京都の産業医によるメンタルヘルス対策|メンタル不調・休職・復職の対応と相談窓口を京都の産業医が解説

「メンタル不調で休みがちな社員がいる」「休職した社員の復職をどう判断すればよいか分からない」「ストレスチェックの高ストレス者にどう対応すればよいのか」。京都の事業場の人事・総務担当の方から、産業医にいただくご相談のなかでも、メンタルヘルスの問題はとても多いテーマです。この記事では、京都市中京区(四条烏丸)で産業医事務所を開き、京都府内の企業・病院・工場を訪問している産業医の立場から、メンタルヘルス対策で産業医ができること、京都で使える公的な相談窓口、メンタル不調の社員が出たときの対応の流れ、産業医を選ぶときのチェックポイントをまとめます。
※メンタルヘルス対策の全体像は「職場のメンタルヘルス対策の全体像」もご覧ください。
結論:京都で産業医とメンタルヘルス対策を進めるときの要点
- 産業医の役割は治療ではなく、本人・職場・主治医の間に立って、働き方を医学的に判断し調整すること
- 従業員50人以上の事業場は、面談から休職・復職の判定まで継続して相談できる産業医を選任する
- 50人未満なら、京都府内7地域の地域産業保健センターを無料で使える。継続的な対応が必要ならスポット相談や顧問契約も選択肢
- 復職支援の仕組みづくりは京都産業保健総合支援センター、休職者本人の復職準備は京都障害者職業センターのリワーク支援も使える
- 2028年4月から、50人未満の事業場もストレスチェックが義務になる予定
産業医がメンタルヘルス対策でできること
産業医は、メンタル不調を「治す」医師ではなく、「働き続けられるように職場と一緒に調整する」医師です。京都の事業場で実際に行っている主な内容は次の6つです。
1. メンタル不調の社員との面談
本人の話を聞き、睡眠・食欲・疲れ・業務量・職場の人間関係などから、不調の程度と仕事への影響を確認します。本人の同意を得たうえで、上司や人事と業務量の調整や配置などの就業上の配慮を話し合います。面談で聞いた内容を、本人の同意なく職場に伝えることはありません。不調のサインと声のかけ方は「部下の『いつもと違う』に気づいたら」で解説しています。
2. 主治医との連携
受診が必要と判断したときは、精神科・心療内科への受診を勧めます。すでに通院している場合は、本人の同意を得て主治医に診療情報の提供を依頼し、職場の業務内容や配慮できることを伝えます。主治医は診察室での様子から、産業医は職場での働き方から判断するため、両方の情報を合わせることで無理のない働き方を決めやすくなります。病名による対応の違いは「うつ病・適応障害・不安障害の違いと職場の対応」をご覧ください。
3. 休職の判断と休職中のフォロー
主治医の診断書をもとに休職に入った後も、連絡の頻度や窓口を人事と決めておくと、本人の不安も職場の負担も減ります。休職前に復職までの道筋を決めておくことが、再休職を防ぐ近道です。詳しくは「復職支援の5ステップとリワーク」で解説しています。
4. 復職の判定と試し出勤
主治医の「復職可」の診断書は、日常生活が送れる程度に回復したことを示すものが多く、元の業務ができるかどうかまでは分からないことがあります。産業医は、生活リズム、通勤、集中力、業務の負荷を確認し、短時間勤務や業務制限などの段階的な復職プランを提案します。「復職基準の作り方」と「試し出勤の進め方と段階的な復職プラン」もあわせてご覧ください。
5. ストレスチェックと高ストレス者の面接指導
産業医はストレスチェックの実施者になり、高ストレスと判定されて申し出た人に面接指導を行い、就業上の措置について会社に意見を述べます。部署ごとの集団分析の結果を衛生委員会で話し合い、職場環境の改善につなげることも大切です。従業員の方が自分で試せる無料のストレスチェック(セルフチェック・57項目)も用意しています。制度の変更点は「ストレスチェック制度の見直しポイント」にまとめています。
6. 長時間労働者の面接指導とハラスメントへの対応
時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合、会社は医師による面接指導を行う必要があります。長時間労働やハラスメントはメンタル不調の大きな原因です。「過労死ラインとは」、「職場のハラスメント対策」もご参照ください。
産業医が行わないこと:診断・治療・投薬は主治医の役割です。産業医は「今の業務を続けられるか」「どのような配慮が必要か」を判断し、本人・職場・主治医の間を調整します。
京都でメンタルヘルスを相談できる公的な窓口
京都府内には、事業場が無料で使えるメンタルヘルスの相談窓口があります。目的に応じて使い分けると、産業医との連携もスムーズです。
| 窓口 | 対象 | メンタルヘルスで相談できること | 費用 |
|---|---|---|---|
| 地域産業保健センター(京都上・京都下・京都南・中丹・舞鶴・丹後・京都中部の7地域) | 労働者50人未満の事業場とその労働者 | メンタル不調の相談・指導、ストレスチェックの高ストレス者の面接指導 | 無料 |
| 京都産業保健総合支援センター(京都市中京区) | 事業者、産業医・衛生管理者などの産業保健スタッフ | 心の健康づくり計画・職場復帰支援プログラムの作成支援、管理監督者向け教育の講師派遣、専門相談 | 無料 |
| 京都障害者職業センター | 休職中の労働者と事業主 | リワーク支援(復職に向けた相談・計画づくり・支援のコーディネート) | 無料 |
| 京都労働局 総合労働相談コーナー | 労働者・事業主 | ハラスメントなど職場のトラブルの相談 | 無料 |
公的な窓口は無料で心強い一方、同じ医師が一人の社員を継続して担当し、休職から復職まで一貫して伴走する仕組みにはなっていません。従業員50人以上の事業場は産業医の選任が義務なので、メンタルヘルスまで継続して相談できる産業医を選ぶことが、いちばん確実な対策になります。
出典:京都産業保健総合支援センター「メンタルヘルス対策支援」、同「地域産業保健センター」、京都府「仕事・職場のメンタルヘルス」
メンタル不調の社員が出たときの対応の流れ
- 気づく:遅刻・欠勤の増加、ミスの増加、表情や口数の変化など「いつもと違う」に上司や同僚が気づく
- 声をかける:上司や人事が本人の話を聞き、産業医面談をすすめる
- 産業医面談:不調の程度と仕事への影響を確認し、受診の必要性を判断する
- 受診と主治医との連携:精神科・心療内科の受診につなぎ、本人の同意を得て主治医と情報を共有する
- 就業上の配慮または休職:業務量の調整、残業の制限、配置の変更、または主治医の診断書にもとづく休職
- 休職中のフォロー:連絡の頻度と窓口を決め、回復の様子を確認する
- 復職の判定:主治医の意見と産業医面談をもとに、会社が復職の可否と条件を決める
- 試し出勤と復職後のフォロー:短時間勤務などから段階的に戻し、再休職を防ぐため定期的に面談する
京都の産業医事務所として、現場で大切にしていること
うえまつ産業医事務所では、京都府内の一般企業のほか、病院2か所・クリニック1か所の産業医も担当しています。メンタルヘルスの対応で、日ごろ大切にしていることをご紹介します。
- 訪問の間もWeb面談で途切れさせない:京都府北部の事業場へは2か月に1回訪問し、その間に不調の相談があればWeb面談で対応しています。メンタル不調は、次の訪問まで待てないことが多いからです。
- 臨時の面談に追加費用をかけない:当事務所の契約は月額定額で、臨時の面談、主治医への診療情報提供依頼書や意見書の作成に追加費用はかかりません。費用を気にして面談をためらうと、対応が遅れてしまうためです。
- 医療職場の負担を知っている:病院・クリニックの産業医として、夜勤や交代勤務、患者対応のストレスなど、医療職ならではの負担も踏まえて面談します。
- 身体の病気を見落とさない:私は精神科の専門医ではなく、総合内科専門医です。気分の落ち込みやだるさの背景に、甲状腺の病気、貧血、睡眠時無呼吸などの身体の病気が隠れていないかも確認し、必要に応じて精神科・心療内科の主治医と連携します。
- 顔を合わせて話せる関係をつくる:紹介会社経由で産業医と契約していた医療機関(従業員約200名)から、「訪問に来てもらえない」「費用が高い」といった理由で当事務所に切り替えていただいた例があります。メンタル不調の対応は、職場に足を運び、顔を合わせて話せる関係があってこそ進みます。
- 難しい案件の相談も:顧問先のほか、別の産業医がいる会社、社会保険労務士、保健師の方から、対応の難しいメンタル不調の案件についてスポット相談を受けることもあります。
従業員50人未満の事業場のメンタルヘルス対策
従業員50人未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、メンタル不調はどの規模の職場でも起こります。また、改正労働安全衛生法により、2028年4月からは50人未満の事業場でもストレスチェックが義務になる予定です。50人未満の事業場では、次の方法を組み合わせるのが現実的です。
- 京都府内の地域産業保健センター(無料)で、メンタル不調の相談や高ストレス者の面接指導を受ける
- 対応が難しいケースだけ、産業医にスポット相談(1回20,000円・税別、Web面談で全国対応)する
- ストレスチェック(実施者込み1名330円)を義務化の前から始めて、職場の状態を把握しておく
メンタルヘルスに強い産業医を選ぶ6つのチェックポイント
- 臨時の面談に追加費用がかかるか
- 主治医への書類(診療情報提供依頼書・意見書)の作成に費用がかかるか
- 訪問の頻度と、訪問の間にWeb面談ができるか
- 休職・復職の判定に慣れているか
- ストレスチェックの実施者と高ストレス者の面接指導を任せられるか
- 同じ産業医が継続して担当するか
産業医の選び方全体は「産業医の選び方|失敗しない7つのチェックポイント」、紹介会社を通さずに契約する方法は「産業医と直接契約する方法」で解説しています。
よくある質問
Q. 京都で、メンタル不調の社員について産業医に相談できますか?
できます。産業医は本人との面談、上司・人事との就業上の配慮の調整、主治医との連携、休職・復職の判定まで対応します。うえまつ産業医事務所は京都市中京区(四条烏丸)を拠点に京都府内の事業場を訪問し、訪問の間はWeb面談でも対応しています。
Q. 産業医はメンタル不調の診断や治療をしますか?
しません。診断・治療・投薬は精神科・心療内科などの主治医の役割です。産業医は「今の業務を続けられるか」「どのような配慮が必要か」を医学的に判断し、本人・職場・主治医の間を調整します。
Q. 従業員50人未満の会社でも、メンタルヘルスの相談先はありますか?
あります。京都府内には地域産業保健センターが7地域にあり、50人未満の事業場はメンタル不調の相談や高ストレス者の面接指導を無料で利用できます。継続的な対応が必要な場合は、産業医へのスポット相談や顧問契約も選択肢です。
Q. 休職や復職は誰が判断しますか?
最終的に決めるのは会社です。主治医の診断書と、職場の業務内容を知る産業医の意見をもとに、会社が就業規則に沿って判断します。主治医の「復職可」は日常生活ができる程度の回復を示すことが多いため、元の業務ができるかを産業医面談で確認するのが一般的です。
Q. 精神科医の産業医でないと、メンタルヘルスには対応できませんか?
そうとは限りません。産業医の役割は治療ではなく、働き方の判断と調整です。診断や治療が必要な場合は精神科・心療内科の主治医と連携します。また、気分の落ち込みやだるさの背景に甲状腺の病気や貧血、睡眠時無呼吸などの身体の病気が隠れていることもあるため、内科の視点も役立ちます。
Q. 2028年からストレスチェックはどう変わりますか?
改正労働安全衛生法により、2028年4月から従業員50人未満の事業場もストレスチェックの実施が義務になる予定です。実施者の確保、高ストレス者の面接指導の体制、結果の扱いのルールを、早めに準備しておくと安心です。
まとめ
メンタルヘルス対策で産業医が担うのは、治療ではなく、本人・職場・主治医の間に立って働き方を判断し、調整することです。京都には無料で使える公的な窓口もありますが、面談から休職・復職まで一貫して伴走するには、継続して相談できる産業医の存在が欠かせません。京都でメンタルヘルスに対応できる産業医をお探しの方は、うえまつ産業医事務所にご相談ください。嘱託産業医は月額30,000円〜(税別)、お問い合わせには翌営業日までに返信します。
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この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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