その「めまい」、放っておいて大丈夫?

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、日々の業務中や通勤中にも起こり得る「めまい」についてお話しします。

「自分は動いていないのに、景色がぐるぐる回る」「足元がフワフワして宙に浮いているように感じる」。 多くの方は「疲れが溜まっているのかな」「寝不足のせいだろう」と自己判断してしまいがちですが、めまいは耳の不調から脳の重大な病気のサインまで、さまざまな原因で起こります。職場で安全に働くために知っておきたい、めまいの見分け方と対処法を整理しましょう。

1. めまいは大きく3つのタイプに分かれる

めまいは、ご本人の「感じ方」によって原因をおおまかに推測することができます。

  • ① 回転性めまい(ぐるぐる回る): 景色や自分自身がぐるぐる回っているように感じる状態です。主に内耳(耳の奥の三半規管など)の不調が原因で起こることが多く、吐き気を伴うこともあります。
  • ② 浮動性めまい(ふわふわ・不安定): 雲の上を歩いているような、体が揺れているような感覚です。耳の不調だけでなく、脳(中枢)の不調が隠れていることもあります。
  • ③ 立ちくらみ(目の前が真っ暗になる): 急に立ち上がった時に血の気が引くような感覚です。血圧の低下や貧血、自律神経の乱れ、心臓の不調などで起こります。

2. 職場で多いめまいの原因疾患

最も発症頻度が高いのが、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」です。 ベッドから起き上がる、振り返る、下を向くといった「頭を特定の向きに動かした時」に、数十秒間ぐるぐると激しく回るのが特徴です。耳の奥にある「耳石」という小さな結晶が剥がれ落ち、三半規管に入り込むことで起こります。頭を動かして耳石を元の位置に戻す「耳石置換法」などのリハビリ(体操)で改善します。

このほか、強いストレスや疲労、睡眠不足が引き金となり、めまいと難聴・耳鳴りを繰り返す「メニエール病」も、働き盛りの30〜40代に多く見られます。

3. デスクワークと相性が悪い?慢性めまい「PPPD」

近年、めまいの分野で注目されているのが「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)」です。

「病院の検査では異常がないと言われたのに、ふわふわしためまいが3ヶ月以上、ほぼ毎日続いている」。そんな場合はPPPDの疑いがあります。 PPPDは、過去のめまい(BPPVなど)をきっかけに、脳が空間やバランスの認識に対して過敏になってしまうことで起こる慢性めまいです。以下のような特徴があります。

  • 立っている時や歩いている時にふわふわ感が強まる
  • パソコンやスマホ画面のスクロール、細かい文字を見ると悪化する
  • スーパーの陳列棚や人混みなど、視覚情報が多い環境で悪化する

特に、視覚的な刺激(画面のスクロールなど)で悪化しやすいため、デスクワーク中心の働き方の方にとっては非常に辛い症状となります。PPPDは、前庭リハビリテーションや必要に応じた薬物療法、認知行動療法などで改善が期待できるため、「治らない」と諦めずに専門医(めまい外来など)に相談することが大切です。

4. 絶対に見逃してはいけない「危険なサイン」

職場で同僚がめまいを訴えた時、あるいはご自身がめまいを感じた時、以下の症状が一つでも伴う場合は、脳梗塞や脳出血など、命に関わる「脳卒中」のサインである可能性が極めて高いです。ためらわずに「119番(救急要請)」をしてください。

  • 激しい頭痛がある
  • 顔の片側や、手足にしびれ・麻痺(力が入らない)がある
  • ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
  • 物が二重に見える、視野が欠ける
  • 自力で立てない、まっすぐ歩けない
  • 意識がもうろうとしている

特に、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある方、喫煙習慣がある方は、脳卒中のリスクが高いため最大限の注意が必要です。また、症状が数分で消えたとしても、「一過性脳虚血発作(TIA)」という本格的な脳梗塞の前触れである可能性が高いため、必ず速やかに医療機関を受診してください。

おわりに

めまいを感じたら、まずは安全な場所に座るか横になり、安静にしてください。脱水症状の疑いがあれば、水分と塩分を補給しましょう。

運転業務や機械操作、高所作業などを行う従業員にとって、一瞬のめまいは重大な労働災害に直結します。「ただの疲れだろう」と自己判断して放置せず、必ず一度は医療機関(耳鼻咽喉科や脳神経外科など)を受診し、正しい原因を確かめるようにしてください。

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