職場のハラスメント対策

ハラスメントは「嫌がらせ・いじめ」のことです。パワハラ、セクハラ、マタハラなどがあり、被害者に深い苦痛を与えるだけでなく、職場環境や会社の評判にも重大な悪影響を及ぼします。2022年4月からは中小企業を含む すべての企業でパワハラ対策が義務化 され、さらに2026年10月には対策が一段と強化されます。押さえておきたいポイントを整理しましょう。

パワハラの定義と6類型

パワハラは、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超え、③労働者の就業環境が害される の3つをすべて満たすものと定義されます。厚生労働省は次の6類型を示しています。

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・侮辱・ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
  4. 過大な要求(遂行不可能な業務の強制)
  5. 過小な要求(能力とかけ離れた仕事や仕事を与えない)
  6. 個の侵害(私的なことへの過度な立ち入り)

過去3年間に「パワハラを受けた」と感じた人は約3人に1人にのぼるという調査もあり、決して他人事ではありません。

「指導」と「パワハラ」は紙一重

判断の基準は、原則「その行為で 平均的な労働者がどう感じるか」。ここで重要なのは、「そんなつもりはなかった」という加害者の主観は通用しない ことです。一方で「被害者が嫌がれば全てハラスメント」でもなく、会社の法的責任にも関わるため、第三者への聞き取りなど慎重な確認が必要です。

会社が負う「重い責任」

ハラスメントは一義的には加害者個人の責任ですが、会社にも大きな責任が及びます。労働者を守る 安全配慮義務 があるため、ハラスメントを放置したり事後対応が不適切だと、会社も民事賠償責任を問われます。過去には、上司のパワハラで会社と上司に数千万円の賠償が命じられた例もあります。「ブラック企業」とされ、信用低下も見過ごせません。

【2026年10月】対策がさらに強化されます

2025年に労働施策総合推進法などが改正され、2026年10月から、これまでの対策に加えて次が 全企業に義務化 されます。

  • カスタマーハラスメント(カスハラ)対策:顧客等からの著しい迷惑行為から従業員を守る措置
  • 就活等セクハラ対策:求職者・就活生に対するセクハラ防止措置

近年は、スメハラ・アルハラ・パタハラなど、ハラスメントとして認識される行為も広がっています。

企業が取り組むべきこと

厚労省の指針は、会社が講じるべき措置として次を挙げています。

  1. 方針の明確化と周知・啓発:ハラスメントを許さない方針、行為者への厳正対処を就業規則等に明記
  2. 相談体制の整備:相談窓口を設け周知する(上司や人事責任者だけが窓口になるのはNG)
  3. 迅速かつ適切な事後対応:事実確認、被害者への配慮、行為者への措置、再発防止
  4. プライバシー保護と不利益取扱いの禁止:相談したこと等を理由に不利益に扱わない

加えて、研修やトップからの継続的な発信、産業医・弁護士など専門家との連携が有効です。相談があれば、当事者以外の意見も確認し、認定の有無にかかわらず再発防止に取り組みましょう。

理解しあえる企業風土を

ハラスメントは世代間ギャップの影響も強く、当事者間で認識が食い違いがちです。「自分が正しく相手が間違っている」ではなく、異なる価値観も理解しようとする姿勢 が防止の第一歩です。被害者はもちろん、会社や「加害者と疑われた人」も含め、関係者全員を守るために、ハラスメントを許さない体制をつくっていきましょう。

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