テレワークの疲労を防ぐ!仕事とプライベートの「境界線」

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、すっかり私たちの働き方として定着したからこそ改めて見直したい、「テレワークにおける健康課題とオン・オフの切り替え」をテーマにお話しします。

1. 「通勤」がないと、脳はずっと働き続けてしまう?

テレワークは、通勤のストレスや時間を削減でき、育児や介護との両立もしやすくなるなど多くのメリットがある働き方です。しかし一方で、面談では「夜遅くまでダラダラと仕事をしてしまう」「ずっと家にいるのに、なぜか会社に出社している時よりも疲労感がある」といったお悩みが急増しています。

仕事とプライベートの境界線をどう引くかという「境界理論(Boundary Theory)」という考え方があります。私たちはこれまで、「通勤」という物理的な移動時間を挟むことで、脳と身体を仕事モード(交感神経が優位な状態)から、リラックスモード(副交感神経が優位な状態)へと無意識に切り替えていました。

しかし、テレワークではこの「境界線」が曖昧になります。厚生労働省のガイドラインでも、仕事と生活の切り分けが難しくなることによる長時間労働や、メンタルヘルス不調へのリスクが強く指摘されています。切り替えのスイッチがないままでは、脳がずっと「交感神経(戦闘モード)」のままになり、睡眠の質の低下や慢性的な疲労に繋がってしまうのです。

2. 脳のモードを切り替える3つの「スイッチ」

失われた境界線を意識的に引き直し、脳に「ここから先は休み時間だ」と認識させる工夫が必要です。日常に取り入れやすい具体的な3つの方法をご紹介します。

① 1日15分の「疑似通勤」を取り入れる

始業前や終業後に、あえて家の周りを15分ほど散歩してみてください。これを「疑似通勤」と呼びます。外の空気を吸い、歩くことで適度なリズム運動になり、精神を安定させるセロトニン(幸せホルモン)が分泌されます。帰宅してドアを開けるときには、スッキリと脳のモードが切り替わっているはずです。

② 終業後は仕事道具を「視界から消す」

リビング等で仕事をしている方に特に実践していただきたいのが、「視覚の境界線」を作ることです。仕事が終わったらパソコンを閉じるだけでなく、引き出しにしまう、あるいは布をかけて見えないようにしましょう。「仕事の道具が目に入らない」環境を作るだけでも、脳はしっかりとリラックスモードに入ることができます。

③ 「着替え」をオン・オフのルーティンにする

「誰にも会わないから、1日中部屋着で仕事をしている」という方は要注意です。朝起きたら仕事用の服(ゆったりしたもので構いません)に着替え、終業後はリラックスできる部屋着に「着替える」。この行動自体が、気持ちを切り替える強力なオン・オフの習慣になります。

安心して「オフ」になれるチームのルールづくり

テレワーク環境下では、個人のセルフケアだけでなく「チーム内のルールづくり」も非常に重要になります。

「業務時間外のチャットやメールには返信しなくてよい」「休みの日は通知をオフにする」といったルールをチームで明確にしておくことで、従業員は安心して「オフ」になることができ、心理的安全性も高まります。

従業員の皆さんが、高いパフォーマンスを発揮し続けられるよう、「チームのルール」を見直してみてくださいね。