作業主任者とは|選任が必要な作業(有機溶剤・特定化学物質・酸欠・足場など)、免許と技能講習、氏名の掲示、職務を産業医が解説

「有機溶剤を使う職場には作業主任者が必要?」「作業主任者は誰でもなれる?」「選任したら届出はいる?」。工場や建設現場の安全衛生担当の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、労働安全衛生法第14条の作業主任者について、選任が必要な作業、必要な資格(免許・技能講習)、氏名の掲示、作業主任者の職務を、有機溶剤作業主任者などの例を交えて解説します。
結論:政令で定める作業には、資格者から作業主任者を選任する
- 有機溶剤・特定化学物質・鉛・石綿の取扱い、酸素欠乏危険場所での作業、足場の組立てなど、政令で定める作業では、作業の区分に応じて作業主任者を選任し、労働者の指揮などを行わせなければなりません(労働安全衛生法第14条、同法施行令第6条)。
- 作業主任者は、都道府県労働局長の免許を受けた人か、登録教習機関の技能講習を修了した人から選びます(労働安全衛生規則第16条・別表第1)。
- 選任したら、氏名と行わせる事項を作業場の見やすい場所に掲示するなどして関係労働者に知らせます(同規則第18条)。
- 業種や事業場の規模にかかわらず、該当する作業があれば必要です。選任しなかった場合は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(同法第119条)。

選任が必要な主な作業と資格

| 作業 | 作業主任者の名称 | 資格 |
|---|---|---|
| 屋内作業場やタンクの内部などで有機溶剤を製造・取り扱う作業 | 有機溶剤作業主任者 | 技能講習 |
| 特定化学物質を製造・取り扱う作業(試験研究のための取扱いなどは除く) | 特定化学物質作業主任者 | 技能講習 |
| 鉛業務 | 鉛作業主任者 | 技能講習 |
| 石綿等を取り扱う作業 | 石綿作業主任者 | 技能講習 |
| 酸素欠乏危険場所での作業 | 酸素欠乏危険作業主任者 | 技能講習 |
| つり足場、張出し足場、高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更 | 足場の組立て等作業主任者 | 技能講習 |
| 掘削面の高さが2m以上の地山の掘削 | 地山の掘削作業主任者 | 技能講習 |
| 動力プレス機械を5台以上有する事業場での当該機械による作業 | プレス機械作業主任者 | 技能講習 |
| 丸のこ盤などの木材加工用機械を5台以上有する事業場での当該機械による作業 | 木材加工用機械作業主任者 | 技能講習 |
| ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い | ボイラー取扱作業主任者 | ボイラー技士の免許 |
| アセチレン溶接装置などを用いる金属の溶接・溶断 | ガス溶接作業主任者 | 免許 |
| エックス線装置を使用する放射線業務 | エックス線作業主任者 | 免許 |
このほか、型枠支保工、建築物等の鉄骨の組立て、コンクリート造の工作物の解体、乾燥設備、第一種圧力容器、はい作業など、政令第6条には30を超える作業が定められています。化学物質に関する作業では、対象となる物質や含有率、作業場所によって必要かどうかが変わるので、安全データシート(SDS)で成分を確認しましょう。
作業主任者の職務(有機溶剤作業主任者の例)
作業主任者の職務は、作業ごとの規則で定められています。たとえば有機溶剤作業主任者の職務は次のとおりです(有機溶剤中毒予防規則第19条の2)。
- 労働者が有機溶剤に汚染されたり吸入したりしないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
- 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置を1か月を超えない期間ごとに点検すること
- 保護具の使用状況を監視すること
- タンクの内部で作業するときは、定められた措置が講じられていることを確認すること
同じ場所で一つの作業について作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの職務の分担を定めます(労働安全衛生規則第17条)。交代勤務の職場では、各勤務帯に作業主任者がいるように配置しておくことが大切です。
職長教育・化学物質管理者との違い
作業主任者は、特定の作業について現場で直接指揮する人で、資格が必要です。一方、職長は作業全般で部下を指導・監督する立場の人で、対象業種では職長等教育を受けますが、作業主任者は職長等教育の対象から除かれています(職長教育とは)。また、化学物質の自律的管理で選任する化学物質管理者は、事業場の化学物質の管理を技術的に担当する人で、作業主任者とは役割が異なります(化学物質の自律的管理)。
産業医が関わること
- 職場巡視で、作業主任者の氏名の掲示、局所排気装置の点検記録、保護具の使用状況を確認する(産業医の職場巡視)
- 有機溶剤・特定化学物質・鉛などの特殊健康診断の結果をもとに、作業方法や換気の改善を作業主任者と一緒に検討する(特殊健康診断とは(対象業務・頻度・報告))
- 衛生委員会で、作業環境測定の結果と改善策を審議する
作業主任者の氏名と行わせる事項の掲示(労働安全衛生規則第18条)は、記入して印刷できるひな形を使えます。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、製造業の職場巡視での作業主任者の掲示や局所排気装置・保護具の確認、特殊健康診断の結果にもとづく作業改善の助言、衛生委員会での審議を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
作業主任者は誰でもなれますか?
作業の区分ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた人、または技能講習を修了した人から選任します(労働安全衛生規則第16条・別表第1)。有機溶剤作業主任者は有機溶剤作業主任者技能講習の修了者です。
作業主任者を選任したら届出は必要ですか?
労働基準監督署への選任報告の義務はありませんが、氏名とその人に行わせる事項を作業場の見やすい場所に掲示するなどして、関係労働者に周知しなければなりません(労働安全衛生規則第18条)。
小さな工場でも作業主任者は必要ですか?
事業場の規模にかかわらず、政令で定める作業を行うなら必要です。ただし、プレス機械や木材加工用機械のように、機械の台数が要件になっている作業もあります(労働安全衛生法施行令第6条)。
作業主任者を選任しないとどうなりますか?
労働安全衛生法第14条違反として、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(同法第119条)。
まとめ
作業主任者は、有機溶剤・特定化学物質・鉛・石綿・酸素欠乏危険作業・足場の組立てなどの作業で、免許や技能講習の資格を持つ人から選任し、現場の指揮や設備の点検を行わせる仕組みです。選任したら氏名と職務を掲示し、交代勤務でも不在の時間がないように配置しましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 有機溶剤中毒予防規則(e-Gov法令検索)
- 特定化学物質障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 石綿障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
あわせて読みたい

