男性の更年期(LOH症候群)

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、【男性更年期障害(LOH症候群)】についてお話しします。

40代や50代の男性社員で、「最近、急に仕事のミスが増えた」「会議での発言が減り、覇気がない」といった様子が見られる場合、それは単なる疲れや本人の怠慢ではなく、男性ホルモンの低下による「病気」のサインかもしれません。

1. 女性の更年期との違い

男性更年期障害(正式には「加齢男性性腺機能低下症候群=LOH症候群」と呼びます)は、加齢や強いストレスによって、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量が減少することで引き起こされる、心身の様々な不調のことです。

女性の更年期障害が、閉経前後の約10年間に女性ホルモンが「急激に減少」することで起こり、時期が過ぎればある程度症状が落ち着くのに対し、男性の場合は少し特徴が異なります。 男性ホルモンは20代をピークに「ゆるやかに減り続ける」ため、40代以降であればどの年代でも起こり得ます。また、明確な終わりがないため、症状が長期にわたって続いてしまうケースが多いのが特徴です。

2. 幅広い症状としてあらわれる

テストステロンは、筋肉や骨格を維持するだけでなく、決断力や意欲、チャレンジ精神といった「前向きなエネルギー」を生み出す重要なホルモンです。そのため、減少すると以下のような幅広い症状が現れます。

  • 身体の症状:強い疲労感、筋力低下、ほてり・発汗、睡眠障害、メタボリックシンドロームの悪化など
  • 精神の症状:イライラ、抑うつ(気分の落ち込み)、意欲や記憶力の低下、不安感など

職場で特に見逃されやすいのが、「集中力が落ちる」「気力が湧かない」といった精神的な症状です。 これらが「本人のやる気の問題」として不当に低く評価されてしまったり、あるいは「うつ病」と自己判断されて長期間休職したものの、抗うつ薬が全く効かず、実はLOH症候群だったと後から判明したりするケースも少なくありません。

3. 個人と職場で取り組む「見えない不調」への対策

責任ある40〜50代は、仕事のプレッシャーも大きく、ストレスがテストステロンの減少に拍車をかける世代でもあります。個人と組織、それぞれのアプローチが必要です。

① 個人のセルフケアと受診の目安

予防の基本は生活習慣です。「タンパク質を意識したバランスの良い食事」「週3日以上の有酸素運動(早歩きなど)」「十分な睡眠」がテストステロンの維持に直結します。 もし不調を感じたら、インターネット等で公開されている「AMSスコア(加齢男性症状調査票)」という自己チェック表を試してみてください。点数が高い場合は、我慢せずに「泌尿器科」や「メンズヘルス外来」を受診しましょう。血液検査で数値を調べ、ホルモン補充療法や漢方薬などでしっかりと治療できる病気です。

② 企業側の「知る」というサポート

企業としては、まず「男性にも更年期がある」という事実を社内に周知することが最大のサポートになります。 健康課題を個人の問題として片付けず、管理職研修などで知識を共有し、「最近しんどそうだけれど大丈夫?」と声をかけ合い、必要に応じて産業医面談に繋ぐことができる風通しの良い職場環境(心理的安全性)を作ることが、貴重なベテラン人材を守る防波堤となります。

おわりに

「最近どうも調子が出ないけれど、年のせいだろう」「男が更年期だなんて情けない」。 そんな風に、一人で抱え込んでご自身を責める必要はありません。

男性更年期障害は、きちんとした医学的アプローチで改善できる疾患です。「いつもと違う」つらさが続くときは、決して無理をせず、医療機関や産業医・産業保健スタッフへお気軽にご相談ください。

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