「昨夜の食事」が翌日の仕事を左右する?

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、「夜の食生活と翌日の仕事のパフォーマンス」についてお話しします。

残業で遅く帰った夜、ついラーメンやスナック菓子を食べてしまい、翌朝なんとなく胃もたれや気分の重さを感じた……。多くの働く方に心当たりがあるのではないでしょうか。

1. 夜の「不健康な食事」は翌日の生産性を下げる?

米国の研究機関による調査で、夜遅くに不健康な食事(食べ過ぎ、ジャンクフードの摂取など)をした翌朝には、罪悪感といったネガティブな感情や、胃痛・下痢などの身体的な不調が生じやすいことが報告されています。

さらに注目すべきは、こうした朝の心身の不調が引き金となり、その日の午後には「同僚を手助けする行動が減る」「仕事から距離を置く(回避行動が増える)」といった、業務上のパフォーマンス低下にまで波及していたことです。

つまり、夜の食生活の乱れは、単に「体重が増える」「健康診断の数値が悪化する」という個人の問題にとどまらず、翌日のチームワークや生産性にまでダイレクトに影響を及ぼすということです。一方で、感情の安定性が高い人ほどこの悪影響を受けにくいことも示されており、心の健康と食生活が密接に関係していることが分かります。

2. 国のガイドラインも「食事」を重要な職場課題に

こうした背景から、企業が従業員の食生活をサポートすることは「健康経営」の重要な柱となっています。

2024年度からスタートした「健康日本21(第三次)」では、栄養・食生活の改善が引き続き重点分野とされ、職場ぐるみでの健康づくりが求められています。また、厚生労働省の「労働者の健康保持増進のための指針」においても、事業場の実情に応じて食生活を含めた生活習慣への働きかけを行うことが推奨されています。

現在、多くの企業が取得を目指す「健康経営優良法人」の認定においても、食生活改善に向けた具体的な支援(食環境の整備や情報提供など)は重要な評価項目の一つとなっています。

3. 「食のマネジメント」に向けて職場と個人でできること

食生活の改善は、個人の意志力(セルフケア)だけでは限界があります。企業側の環境づくりと両輪で進めることが重要です。

① 企業・人事担当者ができるアプローチ

まず根本的に見直すべきは「労働時間」です。長時間の残業は夕食の時間を遅らせ、結果的に夜の「ドカ食い」や不健康な間食に繋がります。「ノー残業デーの徹底」や「勤務間インターバル制度の導入(休息時間の確保)」は、立派な食生活対策です。 加えて、健康的なメニューを提供する社員食堂や置き型社食の導入、衛生委員会を通じた具体的な情報発信なども非常に有効な手段となります。

② 従業員個人ができるアプローチ

毎日完璧な食事を目指す必要はありません。まずは以下の小さな工夫から始めてみましょう。

  • 帰りが遅くなる日は「分食」をする:夕方、まだオフィスにいる時間帯におにぎりなどの炭水化物を軽くお腹に入れておき、帰宅後は消化の良いスープや野菜など軽めの食事にする。
  • 夜遅い時間の食事は「脂質」を控える:睡眠の質を下げ、胃腸の負担となる脂っこいものを避ける。 これだけでも、翌朝の不快感や気分の落ち込みを防ぎ、翌日のパフォーマンスをしっかりと守ることができます。

おわりに

食事は、私たちにとって最も身近なセルフケアでありながら、同時に「労働環境(働き方)」の影響を最も強く受けるものでもあります。

当事務所では、産業医面談や衛生委員会への参加を通じて、こうした生活習慣と働き方の両面からのアプローチをサポートしています。従業員の皆さんが毎日ベストな状態で仕事に向かえるよう、「食」から見直す健康経営を一緒に進めていきましょう。

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