交替制勤務者の健康管理
皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
医療・介護、製造、物流、警備、インフラ等、社会は夜勤・交替制勤務に支えられています。厚生労働省の調査では、約5人に1人の労働者が夜勤や交替制勤務に従事しているとされます。一方で、体内時計(概日リズム)の乱れは、さまざまな健康リスクにつながります。今回は、その付き合い方を整理します。
知っておきたい健康リスク
夜勤・交替制勤務は、睡眠障害や睡眠休養感の低下を招きやすく、肥満・糖尿病などの生活習慣病、循環器疾患のリスクを高めます。眠気による勤務中・通勤中の事故や怪我にもつながりやすくなります。
がんとの関連も指摘されています。WHOの専門機関IARC(国際がん研究機関)は、概日リズムを乱す夜勤を「グループ2A(人に対しておそらく発がん性がある)」に分類しています(乳がん・前立腺がん・大腸がんなどで検討)。これは「科学的根拠の強さ」を示す分類で、実際の発がんリスクの大きさを表すものではありませんが、生活習慣を整える動機づけにはなります。過度に恐れず、できる対策から始めましょう。
睡眠の質を確保する
体内時計の乱れを最小限にする工夫が鍵です。
日中に眠るときは、遮光カーテン・アイマスク・耳栓で静かな環境をつくり、就寝・起床時刻はなるべく一定にしましょう。就寝前のコーヒーや緑茶、寝酒は避け、軽い運動や入浴でリラックスを心がけるとよいです(睡眠ガイド2023より)。
食事とメンタルヘルス
食事は、なるべく普段の生活に近い時間帯でとると体内時計が整います。夜勤中の食事は、主食だけや脂質の多いものを避け、主食+主菜+副菜のバランスを意識してください。欠食を避け、夕方に軽く食べて夜遅くの量を減らす「分割食」もおすすめです。
夜勤者は、業務特有のストレス、生活リズムの乱れ、家族・友人と時間が合わない社会的な孤立感など、独特のストレスを抱えがちです。ストレスチェックの活用や、産業医・保健師への相談につなげましょう。
職場ができるシフト管理
個人の努力だけでは限界があり、職場の仕組みが重要です。休養室や十分な休憩時間の確保、単独勤務を避ける安全対策に加え、シフトの工夫が効きます。連続夜勤を避ける、夜勤後は48時間以上の休みで疲労を回復する、日勤→夕勤→夜勤と後ろにずらす「正循環」ローテーションにする、といった配慮は体への負担を減らします。次の勤務まで十分な休息をとる勤務間インターバル(11時間以上が目安、2019年から努力義務)の確保も大切です。
健診と就業配慮
深夜業(22時〜翌5時)に常時従事する労働者には、配置換え時と6か月以内ごとに1回の健康診断が義務づけられています。高血圧や糖尿病が未治療・コントロール不良の場合は、安全配慮の観点から、深夜業や交替制勤務の回数を減らす、一人勤務を避けるなどの配慮が必要になることもあります。
夜勤と上手に付き合うには、本人の工夫と職場のサポートの両輪が欠かせません。
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