作業環境測定とは|対象の作業場と頻度、作業環境測定士への依頼、管理区分と第3管理区分の措置(2024年4月から)を産業医が解説

「作業環境測定は、どの作業場で、何か月ごとに必要?」「第3管理区分になったら何をすればいい?」。有機溶剤や粉じん、特定化学物質を扱う工場の安全衛生担当の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、作業環境測定が必要な作業場と頻度、作業環境測定士への依頼、管理区分ごとの措置、2024年4月から強化された第3管理区分の措置を、条文にもとづいて解説します。
結論:有害な作業場は定期に測定し、結果を3つの管理区分で評価して改善につなげる
- 作業環境測定が必要な作業場は、労働安全衛生法施行令第21条で10種類に定められています(粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛、騒音、暑熱など)。
- 有機溶剤・特定化学物質・粉じん・騒音の作業場は6か月以内ごとに1回測定します。鉛は1年以内ごとに1回です。
- 粉じん・有機溶剤・特定化学物質・鉛などの指定作業場では、作業環境測定士(または作業環境測定機関)に測定させます(作業環境測定法第3条)。
- 結果は第1〜第3管理区分で評価し、第3管理区分なら直ちに改善します。改善が難しい場合は、外部の専門家の意見を聴き、呼吸用保護具を使わせる措置が2024年4月から義務になりました。
作業環境測定が必要な作業場と頻度
| 作業場 | 測定の頻度 | 記録の保存 |
|---|---|---|
| 粉じんを著しく発散する屋内作業場 | 6か月以内ごとに1回 | 7年(粉じん障害防止規則第26条) |
| 有機溶剤を製造し、または取り扱う屋内作業場 | 6か月以内ごとに1回 | 3年(有機溶剤中毒予防規則第28条) |
| 特定化学物質(第1類・第2類)を製造し、または取り扱う屋内作業場 | 6か月以内ごとに1回 | 3年(特別管理物質は30年。特定化学物質障害予防規則第36条) |
| 鉛業務を行う屋内作業場 | 1年以内ごとに1回 | 3年(鉛中毒予防規則第52条) |
| 著しい騒音を発する屋内作業場 | 6か月以内ごとに1回 | 3年(労働安全衛生規則第590条) |
| 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場 | 半月以内ごとに1回(気温・湿度など) | 3年(労働安全衛生規則第607条) |
| 中央管理方式の空調設備がある事務所 | 2か月以内ごとに1回(一酸化炭素・二酸化炭素、室温、湿度など) | 3年(事務所衛生基準規則第7条) |
| このほか、坑内の作業場、放射線業務を行う作業場、酸素欠乏危険場所 | 規則ごとに定められた頻度 | 規則ごと |
測定の結果は、作業場の空気中の濃度などが基準にどれだけ近いかを示すもので、職場の健康リスクの「見える化」です。特殊健康診断の結果とあわせて見ると、ばく露を減らす対策の優先順位をつけやすくなります(特殊健康診断とは)。
誰が測定するか:作業環境測定士と指定作業場
粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛などの作業場は指定作業場とされ、事業者は自社の作業環境測定士に測定させるか、作業環境測定機関に委託しなければなりません(作業環境測定法第3条)。多くの中小企業は、作業環境測定機関に委託しています。騒音や暑熱などの指定作業場以外の測定は、事業者が自ら行うこともできます。
管理区分と措置
有機溶剤・特定化学物質・粉じん・鉛の測定結果は、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準にしたがって、第1〜第3管理区分に評価し、その記録を保存します(有機溶剤中毒予防規則第28条の2など)。
| 管理区分 | 状態 | 主な措置 |
|---|---|---|
| 第1管理区分 | 作業環境の管理が適切 | 現在の管理を続ける |
| 第2管理区分 | 改善の余地がある | 点検を行い、作業環境を改善するよう努める |
| 第3管理区分 | 管理が適切でない | 直ちに設備・作業工程・作業方法を点検して改善し、効果を確認するため再測定・評価する。労働者に有効な呼吸用保護具を使わせ、評価結果と措置を周知する |
2024年4月から:第3管理区分の改善が難しいときの措置
第3管理区分に区分された場所では、2024年4月から、次の手順が義務づけられました(有機溶剤中毒予防規則第28条の3の2など)。
- 外部の作業環境管理専門家の意見を聴く:第1・第2管理区分にできるかどうか、そのためにどんな改善が必要かについて、事業場に属さない専門家の意見を聴きます。
- 改善できる場合:直ちに必要な措置を行い、再測定して効果を確認します。
- 改善が難しい場合:個人サンプリングなどで濃度を測定し、その結果に応じた有効な呼吸用保護具を使わせます。面体のある呼吸用保護具は、適切に装着できているかを確認(フィットテスト)し、記録を3年間保存します。保護具着用管理責任者も選任します。
- 第1・第2管理区分になるまで:6か月以内ごとに濃度を測定し、呼吸用保護具の装着の確認を1年以内ごとに行います。
フィットテストの詳細はマスクのフィットテスト義務化とは、化学物質管理全体の流れは化学物質の自律的管理で解説しています。
産業医が関わること
- 測定結果の報告を衛生委員会で確認し、改善の優先順位を話し合う(衛生委員会の議題例)
- 職場巡視で、局所排気装置の稼働、作業方法、保護具の使い方を確認する(産業医の職場巡視)
- 特殊健康診断の結果と測定結果をあわせて、ばく露の多い作業を見つける
- 第3管理区分の場所で働く社員の健康状態を確認し、就業上の措置を助言する
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、作業環境測定の結果の読み方、衛生委員会での審議、職場巡視での確認、特殊健康診断の結果とあわせた助言を、毎月定額の範囲で行います(測定そのものは作業環境測定機関に依頼してください)。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
作業環境測定はどのくらいの頻度で必要ですか?
有機溶剤、特定化学物質、粉じん、騒音の作業場は6か月以内ごとに1回、鉛の作業場は1年以内ごとに1回です。暑熱などの作業場は半月以内ごと、中央管理方式の空調がある事務所は2か月以内ごとです。
作業環境測定は自社で行えますか?
粉じん、有機溶剤、特定化学物質、鉛などの指定作業場では、作業環境測定士に測定させるか、作業環境測定機関に委託する必要があります(作業環境測定法第3条)。
第3管理区分になったら何をすればよいですか?
直ちに設備や作業方法を点検して改善し、再測定で効果を確認します。改善が難しい場合は、外部の作業環境管理専門家の意見を聴き、有効な呼吸用保護具を使わせ、フィットテストを行います(2024年4月施行)。
作業環境測定の記録は何年保存しますか?
有機溶剤・特定化学物質・鉛・騒音などは3年、粉じんは7年、特定化学物質のうち特別管理物質は30年です。
まとめ
作業環境測定は、有害な作業場の空気中の濃度などを定期に測り、第1〜第3管理区分で評価して改善につなげる仕組みです。第3管理区分になったら直ちに改善し、難しい場合は外部の専門家の意見と呼吸用保護具の管理まで進めます。結果は衛生委員会で共有し、特殊健康診断の結果とあわせて活かしましょう。
化学物質を小分けして保管するときの容器の表示は、小分け容器のラベル表示(無料のラベル作成ツール付き)で解説しています。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 有機溶剤中毒予防規則(e-Gov法令検索)
- 特定化学物質障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 粉じん障害防止規則(e-Gov法令検索)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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