肺健康診断とじん肺管理区分)。じん肺管理区分が管理二または管理三の人は、離職の際に健康管理手帳の交付を受けられます(健康管理手帳とは)。
産業医が関わること
- 職場巡視で、局所排気装置の稼働、清掃の状況、休憩設備、掲示、防じんマスクの装着を確認する(産業医の職場巡視)
- じん肺健康診断の結果を確認し、じん肺管理区分に応じた就業上の措置について意見を述べる
- 衛生委員会で、作業環境測定の結果と改善策を審議する
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、粉じん作業のある工場の職場巡視での発生源対策・清掃・保護具の確認、じん肺健康診断の結果確認と就業上の意見、衛生委員会での作業環境の改善の審議を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
粉じん作業とはどんな作業ですか?
研磨やばり取り、金属のアーク溶接、鋳物の砂型の造型や砂落とし、陶磁器などの原料の混合、セメントの袋詰めなど、粉じん障害防止規則の別表第1に掲げる作業です。
粉じん作業の場所の清掃はどのくらい必要ですか?
屋内の作業場所は毎日1回以上清掃し、床や設備にたまった粉じんは1か月以内ごとに1回、真空掃除機や水洗など粉じんの飛散しない方法で清掃します(粉じん障害防止規則第24条)。
粉じんの作業環境測定は何か月ごとですか?
常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場では、6か月以内ごとに1回、粉じん濃度を測定します(粉じん障害防止規則第26条)。
アーク溶接でも粉じん対策が必要ですか?
金属をアーク溶接する作業は粉じん作業で、有効な呼吸用保護具を使用させる必要があります(粉じん障害防止規則第27条)。溶接ヒュームは特定化学物質としての対策も必要です。
まとめ
粉じん障害防止規則は、研磨・溶接・鋳物・窯業などの粉じん作業について、発生源対策、毎日と毎月の清掃、休憩設備と掲示、特別教育、6か月ごとの作業環境測定、呼吸用保護具を定めています。じん肺健康診断とあわせて、粉じんを「出さない・吸わない・持ち出さない」対策を続けましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 粉じん障害防止規則(e-Gov法令検索)
- じん肺法(e-Gov法令検索)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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