4つのケアと復職の体制

前回は、個人が「いつもと違う」に気づいて対応するコツをお話ししました。ただ、メンタルヘルスは個人の頑張りだけで支えきれるものではありません。今回は、組織として整えたい仕組みを取り上げます。

なぜ企業が取り組むのか

会社がメンタルヘルス対策を行うのは、「従業員が安心して力を発揮できる職場をつくるため」です。こころの健康が守られていれば、みんなが生き生きと働き、成果も上がります。逆に不調を放置すれば、ミスや休職が増え、離職による人材不足を招き、組織全体の力が落ちてしまいます。

経済産業省も、「心の健康」への投資が、生産性や従業員エンゲージメントの向上、企業価値の向上につながると整理しています。メンタルヘルスは、福利厚生ではなく経営そのものに関わるテーマなのです。

基本は「4つのケア」

厚生労働省は、効果的なメンタルヘルス対策として4つのケアを組み合わせることを推奨しています。

①セルフケアーー従業員が自分のストレスに気づき、対処できるようにすること。
②ラインケアーー管理監督者が職場環境を把握・改善し、部下の相談に応じること。
③事業場内産業保健スタッフによるケアーー産業医・保健師・人事労務が従業員や管理職を支え、施策を企画すること。
④事業場外資源によるケアーー外部EAPなど専門機関の支援を活用することです。
この4つがそろって、初めて職場全体を支える体制になります。

気づきを促す「ストレスチェック」

年1回のストレスチェックは、従業員自身がストレスに気づき、不調を未然に防ぐ(一次予防)ための制度です。集団分析を職場環境の改善につなげることもできます。

大きな変更点として、これまで50人以上の事業場に限られていた実施義務が、法改正により2028年4月から原則すべての事業場に拡大されます。小規模な職場も、今から準備を意識しておくと安心です。

相談窓口と、休職・復職の備え

「どう対応していいかわからない」ときに専門家へつなげるよう、社内(産業保健スタッフ)と社外(外部EAPなど)の相談窓口を整えておきましょう。利用にあたっては、相談内容や健康情報のプライバシーへの配慮が欠かせません。

あわせて重要なのが、休職・復職の仕組みです。安心して療養できる長期休業制度と、円滑に戻れる職場復帰支援を整えておきます。厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」は、休業開始から復帰後のフォローまでを5つのステップで示し、試し出勤やリワーク(復職支援)プログラムの活用にも触れています。復職を本人任せにせず、産業医の意見をふまえて計画的に進めることが、再発防止の鍵になります。

組織全体で取り組む

管理監督者は相談や情報が集まりやすい立場ですが、抱え込む必要はありません。産業医・看護職・人事労務・主治医など関係者と連携して対応しましょう。誰もが安心して働ける職場づくりのために、組織全体でメンタルヘルスに取り組むことが大切です。

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