健康を守る運動のはなし

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

健康に働き続けるための土台となるのが、毎日の正しい生活習慣です。なかでも「適度な運動」は欠かせない要素ですが、デスクワークやテレワークが中心となり、「1日の歩数が極端に減ってしまった」「運動不足を自覚している」という方も多いのではないでしょうか。

今回は、無理なく日常に運動を取り入れるコツと、その絶大なメリットについて整理していきます。

1. 運動のメリットは「体」だけではない

「運動」と聞くと、筋力アップやダイエット、メタボリックシンドローム(生活習慣病)の改善といった「体型の維持」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、運動がもたらす効果はそれだけではありません。 適度な運動は、骨を強くして将来の骨折を防ぎ、血流を促して慢性的な肩こりや腰痛をやわらげてくれます。さらに、心身をリラックスさせることで睡眠の質を高め、「メンタルヘルス不調の予防」にも大きく貢献します。

加えて近年、医学界で注目されているのが「脳」への影響です。 運動不足はアルツハイマー病の最大のリスク因子の一つであると報告されており、加齢に伴う心身の虚弱(フレイル)を予防するためにも、若いうちからの運動習慣が極めて重要視されるようになっています。

2. 世界一の「座りすぎ」と2023年版の新しい運動ガイド

運動不足と並んで、日本の職場で深刻な問題となっているのが「座りすぎ」です。 世界20か国を対象とした調査では、日本人の座っている時間は「世界最長」であると報告されています。足の大きな筋肉を使わない状態が続くと全身の代謝が著しく落ちるため、デスクワークが長い人ほど、意識的に体を動かす習慣を組み込む必要があります。

こうした背景から、厚生労働省が2024年に示した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人の運動基準として新たに以下の内容が推奨・強調されました。

  • 歩行なら「1日60分以上(約8,000歩)」を目安に動く
  • 「筋力トレーニング」を週2〜3日取り入れる(自重のスクワットや腕立て伏せでも可)
  • 座りっぱなしの時間を長くしすぎない(こまめに立ち上がる)

ただ歩くだけでなく、筋肉に少し負荷をかけ、座りっぱなしをこまめに断ち切る。これが、現代の働く人に求められる新しい健康のスタンダードです。

3. 魔法のキーワード「プラス・テン(+10)」から始めよう

「筋トレに8,000歩と言われても、そんなまとまった時間を確保するのは難しい」と諦めてしまっていませんか?

そこでぜひ覚えていただきたいのが、厚生労働省も提唱している「+10(プラス・テン)」という考え方です。 これは、「まずは今より10分多く体を動かし、座りっぱなしの時間を10分減らすことから始めよう」というスローガンです。たった10分の違いであっても、それを毎日継続することで、将来の死亡リスクや生活習慣病、がん、認知症の発症リスクを確実に下げられることがデータで示されています。

4. 職場でできる「手軽な+10」のアイデア

まとまった運動の時間をわざわざ作る必要はありません。日常の動作を少しだけ「運動」にすり替えてみましょう。

  • 階段を使う: エレベーターやエスカレーターを「階段」に変えるだけで、立派な筋力トレーニングになります。
  • こまめに立ち上がる: 1時間に1回は立ち上がり、コピー機まで歩く、お茶を淹れに行くなどの動きを入れます。
  • 簡単なストレッチ: デスクワークによる腰痛は、背骨や椎間板のゆがみが原因となることが多くあります。座ったまま上体をひねる、太ももを伸ばす、股関節を開くといった簡単なストレッチを取り入れましょう。

おわりに

「1日1万歩あるかないと」「週末にジムに行かなないと」と身構える必要はありません。

まずは今日、いつもより「10分」だけ長く歩いてみる。階段を使ってみる。その小さな意識の積み重ねが大切です。※病気や怪我などで、すでに医師から運動制限の指示が出ている方は、必ず主治医の指示に従ってください。

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