【運動】現場での生活習慣病予防

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、生活習慣病予防の第一歩となる【身体活動・運動習慣】についてお話しします。

皆さんは、日頃から運動する習慣がありますか?「週に何回か体を動かしている」という方もいれば、「忙しくてそれどころではない」という方もいらっしゃると思います。実はこの「日常的に動いているか」という問いこそが、働く人の将来の健康を大きく左右する重要なポイントです。

1. 「動かないこと」は喫煙に次ぐ健康リスク

WHO(世界保健機関)は、世界の成人の約31%が身体活動不足の状態にあると報告しています。さらに、身体活動・運動の不足を、高血圧、喫煙、高血糖に次ぐ「死亡の第4の危険因子」に位置づけています。 日本の職場でも、デスクワークの増加や活動的な移動手段の減少により、この問題はますます深刻化しています。

特別なスポーツをしなくても、日常の身体活動(通勤時の歩行など)を続けるだけで、2型糖尿病や高血圧の発症リスクを下げることが分かっています。さらには、心血管疾患(冠動脈疾患・脳血管障害)や一部のがん(大腸がん・乳がん・子宮体がんなど)のリスク低下、総死亡リスクの軽減とも関連すると報告されています。

また、運動不足と並んで見逃せないのが「座りっぱなし(座位時間の長さ)」です。デスクワーク等で座っている時間が長いほど、糖尿病などの発症リスクが上がることが分かっており、働き方そのものを見直す必要性が高まっています。

2. 目標は1万歩ではなく「1日8,000歩」と「プラス・テン」

「運動が大事なのは分かるけれど、毎日1万歩も歩けない」と諦めてしまっていませんか?

2024年1月、厚生労働省が10年ぶりに改訂した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、以下のような基準が推奨されています。

  • 1日約8,000歩(歩行などを1日60分以上)を目安にする
  • 筋力トレーニングを週2〜3日(自重のスクワットや腕立て伏せでもOK)
  • 座りっぱなしの時間を減らす

ここで重要なのは「プラス・テン(今より10分多く動く)」という考え方です。必ずしも「1万歩」という高いハードルを目指さなくても、少ない歩数から十分な死亡リスクの低減効果が認められています。まずは現状から「プラス10分」動くことを目標にしてみましょう。

3. 企業と個人で取り組む「実行できる一歩」

忙しく働く方に「運動してください」と伝えるだけでは、なかなか行動を変えることは困難です。強度の高い運動でなくても、通勤や日常の歩行といった生活活動が立派な予防策になります。

【個人のアクション:日々の小さな積み重ね】

  • 一駅手前で降りて歩く
  • エレベーターやエスカレーターより階段を使う
  • 1時間に一度は立ち上がり、ストレッチをする

【企業のアクション:動きやすい環境づくり】

健康診断の事後措置や保健指導の場面で、担当者が「現在の歩数はどのくらいですか?」「あと10分、日常のどこで歩数を足せそうですか?」と一緒に考えるだけで、従業員の行動は変わります。本人が「これならできそう」と思える目標を、その場で一緒に設定することが何より大切です。 また、立って打ち合わせができるスペース(スタンディングデスク)の設置、階段利用を促すポスターの掲示、休憩時の軽い体操の声かけなど、会社全体で「動きやすい職場環境」を整備することも、優れた健康投資に繋がります。

おわりに

「今より少しでも多く動く」。 その毎日の小さな積み重ねが、生活習慣病を防ぎ、働く人の健康寿命を確実に延ばします。

まずは今日、いつもより「10分(約1,000歩)」だけ多く歩くことから始めてみませんか?企業と従業員が一体となって、健康的な習慣づくりに取り組んでいきましょう。

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