石綿(アスベスト)健康診断とは|対象業務、6か月ごとの項目、過去に従事した人の健診、40年保存、健康管理手帳を産業医が解説

「古い建物の解体・改修工事で石綿(アスベスト)を扱うことがある。健診は何をすればいい?」「昔石綿の作業をしていた社員にも健診が必要?」「記録は40年?」。建設業・解体業・設備工事の会社の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、石綿健康診断の対象、頻度と項目、過去に従事した人の健診、記録の40年保存、健康管理手帳を、石綿障害予防規則(石綿則)にもとづいて解説します。
結論:石綿の粉じんが出る業務の人と、過去に従事した人に、6か月以内ごとに実施
- 対象は、石綿等の取扱いなどに伴い石綿の粉じんを発散する場所での業務に常時従事する労働者です(石綿則第40条第1項)。建築物の解体・改修工事での作業も含まれます。
- 雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回、医師による健康診断を行います。
- 過去にその業務に常時従事させたことがあり、現在も雇っている人にも、6か月以内ごとに健診を行います(同条第2項)。
- 結果は石綿健康診断個人票で、その業務に従事しなくなった日から40年間保存し、定期の健診は規模にかかわらず報告します(同規則第41条・第43条)。

健診の項目
| 健診 | 項目 |
|---|---|
| 一次健診(6か月以内ごと) | ①業務の経歴の調査、②石綿によるせき・たん・息切れ・胸痛などの既往歴の有無の検査、③せき・たん・息切れ・胸痛などの自覚症状・他覚症状の有無の検査、④胸部のエックス線直接撮影による検査 |
| 二次健診(医師が必要と認める人) | 作業条件の調査、胸部エックス線で異常な陰影があり医師が必要と認めるときは、特殊なエックス線撮影(CTなど)、喀痰の細胞診、気管支鏡検査 |
石綿による病気(石綿肺、肺がん、中皮腫など)は、ばく露してから数十年たって発症することがあります。そのため、作業から離れたあとも健診を続け、記録を長く残すことが大切です。
結果の記録・意見聴取・報告

| やること | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人票の作成・保存 | 石綿健康診断個人票を作成し、その業務に常時従事しなくなった日から40年間保存する | 石綿則第41条 |
| 医師の意見聴取 | 健診の日から3か月以内に医師の意見を聴き、個人票に記載する | 同規則第42条 |
| 本人への通知 | 健診を受けた労働者に、遅滞なく結果を通知する | 同規則第42条の2 |
| 労働基準監督署への報告 | 定期の健診を行ったら、遅滞なく結果報告書を提出する(規模にかかわらず) | 同規則第43条 |
| 作業の記録 | 石綿の粉じんを発散する場所で常時作業する労働者について、1か月を超えない期間ごとに作業の概要や期間などを記録し、40年間保存する | 同規則第35条 |
事業を廃止するときは、石綿健康診断個人票などの記録を労働基準監督署に提出します。記録の保存期間の一覧は健康診断の記録の保存期間をご覧ください。
離職後の健康管理手帳
石綿の業務に従事していた人で一定の要件を満たす人は、離職の際または離職後に、都道府県労働局長に申請して健康管理手帳の交付を受けられます。手帳があると、指定された医療機関で国の費用により定期的に健康診断を受けられます(労働安全衛生法第67条)。対象となりうる社員が退職するときは、制度を案内しましょう。
ばく露を防ぐために
- 建築物の解体・改修工事の前に、石綿の使用の有無を事前調査する
- 作業場所を隔離・湿潤化し、呼吸用保護具と保護衣を使わせる
- 石綿を扱う作業に就く人に特別教育を行う(特別教育とは)
- 防じんマスクのフィットテストを行う(マスクのフィットテスト)
- 粉じん作業全般の健診についてはじん肺健康診断もあわせて確認する
産業医が関わること
- 現在の対象者と、過去に従事した在籍者の名簿を整理し、健診の漏れを防ぐ
- 胸部エックス線の結果を確認し、二次健診の要否と就業上の措置について意見を述べる(健康診断後の医師の意見聴取(就業判定))
- 退職者への健康管理手帳の案内や、記録の保管方法について助言する
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、建設業・設備工事などの事業場で、石綿健康診断の対象者(過去に従事した在籍者を含む)の整理、胸部エックス線の結果の確認と3か月以内の意見聴取、記録の保管方法の助言を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
石綿健康診断は何か月ごとですか?
雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回です(石綿障害予防規則第40条)。
昔石綿の作業をしていた社員にも健診が必要ですか?
必要です。過去に石綿の粉じんを発散する場所での業務に常時従事させたことがあり、現在も雇っている人には、6か月以内ごとに健診を行います(石綿障害予防規則第40条第2項)。
石綿健康診断の記録は何年保存しますか?
石綿健康診断個人票は、その業務に常時従事しなくなった日から40年間保存します(石綿障害予防規則第41条)。作業の記録も40年間保存します。
退職した人はどうなりますか?
一定の要件を満たす人は、健康管理手帳の交付を受けて、国の費用で定期的に健康診断を受けられます(労働安全衛生法第67条)。
まとめ
石綿健康診断は、石綿の粉じんが出る業務の人と、過去に従事した在籍者に、6か月以内ごとに行います。石綿による病気は何十年もたって発症することがあるため、個人票と作業の記録を40年間保存し、退職者には健康管理手帳を案内しましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 粉じん障害防止規則(e-Gov法令検索)
- 石綿障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
- 労働契約法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
専門家紹介(経歴・資格) | researchmap(研究業績)
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