【働く女性の健康②】会社としてできること
皆さん、こんにちは。うえまつ産業医事務所です。
前回は、働く女性のライフステージごとの健康課題を取り上げました。今回は、会社として何ができるかを、法律上の義務と任意の取り組みの両面から整理します。
まず押さえたい「2026年4月の法改正」
2026年4月に施行された改正女性活躍推進法では、次の点が大きなポイントです。
- 情報公表の拡大:「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が、常時雇用101人以上の企業に義務化されました(従来は301人以上)
- 女性の健康への配慮の明確化:生理・更年期・不妊治療などへの配慮が、法の基本原則に位置づけられました
- 「えるぼしプラス」認定の創設:女性の健康支援に優れた企業を評価する新しい認定制度が設けられました
女性の健康支援は、いまや「やれば良いこと」から「企業として取り組むべきこと」へと変わりつつあります。健康経営度調査でも評価項目とされており、人材の確保・定着や企業イメージの面でも大きな意味を持ちます。
法律で定められた「母性健康管理」
妊娠・出産期には、男女雇用機会均等法や労働基準法に基づく措置が、事業主に義務づけられています。主なものとして、健診時間の確保、通勤緩和、休憩に関する配慮、症状に応じた勤務時間の短縮や業務制限、軽易業務への転換、産前・産後休業 などがあります。
医師の指導内容を会社に正確に伝える 「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)」 が提出された場合、事業主はその記載内容に応じた措置を講じる義務があります。たとえばつわりがひどい場合、勤務時間の短縮や、においのきつい・高温多湿な環境での作業制限などが考えられます。また、妊娠・出産や育休取得を理由とする不利益な取り扱いの禁止、マタニティハラスメント(マタハラ)防止措置 も必須です。
育児との両立支援も進化している
育児・介護休業法の改正により、育児期の支援も強化されています。短時間勤務制度や所定外労働(残業)の免除、子の看護等休暇に加え、近年は 「柔軟な働き方を実現するための措置」(複数の選択肢から企業が用意し、労働者が選べる仕組み)や、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮 が求められるようになりました。育児のためのテレワーク導入なども広がっています。
任意でできる、職場の取り組み
法定の措置に加え、健康経営の観点から次のような取り組みも広がっています。
- 婦人科健診・検診(子宮頸がん・乳がん、甲状腺機能検査など)の費用補助
- 産業医・保健師や婦人科医による相談窓口の設置、外部医師の紹介
- 生理休暇を取得しやすい環境づくり(有給化・管理職への周知徹底)
- 更年期症状や不妊治療への配慮(通院のための特別休暇など)、骨密度測定の支援
不妊治療については、経験者の 約26%が離職や治療の中断 を余儀なくされたという調査もあり、休暇制度など両立支援の整備が急がれます。
働きやすい職場へ
女性が働きやすい職場づくりは、性別を問わず誰もが働きやすい職場へとつながり、組織全体の活力向上に結びつきます。就業配慮の検討では、母健連絡カードや主治医の意見をもとに、産業医・産業保健スタッフと連携することが大切です。体制整備には、衛生委員会の場を活用し、女性従業員自身の声を取り入れるのも効果的です。
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