睡眠ガイド2023を職場で活かす

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

「眠れない」「夜中に何度も目が覚める」——これは、ストレスが身体にサインを出す際の、最も代表的なSOSの一つです。つまり、日々の睡眠を整えることは、メンタルヘルスを守るための最強のセルフケアと言えます。

今回は、2024年2月に厚生労働省が新たに公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」をもとに、働く世代が知っておくべき睡眠のコツを整理します。

1. 時間だけでなく「睡眠休養感」に目を向ける

今回のガイドラインでは、成人の睡眠に関して大きく3つの推奨事項が掲げられています。

  • 睡眠時間は「6時間以上」を目安に確保すること
  • 「睡眠休養感(眠って休めたという感覚)」を高めること
  • 不調が続く場合は病気の可能性に留意すること

ここで最も注目したいキーワードが「睡眠休養感」です。 「昨日は8時間も布団にいたのに、朝起きたら全く疲れが取れていない」。そんな経験はありませんか? 睡眠は、ただ長く寝ればよいというものではなく、「朝起きた時に、しっかりと休まった感覚があるか」という『質』の指標が非常に重要視されるようになっています。

2. 睡眠の質(休養感)を下げる「3つのNG習慣」

この睡眠休養感を大きく下げてしまうのが、就寝前の嗜好品です。良かれと思ってやっていることが、実は逆効果になっているケースが少なくありません。

  • 「寝酒」は絶対にNG 寝つきを良くするためのお酒(寝酒)や深酒は、睡眠を極端に浅くし、夜中の目覚め(中途覚醒)や早朝覚醒を引き起こす最大の原因になります。
  • 夕方以降の「カフェイン」 カフェインの覚醒作用は数時間続くため、夕方以降のコーヒーやエナジードリンクは夜の睡眠の質を低下させます。
  • 「たばこ(ニコチン)」の覚醒作用 紙巻き・加熱式を問わず、ニコチンには強い覚醒作用があります。リラックスのための「就寝前の一服」は、実は脳を興奮させてしまっているのです。

3. 質の高い睡眠を作る「リズムと環境」の整え方

では、睡眠休養感を高めるためには具体的にどうすればよいのでしょうか。今日から実践できるコツをご紹介します。

① 脳のスイッチを切り替える

日中はできるだけ「太陽の光」を浴び、朝食をしっかり食べることで体内時計がリセットされます。逆に夜は、寝室をできるだけ暗くし、「スマートフォンやタブレットを寝室に持ち込まない」ことを徹底してください。画面からの強い光は、脳を昼間だと錯覚させてしまいます。

② 体温の「下がり際」を狙う

人間の体は、一度上がった深部体温が下がるタイミングで強い眠気を感じます。就寝の1〜2時間前に入浴して湯船に浸かり、体温がゆっくりと下がってきたタイミングで寝床に入るのが理想的です。

③ 「眠るために頑張らない」

「明日も早いから早く寝なきゃ」と、眠気がないのに無理に寝床に入るのは逆効果です。かえって焦りが生じ、脳が覚醒してしまいます。本当に眠気が訪れてから布団に入る方が、結果的にスムーズに眠りにつくことができます。

※交替制勤務(夜勤)の方への工夫

夜勤がある方は、どうしても睡眠リズムが乱れやすくなります。「夜勤明けに帰宅する際は、サングラスなどで強い朝日を避ける」「遮光カーテンやアイマスクを活用して、昼間でも真っ暗な睡眠環境を作る」といった、光をコントロールする工夫を積極的に取り入れてください。

おわりに

生活リズムを整え、お酒やカフェインを控えるなど、ご自身でできる環境改善を行ってもなお「日中の強烈な眠気」や「休まらない感覚」が続く場合は、要注意です。

いびきや呼吸の停止を伴う「睡眠時無呼吸症候群」など、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。業務中の眠気は、思わぬ事故やミスの引き金になりかねません。 「たかが睡眠不足」と放置せず、気になることがあれば、ぜひお早めに医療機関や職場の産業医にご相談ください。

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