金融業・保険業(銀行・信用金庫・保険会社)の産業医|支店ごとの選任、メンタルヘルス不調・休職復職・窓口のカスハラ・画面作業の健康管理を産業医が解説

「支店の職員が休職をくり返している」「窓口でお客さまから強い苦情を受けた職員の様子が心配」「本店には産業医がいるが、大きな支店はどうすればよいのか」――銀行・信用金庫・保険会社などの人事の方から、こうしたご相談をいただきます。
京都市で常用雇用者50人以上の金融業・保険業の事業所は61、30〜49人の事業所は70あります(総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1))。金融業・保険業は、メンタルヘルス不調で休業・退職した人がいた事業所の割合が全産業の平均より高い業種です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、金融業・保険業の産業医の選任と、職場で多い健康の課題を解説します。

1. 本店・支店ごとに50人以上で産業医が必要
産業医の選任義務は、会社全体ではなく本店・支店・事務センター・コールセンターなどの事業場ごとに、常時50人以上かどうかで判断します。パート・派遣スタッフも含めて数えます(パート・アルバイトが多い職場の産業医/派遣社員の健康管理は派遣元と派遣先のどちら?)。
- 50人以上の支店・事務センターでは、産業医と衛生管理者を選任し、衛生委員会を毎月開きます(産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)。
- 金融業・保険業は、衛生管理者を第二種衛生管理者免許をもつ人から選ぶことができる業種です(衛生管理者と産業医の違い)。
- 10〜49人の支店では、衛生推進者を選びます(安全衛生推進者・衛生推進者とは)。
- 同じ産業医が、本店と複数の支店を担当することもできます。
2. メンタルヘルス不調が多い業種

厚生労働省の調査では、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した人や退職した人がいた事業所の割合は、全産業で13.5%でしたが、金融業・保険業では24.3%でした(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」)。
| 業種 | メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所 |
|---|---|
| 情報通信業 | 37.4% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 27.0% |
| 金融業,保険業 | 24.3% |
| 卸売業,小売業 | 8.5% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 8.3% |
| 全産業 | 13.5% |
金融業・保険業の職場では、営業目標のプレッシャー、ミスが許されない事務、異動や転勤の多さ、窓口や電話での強い苦情などが、ストレスの原因になりやすいといわれます。産業医は、次のような場面で役に立ちます。
- ストレスチェックの集団分析で、ストレスの高い支店や部署を見つけ、職場の改善を話し合う
- 高ストレス者・長時間労働者の面接指導(高ストレス者の面接指導/長時間労働者の面接指導の流れ)
- 休職させるかどうかの判断と、主治医の診断書をふまえた復職の判断(社員を休職させるべきかの判断/主治医の「復職可」だけで復帰させていいのか)
- 窓口・コールセンターでのカスタマーハラスメント対策と、被害を受けた職員の面談(カスタマーハラスメント対策の義務化)
3. 事務作業・画面作業の健康管理
パソコンやタブレットでの作業が長い職場では、目の疲れや肩こり・腰痛が起きやすくなります。厚生労働省のガイドラインでは、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止、作業の途中に1〜2回の小休止をとることや、1日の作業時間が長くなりすぎないようにすることが示されています(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号))。
1日4時間以上、画面を見続けたり入力を続けたりする作業で、休憩や姿勢を変えることに制約がある人は、目や筋骨格系の検査を含む健康診断の対象です。それ以外の人も、自覚症状があれば対象になります。産業医は、職場巡視で机・椅子・画面の高さや照明を確認し、休憩のとり方を提案します(産業医の職場巡視とは)。
4. 転勤・単身赴任が多い職場の注意点
- 異動の前後は、仕事の内容や人間関係が大きく変わり、不調が出やすい時期です。異動後の面談を希望できる仕組みをつくっておくと安心です。
- 単身赴任の職員は、生活リズムの乱れや健康診断の後の受診忘れが起きやすくなります。要再検査の受診を確認する流れを決めておきます。
- 休職中や復職直後の職員の異動は、主治医と産業医の意見をふまえて慎重に判断します。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
京都・大阪・滋賀・奈良の事業場を訪問し、本店と支店をまとめて担当することもできます。メンタルヘルス不調や休職・復職の対応を中心に、Web面談も組み合わせて対応しています。紹介会社の中間手数料がかからない直接契約と、ストレスチェックや健康管理のWeb化(DX)によって、料金をできるだけ抑えています。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「主治医の「復職可」の診断書で、そのまま職場に戻してよいか」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
業種別の産業医のコラム
よくある質問
支店ごとに産業医が必要ですか?
支店ごとに、パートや派遣スタッフを含めて常時50人以上なら必要です。50人未満の支店には選任義務はありませんが、10〜49人なら衛生推進者を選びます。同じ産業医が複数の支店を担当することもできます。
金融業の衛生管理者は第二種でもよいですか?
はい。金融業・保険業は、第二種衛生管理者免許をもつ人から衛生管理者を選ぶことができる業種です。
金融業はメンタルヘルス不調が多いのですか?
厚生労働省の令和7年の調査では、メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所の割合は、全産業の13.5%に対し、金融業・保険業は24.3%でした。
窓口で強い苦情を受けた職員のケアを産業医に頼めますか?
頼めます。産業医が面談して心身の状態を確認し、必要に応じて休養や配置の配慮について意見を出します。カスタマーハラスメント対策の方針づくりへの助言もできます。
パソコン作業の多い職員の健康診断は必要ですか?
1日4時間以上画面を見続ける作業などで休憩や姿勢の変更に制約がある人は、情報機器作業の健康診断の対象です。それ以外の人も、目や肩の症状があれば対象になります。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 労働安全衛生法(第13条 産業医等)(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号)
- 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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