女性の「なんとなく不調」を長引かせる鉄欠乏
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皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
今回は、ご自身でも自覚がないまま多くの女性を苦しめている「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)」についてお話しします。 「毎年、健康診断で貧血だと言われたことはないから自分は大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ知っておいていただきたいテーマです。
1. 健康診断の「A判定」に潜む落とし穴
「毎日だるくて仕方がない」「仕事の集中力が続かない」「朝起きるのが辛い」。 こうした不調があるにもかかわらず、会社の定期健康診断の結果を見返すと、貧血の項目は「A判定(異常なし)」。結局、「ただの寝不足だろう」「自分は体力がないからだ」と思い込んでしまっていませんか。
一般的な健康診断の「貧血検査」で測定しているのは、血液中の「ヘモグロビン」の量だけです。 これを「お金」に例えて説明しましょう。ヘモグロビンは「お財布の中に入っている現金」です。一方、体内の肝臓などには「フェリチン(貯蔵鉄)」と呼ばれる「銀行の貯金」が存在しています。
女性は毎月の月経(生理)によって、定期的に鉄分を失い続けています。人間の身体は生命を維持するために、まずは「お財布の現金(ヘモグロビン)」を一定に保とうとし、足りない分を「銀行の貯金(フェリチン)」からどんどん引き出して使います。
つまり、健康診断で「お財布の中身は正常(ヘモグロビンが基準値内)」と判定されても、実は「銀行の貯金は底を突いている(フェリチンが枯渇している)」という状態が起こり得るのです。これを医学的に「潜在性鉄欠乏」、通称「隠れ貧血」と呼びます。
2. その「だるさ」や「気分の落ち込み」、鉄分不足のサインかも?
鉄分は、身体が活動のエネルギー(ATP)を作り出すためや、「セロトニン」や「ドーパミン」といった意欲・幸福感に関わる脳内ホルモンを生成するために必要不可欠な栄養素です。
体内の鉄が空っぽになると、強い疲労感や脳のパフォーマンス低下、気分の落ち込みといった症状が現れます。
① 医療機関で「フェリチン(貯蔵鉄)」の検査を受ける
隠れ貧血は、一般的な健診項目では見つけることができません。慢性的なだるさやめまい、あるいは「無性に氷を食べたくなる(氷食症)」といった症状がある場合は、内科や婦人科を受診し、「フェリチン(貯蔵鉄)の値も調べてほしい」と医師に相談して血液検査を受けてみましょう。
② 食事の基本は吸収率の高い「ヘム鉄」を意識する
鉄分には、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、ほうれん草などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。人間の身体への吸収率が圧倒的に高いのは「ヘム鉄」です。赤身のお肉、カツオ、マグロなどを意識して日々の食事に取り入れることが効果的です。
③ 「出ていく血液の量」を見直す(婦人科の受診)
食事などでいくら鉄分を補っても、それ以上に出ていく血液の量が多ければ根本的な解決にはなりません。「ナプキンが1時間もたない」「レバーのような血の塊が出る」といった過多月経の症状がある場合は、子宮筋腫などの疾患が隠れている可能性があります。決して我慢せず、必ず婦人科を受診してください。
おわりに
「なんだか頑張れない」「最近ずっとだるい」。 その不調が、「鉄分不足(隠れ貧血)が原因かもしれない」という知識を持っているだけで、正しいアプローチに繋げることができます。
身体の不調を整えることは、仕事のパフォーマンス向上や日々の生活の充実感に直結します。今日のお昼ご飯は、少しお肉やお魚を意識して選んでみるなど、ご自身の身体を労わる選択をしてみてください。
