情報通信業(IT・ソフトウェア)の産業医|客先常駐・テレワークの社員の数え方、メンタルヘルス不調・長時間労働・画面作業の対策を産業医が解説

「エンジニアの休職が続いている」「テレワークの社員の体調がわからない」「客先に常駐している社員の健康管理は誰がするのか」――IT・ソフトウェア会社の人事の方から、こうしたご相談をいただきます。
京都市で常用雇用者50人以上の情報通信業の事業所は53、30〜49人の事業所は49あります(総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1))。情報通信業は、メンタルヘルス不調で休業・退職した人がいた事業所の割合が全産業で最も高く、国の過労死等防止の大綱でも「IT産業」が重点業種の一つに挙げられています(厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更(令和6年8月))。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、IT企業の産業医の選任と健康管理のポイントを解説します。

1. 客先常駐・テレワークの社員も含めて事業場ごとに数える
産業医の選任義務は事業場ごとに判断します。請負や準委任で客先に常駐する社員は、自社の社員として、所属する本社・事業所の人数に含めて考えるのが基本です。少人数で独立性のない現場は、それを管理する事業所と一括して扱うとされています(昭和47年9月18日 発基第91号)。テレワークの社員も、所属する事業場の人数に含めます。
- 客先常駐の社員の健康診断・ストレスチェック・面接指導は、雇用している自社が行います
- 派遣で受け入れているエンジニアは、派遣先でも人数に数えます(派遣社員の健康管理は派遣元と派遣先のどちら?)
- 50人以上の事業場では、産業医・衛生管理者の選任、衛生委員会、ストレスチェックが必要です(産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)
2. メンタルヘルス不調が最も多い業種

厚生労働省の調査では、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した人や退職した人がいた事業所の割合は、情報通信業で37.4%と、全産業(13.5%)の約2.8倍でした(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」)。
| 業種 | メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所 |
|---|---|
| 情報通信業 | 37.4% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 27.0% |
| 金融業,保険業 | 24.3% |
| 卸売業,小売業 | 8.5% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 8.3% |
| 全産業 | 13.5% |
納期前の長時間労働、仕様変更やトラブル対応、客先での人間関係、テレワークでの孤立などが、不調のきっかけになりやすいといわれます。産業医は、次のような場面で役に立ちます。
- 時間外・休日労働が月80時間を超えた人の面接指導(長時間労働者の面接指導の流れ/過労死ラインとは?面接指導と安全配慮)
- ストレスチェックの集団分析で、負担の大きいプロジェクトやチームを見つける(高ストレス者の面接指導)
- 休職させるかどうかの判断、復職の判断、休職と復職をくり返す人への対応(社員を休職させるべきかの判断/主治医の「復職可」だけで復帰させていいのか)
- 客先常駐の社員の面談は、Web面談で勤務の合間に行う
3. テレワークの社員の健康管理
- 労働時間の状況は、パソコンのログなどで客観的に把握します(労働安全衛生法第66条の8の3)。
- 自宅の机・椅子・画面の高さや照明は、チェックリストで本人に確認してもらいます。
- 上司との定期的な1対1の面談や、雑談の時間をつくり、孤立を防ぎます。
- 体調不良の申し出や相談の窓口を、テレワークの社員にも周知します。
厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」でも、テレワークでの労働時間の把握と健康確保の対策が示されています。
4. 長時間の画面作業への対策
パソコンやタブレットでの作業が長い職場では、目の疲れや肩こり・腰痛が起きやすくなります。厚生労働省のガイドラインでは、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止、作業の途中に1〜2回の小休止をとることや、1日の作業時間が長くなりすぎないようにすることが示されています(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号))。
1日4時間以上、画面を見続けたり入力を続けたりする作業で、休憩や姿勢を変えることに制約がある人は、目や筋骨格系の検査を含む健康診断の対象です。それ以外の人も、自覚症状があれば対象になります。産業医は、職場巡視で机・椅子・画面の高さや照明を確認し、休憩のとり方を提案します(産業医の職場巡視とは)。
京都の事業場の支援例
京都府の情報・通信の会社(従業員約60名):従業員が50名を超え、初めて産業医を選任しました。選任の期限(14日以内)が迫っていましたが、お問い合わせの翌日にWeb面談、3日後にご契約。選任報告書の作成と衛生委員会の立ち上げを支援し、期限内に労働基準監督署へ届け出ました。ストレスチェックも初年度から実施しています。
事例は、個人や企業が特定されないよう内容を一部変えて紹介しています。ほかの京都の事例は京都の産業医|うえまつ産業医事務所でも紹介しています。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
京都・大阪・滋賀・奈良のIT企業を訪問し、客先常駐やテレワークの社員にはWeb面談で対応しています。メンタルヘルス不調や休職・復職の判断を中心にご相談いただけます。紹介会社の中間手数料がかからない直接契約と、ストレスチェックや健康管理のWeb化(DX)によって、料金をできるだけ抑えています。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「休職と復職をくり返す社員への対応」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
業種別の産業医のコラム
よくある質問
客先に常駐している社員は、どこの人数に数えますか?
請負や準委任で客先に常駐する社員は、自社の社員として、所属する本社・事業所の人数に含めて考えるのが基本です。健康診断やストレスチェック、面接指導も、雇用している自社が行います。
IT企業はメンタルヘルス不調が多いのですか?
厚生労働省の令和7年の調査では、メンタルヘルス不調で1か月以上休業・退職した人がいた事業所の割合は、全産業の13.5%に対し、情報通信業は37.4%で、業種別で最も高くなっています。
テレワークの社員の労働時間も把握が必要ですか?
必要です。テレワークの社員も含めて、パソコンのログなどの客観的な方法で労働時間の状況を把握し、長時間労働の人には医師の面接指導を行います。
エンジニアの面談を、オフィスに来なくても受けられますか?
受けられます。当事務所では、客先常駐やテレワークの社員の面談にWeb面談で対応しています。
長時間のパソコン作業で気をつけることは?
一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の作業休止、途中に1〜2回の小休止をとることが、厚生労働省のガイドラインで示されています。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 労働安全衛生法(第13条 産業医等、第66条の8の3 労働時間の状況の把握)(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況」
- 厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更(令和6年8月)
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日 基発0712第3号)
- 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 表16-1)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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