再休職を防ぐ「試し出勤」と段階的アプローチ

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、前回の「復職支援における主治医の診断書の扱い」の続きとして、【再休職を防ぐ段階的アプローチ】をテーマにお話しします。

いざ休職していた従業員の復職が決まった際、現場の管理職から「どう接していいか分からない」「また体調を崩されたら困るから、とりあえず簡単なコピー取りや雑務だけ頼もう」といった声が上がることがあります。 しかし、このような「腫れ物扱い」や「過剰な配慮」が、ご本人の孤独感や焦りを深め、結果として再休職の引き金になってしまうことが少なくありません。

1. 復職のアプローチは「骨折のリハビリ」と同じ

休職からの復帰は、骨折後のリハビリテーションと同じように考えることが大切です。

ギプスが外れた(=主治医から復職可能の診断が出た)からといって、次の日からいきなりフルマラソンを走らせる(=残業ありの通常業務に戻す)ことはしませんよね。 まずは少しずつ歩く練習から始め、徐々に距離やスピードを伸ばしていくはずです。メンタルヘルス不調からの復職においても、これと全く同じステップを踏むことが、再休職を防ぎ、職場復帰を果たすための絶対条件となります。

2. リスタートを成功に導く復職プラン3つのポイント

では、具体的にどのようなステップで復職を進めればよいのでしょうか。現場と連携して実践すべきポイントをご紹介します。

① 正式な復職前に「試し出勤」を活用する

可能であれば、正式に職場復帰する前に「試し出勤(リハビリ出勤)」の期間を設けることを推奨します。 例えば、「最初の1週間は午前中のみ出社し、社内の図書室や空き会議室で過ごす」「次の1週間は定時まで自席で簡単な事務作業を行う」といった具合です。 これにより、満員電車での通勤に耐えられるか、職場の空気や人間関係の中で安定して過ごせるかを、労務リスクを抑えながら安全にテストすることができます(※実施にあたっては、給与や労災の取り扱いについて社内規程等で事前のルール決めが必要です)。

② 期間を決めて「徐々に」業務負荷を上げる

復職後も、「とりあえず当面は残業禁止で」と曖昧にするのではなく、具体的な計画を作成します。 「1ヶ月目は残業ゼロ・定時退社を厳守する」「問題がなければ、2ヶ月目から月10時間までの残業を許可する」といったように、明確な期間と基準を設けます。そして、そのステップの区切りごとに産業医や人事が面談を行い、「次のステップ(負荷)に進んで大丈夫か」を医学的・客観的に評価することが大切です。

③ 現場には「フラットに接してほしい」と伝える

人事担当者から現場の管理職や同僚には、「無理に気を遣いすぎず、今まで通りフラットに接してください」と伝えてください。 過剰な特別扱いや、良かれと思って仕事を取り上げてしまうことは、ご本人の「職場に貢献できていない」という焦りや自己肯定感の低下に直結します。 残業禁止などの決まった制限(就業上の措置)は厳守しつつ、その範囲内で任せられる業務はしっかりと任せることが、ご本人の自信回復とスムーズな適応に繋がります。

おわりに

復職は、決してゴールではなく「新しい働き方のリスタート」です。

そして、そのリスタートに寄り添い伴走するのは、ご本人や人事担当者だけでなく、現場の管理職や同僚など「チーム全員」です。復職プランのルールと計画を関係者間でしっかりと共有し、誰もが安心できる復職支援の仕組みを作っていきましょう。