学術研究・専門サービス業(研究所・設計・士業事務所)の産業医|メンタルヘルス不調、裁量労働制でも必要な労働時間の把握、研究所の化学物質管理を産業医が解説

学術研究・専門サービス業(研究所・設計・士業事務所)の産業医|メンタルヘルス不調、裁量労働制でも必要な労働時間の把握、研究所の化学物質管理を産業医が解説(うえまつ産業医事務所)
研究所・設計事務所・士業事務所などの産業医。メンタルヘルスと労働時間の把握がポイントです。

「研究員は裁量労働制なので、労働時間の管理は要らないと思っていた」「設計や会計の繁忙期に残業が集中する」「研究所で化学物質を使っているが、何をすればよいか」――研究所、設計事務所、会計・法律事務所、広告・デザイン会社などから、こうしたご相談をいただきます。

「学術研究,専門・技術サービス業」は、研究所や、法律・会計・設計・デザイン・広告などの専門事務所が含まれる業種です。京都市で常用雇用者50人以上の事業所は59、30〜49人の事業所は58あります(総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1))。大学や研究機関の多い京都らしい業種です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、この業種の産業医の選任と健康管理のポイントを解説します。

4コマ漫画(学術研究・専門サービス業の産業医):総務担当が「裁量労働制だから労働時間の管理は要らないですよね?」とたずね、メーくんが「裁量労働制でも労働時間の把握は必要です」と説明。実験室では試薬のラベルとSDSを確認し、繁忙期の前に面接指導を入れる。

1. 研究所・事務所ごとに50人以上で産業医が必要

産業医の選任義務は、研究所・本社・支社などの事業場ごとに、常時50人以上かどうかで判断します。派遣の研究補助員やパートも含めて数えます(パート・アルバイトが多い職場の産業医/派遣社員の健康管理は派遣元と派遣先のどちら?)。50人以上になったら、14日以内に産業医を選任し、衛生管理者の選任、衛生委員会、ストレスチェックも始めます(産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)。

2. メンタルヘルス不調と、裁量労働制でも必要な労働時間の把握

厚生労働省の調査では、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した人や退職した人がいた事業所の割合は、学術研究,専門・技術サービス業で27.0%と、全産業(13.5%)の2倍近くでした(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」)。

業種メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所
情報通信業37.4%
学術研究,専門・技術サービス業27.0%
金融業,保険業24.3%
卸売業,小売業8.5%
生活関連サービス業,娯楽業8.3%
全産業13.5%
令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)より(厚生労働省、令和8年8月公表)

研究や専門の仕事は、締め切りや成果のプレッシャーが強く、一人で抱え込みやすい働き方です。裁量労働制で働く人や管理監督者も、会社は労働時間の状況を把握しなければなりません(労働安全衛生法第66条の8の3)。時間外・休日労働が月80時間を超えて疲労がたまっている人から申し出があれば、医師の面接指導を行います(長時間労働者の面接指導の流れ)。

3. 研究所・試験室の化学物質の管理

1コマ漫画:実験室の掲示「試薬を使う前に ①ラベルとSDSを確認 ②ドラフトの中で作業 ③手袋・保護めがね」。メーくん「少量でも確認は必要です」、研究員「新しい試薬は必ず確認します」。

研究や試験で使う試薬・溶剤にも、リスクアセスメントの対象となる化学物質が多く含まれます。少量でも種類が多いのが研究所の特徴です。化学物質の自律的な管理では、ラベル・SDS(安全データシート)の確認、リスクアセスメント、化学物質管理者の選任などが求められます(化学物質の自律的管理)。

  • 有機溶剤や特定化学物質を扱う業務では、作業の内容によって特殊健康診断が必要です(有機溶剤健康診断/特定化学物質健康診断)
  • 局所排気装置(ドラフトチャンバー)が正しく使われているか、職場巡視で確認します(産業医の職場巡視とは)
  • 妊娠中の研究員の業務や、皮膚から吸収される物質を扱う場合の保護具について、産業医が意見を出します

4. 設計・デザイン・事務の画面作業

パソコンやタブレットでの作業が長い職場では、目の疲れや肩こり・腰痛が起きやすくなります。厚生労働省のガイドラインでは、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止、作業の途中に1〜2回の小休止をとることや、1日の作業時間が長くなりすぎないようにすることが示されています(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号))。

1日4時間以上、画面を見続けたり入力を続けたりする作業で、休憩や姿勢を変えることに制約がある人は、目や筋骨格系の検査を含む健康診断の対象です。それ以外の人も、自覚症状があれば対象になります。産業医は、職場巡視で机・椅子・画面の高さや照明を確認し、休憩のとり方を提案します(産業医の職場巡視とは)。

うえまつ産業医事務所にご相談ください

京都・大阪・滋賀・奈良の研究所や専門事務所を訪問し、メンタルヘルス不調や長時間労働の面接指導、研究所の化学物質の管理にも対応しています。紹介会社の中間手数料がかからない直接契約と、ストレスチェックや健康管理のWeb化(DX)によって、料金をできるだけ抑えています。

  • 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
  • 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
  • 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
  • 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)

事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。

当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「高ストレス者の面接指導」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

よくある質問

裁量労働制の研究員も、労働時間を把握する必要がありますか?

あります。労働安全衛生法第66条の8の3により、裁量労働制で働く人や管理監督者も含めて、会社は労働時間の状況を把握しなければなりません。長時間労働の人には医師の面接指導を行います。

学術・専門サービス業はメンタルヘルス不調が多いのですか?

厚生労働省の令和7年の調査では、メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所の割合は、全産業の13.5%に対し、学術研究,専門・技術サービス業は27.0%でした。

研究所で少量の試薬しか使わなくても化学物質の管理は必要ですか?

必要です。量が少なくても、リスクアセスメントの対象となる物質を扱う場合は、ラベル・SDSの確認やリスクアセスメントを行います。物質と作業によっては特殊健康診断も必要です。

会計事務所の繁忙期の長時間労働はどうすればよいですか?

繁忙期の前に、労働時間の把握の方法と面接指導の流れを決めておきます。時間外・休日労働が月80時間を超えて疲労がたまっている人から申し出があれば、医師の面接指導を行います。

設計やデザインのパソコン作業で気をつけることは?

一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の作業休止、途中に1〜2回の小休止をとることが、厚生労働省のガイドラインで示されています。

参考:公的機関の資料

この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

この記事を書いた人

上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。

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うえまつ産業医事務所 所長
上松 弘典
産業医・労働衛生コンサルタント
総合内科専門医
博士(社会健康医学)
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