【ストレスチェック】職場改善の活かし方
Contents
みなさんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
年に一度のストレスチェック、実施して結果を本人に返すだけになっていませんか。制度のポイントは、その先の 「集団分析」 と 「職場環境改善」 にもあります。集団分析は、職場ごとのストレス状況を"見える化"し、改善のきっかけをつくる検査です。
集団分析とは?
集団分析は、ストレスチェックの結果を「会社全体」「男女別」「部署別」「職位別」などの区分ごとに集計し、平均値を取ることで、個人が特定されない形で集団の特性を把握する ものです。
個人の結果は本人の同意なしに会社が見ることはできませんが、集団分析の結果は会社も確認できます。だからこそ、これを職場改善に活かすことが期待されています。ただし、構成人数が少なすぎると個人が特定される恐れがあるため、一集団は10人以上 が適切とされています。
「仕事のストレス判定図」の読み方
代表的な指標が「仕事のストレス判定図」です。「仕事の量的負担」「仕事のコントロール(裁量)」「上司の支援」「同僚の支援」の4つについて、部署ごとの平均点を2枚の図に表します。ここでは、当事務所のストレスチェックWebで作成する集団分析報告書(架空企業「モデル株式会社」のデモ。下の画像)を例に、読み方を説明します。

- 左の図「量的負担 × コントロール判定図」:横軸が仕事のコントロール、縦軸が量的負担です。左上(仕事が多く、裁量が少ない)ほど背景が赤く、健康リスクが高い領域です。
- 右の図「職場の支援判定図」:横軸が上司の支援、縦軸が同僚の支援です。左下(上司・同僚の支援がともに少ない)ほど背景が赤く、健康リスクが高い領域です。
- 番号と色:⓪が全国平均(男女計)の位置、①以降が各部署と全体です。点の色は健康リスクの目安で、緑が100未満、黄が100以上、オレンジが120以上、赤が150以上です。
健康リスクは全国平均を100とした値で、たとえば120なら、健康問題の起きやすさが全国平均の1.2倍(20%高い)という意味です。左右2つの図の健康リスクを掛け合わせたもの(A×B÷100)が「総合健康リスク」で、図の下の表で部署ごとに確認できます。
デモの例では、営業部(①)が左の図では左上、右の図では左下にあり、総合健康リスクは153です。仕事量が多く裁量が少ないうえに、上司・同僚の支援も足りていない状態で、優先して改善を検討すべき部署だと読み取れます。反対に管理部(③)はどちらの図でも低リスク側にあり、総合健康リスクは76です。うまくいっている部署の取り組みを、他部署の参考にすることもできます。
判定図に使うのは調査票のうち12項目のみなので、残りの回答(活気・疲労感・満足度など)も併せて見ると、より立体的に職場を理解できます。
ストレスだけでなく「エンゲージメント」も
近年は、ストレスの有無だけでなく 「エンゲージメント」(仕事に誇りややりがいを感じ、前向きに取り組めている状態)にも注目が集まっています。エンゲージメントの高い組織は、生産性やストレス耐性が高まる傾向があります。「不調を減らす」だけでなく「いきいき働ける職場をつくる」という視点が、これからの職場改善には欠かせません。当事務所が実施している80項目版のストレスチェックでは、このワーク・エンゲイジメントも部署ごとに測定できます(後述)。
企業が取り組むべきこと 、分析を「改善」へ
大切なのは、分析結果を具体的な改善行動につなげることです。例をいくつか挙げます。
- 新入社員のサポート得点が低い → 上司以外に数年上の先輩をメンターにする
- 中間管理職の負担・疲労が高い → サービス残業など隠れた負担がないか確認する
- 20〜30代女性のストレスが高い → 出産・育児のサポートやキャリア支援を見直す
- 特定部署で高ストレス者比率が高い → 業務負担、上司のマネジメント、取引先からの圧力などを点検する
- 50〜60代のエンゲージメントが低い → 役職定年・再雇用時にやる気を落とさない制度に見直す
進め方のポイントは、①産業医と連携する ②衛生委員会で具体的な活用方法を検討する ③管理職を「職場を良くする」という前向きなメッセージで巻き込む ④グループ討議で終わらせず、数か月単位の行動目標を立ててモニタリングする ことです。集団分析結果に加え、残業時間や休業者数、産業保健スタッフが日頃つかんでいる情報も併せると、より的確に職場を分析できます。
当事務所の「ストレスチェックWeb」で、実施から集団分析までスムーズに
うえまつ産業医事務所では、現場をよく知る産業医(所長の上松弘典)が開発した「ストレスチェックWeb」を使ってストレスチェックを実施しています。従業員はパソコンやスマートフォンから回答でき、個人結果票と集団分析報告書は自動で作成されます。上で紹介した「仕事のストレス判定図」も、部署ごとの位置と健康リスクが自動で表示されます。
紙の配布・回収や手作業での集計が不要になるため、実施事務従事者の方からは手間が大きく減り、使い勝手がよいと、受検した従業員の方からは受検がスムーズで、結果もわかりやすいと、好評をいただいています。高ストレス者からの面接指導の申出、産業医による面接指導まで、産業医事務所として一貫して対応できるのも特長です。
当事務所では、厚生労働省の標準57項目に職場環境に関する23項目を加えた80項目版(新職業性ストレス簡易調査票 推奨尺度セット短縮版)で実施しています。受検時間は約13分で、57項目版(約10分)とほとんど変わりません。
80項目版では、高ストレスの判定に加えて、職場のエンゲージメントやハラスメントの度合いまで、部署ごとに全国平均と比べて確認できます。主な項目は次のとおりです。
- ワーク・エンゲイジメント(仕事への熱意や活力)
- 職場のハラスメント(ハラスメントのない職場になっているか)
- 職場の一体感
- 上司のリーダーシップ・上司の公正な態度
- 公正な人事評価・キャリア形成・ワーク・セルフ・バランスなど、職場の資源に関する全22尺度
「ストレスが高い部署」を見つけるだけでなく、「エンゲージメントが下がっている」「ハラスメントの兆しがある」といった職場の課題まで見える化できるため、前述の職場改善の具体策を立てやすくなります。全国平均を下回る項目は報告書の中で色付きで示されるので、衛生委員会での議論にもそのまま使えます。
デモでは、従業員が回答する受検画面、個人結果票、集団分析報告書、面接指導の申出フォームを、架空企業のデータで実際にご覧いただけます。
結果を活かして改善を
ストレスチェックは「実施」がゴールではなく、集団分析を通じた職場改善のPDCAを回してこそ意味があります。2028年には全事業場での義務化も控えています。自社のデータを、働きやすい職場づくりに活かしてみませんか。
この記事を書いた産業医に、御社の状況を相談しませんか
嘱託産業医 月額30,000円〜/従業員50名未満の顧問契約 月額20,000円(法令上の業務を含む)/1回だけのスポット相談 20,000円。
営業日は当日返信、Web面談は最短翌営業日。「今の産業医が来てくれない」「50名を超えた」「復職判断に迷っている」といったご相談を多くいただいています。
