健康診断の結果の通知と保健指導|異常がない人も全員に遅滞なく通知、保健指導は医師・保健師による努力義務、就業上の措置との違いを産業医が解説

健康診断の結果の通知と保健指導|異常がない人も全員に遅滞なく通知、保健指導は医師・保健師による努力義務、就業上の措置との違いを産業医が解説(うえまつ産業医事務所)
健康診断の結果は全員に遅滞なく通知し、必要な人には保健指導を行います。

「健診の結果は、異常がない人にも渡さないといけない?」「健診機関から本人に直接送ってもらえば、会社の義務は終わり?」「保健指導は会社がやるもの?」。健康診断を担当する人事・総務の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、労働安全衛生法にもとづく健康診断の結果の通知と保健指導について、対象、時期、方法、会社と社員それぞれの役割を解説します。

4コマ漫画:異常なしの人には結果を渡さなくていいかと聞く総務担当に、めーくんが「異常がなくても、全員に遅れずに通知します」と説明。血圧が要再検査で不安な社員には保健師が「まず再検査を受けましょう」と声をかけ、総務担当は全員への通知と必要な人への保健指導のどちらも大事だと確認する。

結論:結果は全員に遅滞なく通知し、必要な人には保健指導を行う

  • 事業者は、健康診断を受けたすべての労働者に、遅滞なく結果を通知しなければなりません。異常がなかった人も対象です(労働安全衛生法第66条の6、労働安全衛生規則第51条の4)。
  • 健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある人には、医師または保健師による保健指導を行うよう努めます(同法第66条の7第1項)。
  • 労働者は、通知された結果と保健指導を利用して、自分の健康の保持に努めるものとされています(同条第2項)。
  • 通知・保健指導とは別に、異常の所見がある人については医師の意見を聴き、必要な就業上の措置を講じます(同法第66条の4・第66条の5)。

結果の通知

項目内容
対象の健康診断雇入れ時・定期・特定業務従事者・海外派遣・給食従業員の検便などの一般健康診断、労働基準監督署長の指示による臨時の健康診断(労働安全衛生規則第51条の4)。特殊健康診断も、それぞれの規則で通知が義務づけられています
対象者健康診断を受けたすべての労働者(異常の有無を問わない)
時期遅滞なく
方法本人に結果を知らせる。健診機関から本人に直接届ける方法でも、会社として通知が確実に行われるようにする
健康診断の結果の通知(労働安全衛生法第66条の6)

結果の通知は、社員が自分の健康状態を知り、再検査や受診につなげるための出発点です。「要再検査」「要精密検査」の判定がある人には、受診をすすめる案内もあわせて行いましょう(「要再検査」に社員が行かないときの対応)。

会社が結果を受け取るときは、健康情報として取り扱う人の範囲を決めておく必要があります(健康診断の結果は社内の誰が見てよい?)。

保健指導

保健指導は、生活習慣の改善や受診のすすめなど、健康の保持のための指導です。対象は、一般健康診断(または労働者が自ら受けた深夜業の自発的健康診断)の結果、特に健康の保持に努める必要があると認められる人で、医師または保健師が行います。法律上は努力義務です(労働安全衛生法第66条の7)。

  • 血圧・血糖・脂質などが高めで、生活習慣の見直しが必要な人への助言
  • 再検査や精密検査、治療の継続をすすめる指導
  • 睡眠、飲酒、喫煙、運動などについての助言

40歳以上の人には、医療保険者(健康保険組合など)が特定保健指導を行う仕組みもあります。会社の健診結果を保険者に提供する場合の考え方は健診結果の保険者への提供と特定保健指導で解説しています。

通知・保健指導と就業上の措置の違い

1コマ漫画:ホワイトボードの「健診のあとにすること」の表(結果の通知は全員・義務、保健指導は必要な人・努力義務、医師の意見は所見のある人・義務、就業上の措置は必要な場合・義務)を前に、保健指導をすれば十分かと聞く社長に、めーくんが「就業上の措置は別に検討します」と説明。
手続き目的会社の義務
結果の通知本人が自分の健康状態を知る義務(全員・遅滞なく)
保健指導本人の健康の保持・生活習慣の改善努力義務(必要な人に)
医師の意見聴取働き方に配慮が必要かを医師が判断する義務(異常の所見がある人)
就業上の措置作業の転換、労働時間の短縮など義務(医師の意見を勘案して必要な場合)
健康診断の後に会社がすること

医師の意見聴取と就業上の措置の進め方は、健康診断後の医師の意見聴取(就業判定)で解説しています。

産業医が関わること

  • 健康診断の結果を確認し、就業上の措置について意見を述べる
  • 保健指導が必要な人に面談を行い、生活習慣の改善や受診をすすめる
  • 結果の通知や再検査の案内の方法、健康情報の取扱いについて会社に助言する

うえまつ産業医事務所にご相談ください

うえまつ産業医事務所では、健康診断の結果の確認と就業上の意見、保健指導が必要な社員との面談、再検査の案内や健康情報の取扱いについての助言を、毎月定額の範囲で行います。総合内科専門医として、血圧・血糖・脂質などの結果にもとづく具体的な助言を行います。

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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。

よくある質問

異常がなかった人にも健診結果を通知する必要がありますか?

健康診断を受けたすべての労働者に、遅滞なく結果を通知しなければなりません。異常の有無は問いません(労働安全衛生法第66条の6、労働安全衛生規則第51条の4)。

健診機関から本人に直接結果を送ってもらってもいいですか?

健診機関から本人に届ける方法でもかまいませんが、通知は事業者の義務なので、すべての受診者に確実に届いているかを会社として確認しましょう。

保健指導は会社の義務ですか?

特に健康の保持に努める必要がある人に、医師または保健師による保健指導を行うことは、事業者の努力義務です(労働安全衛生法第66条の7第1項)。

保健指導と就業上の措置はどう違いますか?

保健指導は本人の健康の保持のための助言で、就業上の措置は医師の意見を聴いたうえで労働時間の短縮や作業の転換などを行う会社の義務です。

まとめ

健康診断の結果は、異常の有無にかかわらず全員に遅滞なく通知し、特に健康の保持が必要な人には医師や保健師による保健指導を行いましょう。異常の所見がある人については、医師の意見を聴いて就業上の措置を検討します。

参考:公的機関の資料

この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

この記事を書いた人

上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。

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上松 弘典
産業医・労働衛生コンサルタント
総合内科専門医
博士(社会健康医学)
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