産業医紹介会社のデメリット・問題点|業務委託型の構造と法的リスク、直接契約が望ましい理由

産業医を探す方法として、紹介会社に依頼するという選択肢が増えてきました。紹介会社のデメリットとしては、中間手数料が上乗せされて費用が高くなる、という点が語られがちです。しかし、より本質的な問題は費用の多寡ではなく、紹介会社が業務委託(再委託)の形で事業者と産業医の間に入り続ける構造にあります。この形では、①法定業務が削られやすい、②産業医の助言や確認が会社に届きにくい、③実態によっては偽装請負などにあたりうる、という問題が生じえます。法令は、紹介会社を通すことを求めていません。
労働安全衛生法は、事業者が医師を産業医として選任し、その医師が独立した立場から助言するという二者の関係を前提にしています。本稿では、業務委託型の紹介会社がこの関係のもとでどのような問題を生むかを、法令と制度の観点から整理します。
利益相反の開示 筆者は産業医事務所の所長であり、本稿の主題に利害関係があります。そのため記述は法令と公的資料で確認できる内容を中心とし、経験・見聞にもとづく部分はその旨を明示しています。特定の紹介会社を評価するものではありません。
要点:産業医紹介会社(業務委託型)の3つの問題点
- 注意義務が働きにくい:事業者に契約上の注意義務を負うのは、産業医ではない紹介会社になります。費用を抑えたい事業者と利害が一致しやすいこと、紹介会社が産業医業務の水準を判断する知識を備えているとは限らないことから、その注意義務が働きにくく、法定業務が削られやすい構造があります。
- 産業医の助言や確認が届きにくい:紹介会社が事業者と産業医の間の連絡窓口になることが多く、なかには直接の連絡を禁じる例もあるため、勧告や情報の確認といった産業医の役割が果たされにくくなります。
- 偽装請負などのリスク:時間単価の報酬など、医師の働き方の実態によっては労働者性が問題となり、偽装請負・労働者供給・中間搾取にあたりえます。
- こうした仲介事業者について、労働安全衛生法令に許可・登録・業務の基準はありません。産業医は医師との直接契約を基本とし、紹介会社を使う場合も、紹介後は直接契約する紹介料型にとどめるのが望ましいと考えます。
| 項目 | 直接契約 | 業務委託型の紹介会社 |
|---|---|---|
| 契約の相手方 | 医師(または医師の産業医事務所) | 紹介会社 |
| 事業者に契約上の注意義務を負う者 | 医師 | 紹介会社 |
| 事業者と産業医のやりとり | 直接 | 紹介会社経由が多い |
| 偽装請負などの論点 | 生じない | 実態によっては生じうる |
| 仲介についての安衛法令の規定 | — | なし |

前提:法律上、産業医は事業者が選任する特定の医師
労働安全衛生法第13条第1項は、事業者が医師のうちから産業医を選任し、「その者に」健康管理等の職務を行わせることを求めています。選任は14日以内に行い、医師の氏名等を労働基準監督署長に報告します(労働安全衛生規則第13条)。産業医は医学的知識にもとづいて誠実に職務を行い(法第13条第3項)、事業者は勧告を尊重し(同条第5項)、勧告等を理由とする解任などの不利益な取扱いをしないようにしなければなりません(規則第14条第4項)。法人の代表者や事業場の統括管理者などを産業医に選任することも、原則として禁じられています(規則第13条第1項第2号)。
これらの規定はいずれも「事業者」と「産業医」を対象としており、両者の間に入る事業者は想定されていません。
産業医紹介会社の契約形態:紹介料型と業務委託(再委託)型

| 形 | 契約の関係 | 紹介会社の関与 |
|---|---|---|
| 紹介料型 | 紹介後は事業者と医師が直接契約する | 紹介時のみ |
| 業務委託(再委託)型 | 事業者は紹介会社と契約し、紹介会社が医師に業務を再委託する | 契約期間中ずっと続く(毎月の委託料に取り分が含まれる) |
本稿が論じるのは、医学的判断に責任を負う者が受任者の内部にいない仲介者が、継続的に間に入る業務委託型です。医師が所属し医学的な管理体制をもつ産業医事務所・労働衛生機関との契約は、本稿では直接契約の側に含めます。もっとも、論点3など一部の論点は、医師を雇用・再委託して産業医を提供する機関にも共通しうるものです。公的な統計はありませんが、筆者の見聞では嘱託産業医では業務委託型が多く見られます。業務委託型そのものは違法ではなく、以下はこの構造から生じうる論点です。
地域の医師会を通じて産業医を紹介してもらう例も多くあります。日本医師会の「産業医契約書の手引き」(2019年)は、契約の当事者を事業者と産業医とし、医師会は任意の立会人と位置づけています。このように紹介後に事業者と医師が直接契約する医師会経由の形は、本稿では直接契約の側に含めます。ただし運用は医師会ごとに異なるため、契約の当事者と手数料の有無は確認してください。
産業医制度の歩みと、紹介会社の広がり
産業医制度は1938年の工場医に始まり、1972年の労働安全衛生法で現在の形になりました。その後の改正(1996年の勧告権、2017年の利害関係者の選任禁止、2019年の独立性・中立性の強化など)は、一貫して産業医の専門性と独立性を強める方向に進んでいます。
一方、嘱託産業医の担い手は長く地域の開業医や健診機関・労働衛生機関でしたが、2010年代以降、人材の仲介が社会全体で広がりました(民営の有料職業紹介の手数料収入は2014年度の約3,500億円から2018年度の約5,400億円へ。厚生労働省「職業紹介事業報告」)。医療でも医師の紹介手数料が国会で取り上げられ、2021年には医療分野などの紹介事業者の認定制度が始まっています。産業医の紹介会社も、ストレスチェックや働き方改革で需要が増えた時期に、この流れの中で増えたと考えられ、その多くは紹介で終わらず業務委託で間に入り続けています。ただ、嘱託産業医の契約は職業紹介の規制の対象外となることが多く、労働安全衛生法令にも許可・登録・業務の基準はありません。行政が見解を示した資料も見当たりません(2026年10月25日確認)。
法令が二者の関係を前提に独立性を強めてきた一方で、実務では想定外の仲介者が当たり前になりました。制度の方向と実務の流れが逆を向いていることが、本稿の問題意識です。
論点1:注意義務を負う紹介会社のもとで、その注意義務が働きにくい
業務委託型では、産業医業務の水準について事業者に契約上の責任を負うのは、産業医ではなく紹介会社です。ところが紹介会社には、その責任(注意義務)が十分に働きにくい構造があります。費用を抑える方向で事業者と利害が一致しやすいことと、紹介会社が産業医業務の水準を判断する知識を備えているとは限らないことです。その結果、巡視や面接指導といった法定業務が削られたり遅れたりしやすくなります。
注意義務を負う者と、専門的判断ができる者が分かれる
産業医業務の委託は一般に準委任(民法第656条)と考えられ、紹介会社が受任者として事業者に善管注意義務(民法第644条)を負います。医師も紹介会社に対して同様の義務を負い、誠実義務(法第13条第3項)は契約の形にかかわらず負いますが、事業者と医師の間に直接の契約関係はありません。業務委託型には、紹介会社の注意義務が働きにくい構造が二つあります。
- 費用の構造:注意義務を尽くすには費用がかかります。一方で紹介会社は価格競争にさらされ、費用を抑えたい事業者の要望に応えることが受注につながります。事業者と紹介会社の利害が「費用を抑える」方向で一致しやすく、注意義務を尽くすための費用が削られやすい構造があります。
- 能力の構造:産業医業務の水準を判断するには、労働安全衛生法令と産業保健の知識が必要です。しかし紹介会社自体は医療機関ではなく、医師や専門職が業務の判断に関与していない場合、注意義務を果たすための知識や能力を備えているとは限りません。そもそも産業医は医師個人が選任されるため、紹介会社は受託した事務を自ら行うことができず、医師への再委託(復委任)となります。その許諾は通常、事業者との契約で与えられています(民法第644条の2第1項)。
直接契約では、医師自身が事業者に対して善管注意義務を負い、誠実義務とあわせて専門的判断の責任が一致するため、この分離は生じません。注意義務が働きにくいことで起こりうることとして、筆者の見聞も含め、次のようなものがあります。
- 法令の水準に届かない日程が通る:職場巡視が入らない日程や、必要な手順を経ない隔月訪問が、そのまま承認される。隔月にできるのは巡視だけなのに、業務全体と報酬まで2か月に1回分とされる
- 臨時の対応が後回しになる:臨時の面談や意見書が時間単価の追加料金とされ、復職判定や、長時間労働者・高ストレス者の面接指導が遅れる
- 交代のときに空白ができる:医師が交代するときに、選任されていない期間や引き継ぎ漏れが生じる
- 産業医の意見が反映されない:業務の進め方やシステム・様式が、産業医の意見を聴かずに決められる
職場巡視と隔月訪問の法令上の水準
- 職場巡視:少なくとも毎月1回です。巡視は産業医自身の義務でもありますが、事業場の受け入れなしには行えません。2か月に1回にできるのは、衛生管理者の巡視結果などの情報が毎月産業医に提供され、産業医の意見にもとづいて衛生委員会等で調査審議したうえで、事業者が同意した場合に限られます(規則第15条第1項、平成29年3月31日基発0331第68号)。出発点は産業医の意見であり、契約の段階で頻度を先に決めてしまうのは、規則が予定する手順と順序が逆です。
- 隔月にできるのは巡視だけ:神奈川労働局は、この改正は産業医の職務のうち職場巡視の頻度に関わることだけだと注意を促しています。健康診断結果についての意見や健康相談などの職務は、隔月になるわけではありません。とくに長時間労働者や高ストレス者の面接指導は、申出があれば遅滞なく行うこととされており(規則第52条の3、第52条の16)、高ストレス者については厚生労働省の導入マニュアルで申出から1か月以内に行う必要があるとされています。いずれも、訪問の間隔や契約時間に合わせて先延ばししたり、人数を絞ったりできるものではありません。
これらが行われない場合、安衛法上の責任を負うのは事業者であり、紹介会社の責任は事業者との契約上のものにとどまります。
論点2:紹介会社が間に立つことで、産業医の助言や確認が届きにくくなる
産業医制度は、産業医が事業者に勧告し、意見を述べ、労働者から情報を集められることを前提にしています。ところが業務委託型では、紹介会社が事業者と産業医の間の連絡窓口になるため、法令が産業医に求めている役割(会社への助言や、働く人の状況の確認)が果たされにくくなります。意見や情報が紹介会社を経由することで、伝わるのが遅れたり、伝わりにくくなったりするおそれがあるからです。
業務委託型では、日程の調整から相談まで、事業者と産業医の間の窓口を紹介会社に一本化する運用が多く見られます。筆者の見聞では、なかには事業者と産業医が直接連絡を取ることを契約で禁じる紹介会社もあります。しかし法令は、事業者と産業医がやりとりすることを前提にしています。
- 産業医は事業者に勧告することができ、事業者はそれを尊重しなければなりません(法第13条第5項)
- 事業者は、産業医が事業者に意見を述べること、労働者から情報を集めること、緊急時に労働者へ必要な指示をすることができるようにしなければなりません(規則第14条の4)
- 長時間労働者の情報などは、事業者が産業医に提供しなければなりません(法第13条第4項、規則第14条の2)
窓口が紹介会社に限られる運用、とりわけ直接の連絡を禁じる運用のもとでは、訪問時以外は、産業医が事業者に意見を述べることも、事業者が必要な情報を産業医に届けることも、紹介会社を通してしか行えません。産業医が意見を述べたり情報を集めたりできるようにする事業者の義務(規則第14条の4)を果たしているといえるか疑問があり、緊急時の対応が遅れるおそれもあります。また、面談の対象者や理由といった健康情報(要配慮個人情報)が、医療職ではない紹介会社の担当者を経由することになります。事業者と産業医のやりとりは、産業医制度の土台であり、これを契約で遮ることは制度の趣旨と相容れません。
論点3:実態によっては、偽装請負・労働者供給・中間搾取にあたりうる
業務委託型の産業医の働き方は、契約上は業務委託でも、実態としては労働者性を帯びている可能性があります。報酬が時間単価で決まり、時間の上限や業務の内容・進め方を紹介会社や事業者が管理するなど、労働者に近い働き方が多く見受けられるからです。労働者性が認められれば、偽装請負・労働者供給・中間搾取といった労働法上の問題になりえます。さらに、医師が紹介会社に雇用されている、または実態として雇用関係にある形では、偽装請負を避けようとすると産業医の助言や確認が届きにくくなる、という板挟みも生じます。
三者関係の評価は、契約の名称ではなく実態で決まります。「個人事業主への再委託」でも、医師に実態として労働者性(労働基準法第9条)があれば、次の規制が問題になりえます。
| 実態 | 問題になりうる規制 |
|---|---|
| 医師が実態として紹介会社に雇われ、事業者の指示で働いている | 偽装請負(実態は労働者派遣):無許可なら違法(労働者派遣法第5条) |
| 雇用関係はないが、紹介会社が医師を事実上支配している | 労働者供給:禁止(職業安定法第44条) |
| 医師が実態として事業者の労働者で、紹介会社が毎月利益を得ている | 中間搾取:禁止(労働基準法第6条) |
産業医の労働者性はどう判断されるか
労働者性は、1985年の労働基準法研究会報告の基準で総合判断されます。業務委託型でよく見られる運用を当てはめると、次のとおりです。
| 判断の要素 | 業務委託型でよく見られる運用 | 方向 |
|---|---|---|
| 時間・場所の拘束 | 日時・場所が決まり、時間の上限を費用の都合で管理される | 肯定方向 |
| 報酬の性格 | 基本の報酬も延長分も時間単価(1時間1万〜2万円など。筆者の見聞) | 肯定方向 |
| 指揮監督・諾否の自由 | 業務の内容や進め方、日程を紹介会社や事業者が決める | 肯定方向 |
| 業務の方法の指定 | 使うシステム、様式、報告の形式を紹介会社や事業者が指定する | 肯定方向 |
| 代替性 | 選任された特定の産業医しか産業医業務を行えず、医師が自分の判断で代わりを立てることはできない(選任制度によるもの) | 肯定方向 |
一方、複数の事業場を担当する開業医であることや、報酬が一般の従業員より高額であることは、否定する方向に働きます。また、時間単価の報酬は専門職の業務委託でも一般的で、単独では決め手になりません。それでも、典型的な運用には、労働者性を肯定する方向に働きうる要素が少なくないといえます。最終的には個別の総合判断であり、産業医の業務委託で労働者性を認めた行政・司法の判断は、筆者は確認できていません。
「事業者が医師を選ぶ」ことと偽装請負
安衛法は事業者が特定の医師を選任することを求めています。一方、医師が紹介会社に雇用されている(実態として雇用関係がある)場合、適正な請負であるためには受託者が自ら労働者の配置を決める必要があり(昭和61年労働省告示第37号)、派遣でも派遣先は労働者を特定する行為をしないよう努めなければなりません(労働者派遣法第26条第6項)。そのため、事業者が医師を面談で選び、交代を指示して紹介会社が従う運用は、配置への関与として問題とされる余地があります(この点についての行政の見解は確認できていません)。「事業者による選任」と業務委託の枠組みは、構造的にかみ合いません。直接契約なら、この不整合は生じません。
業務委託型が抱える板挟み
医師が紹介会社に雇用されている、または実態として雇用関係にある場合、偽装請負と判断されないためには、事業者は医師に直接指示せず、業務の内容や進め方は紹介会社を通じて伝える必要があります。紹介会社が窓口を一本化するのは、この意味では偽装請負を避けるためともいえます。しかしそうすると、論点2で述べたとおり、産業医の助言や確認が届きにくくなります。逆に、事業者が医師に直接、業務の進め方を指示すれば、偽装請負を判断する事情になりえます。業務委託型は、安衛法が予定する事業者と産業医のやりとりと、偽装請負を避けるための間接の関係との間で、板挟みになりうる構造にあります。なお、医師が実態としても労働者性のない個人事業主として再委託を受けている場合は、事業者と医師の直接のやりとり自体は偽装請負にあたりません。ただし、契約上は個人事業主でも、紹介会社が業務の割り振りや時間を管理し、報酬が時間単価で決まるなど、実態として紹介会社の労働者とみられる場合は、雇用されている場合と同じ問題が生じます。直接契約であれば、こうした問題はそもそも生じません。
紹介会社を使うなら、紹介で完結する形にとどめる
拠点が多い、専属産業医を採用したい、急いでいる、といった場面では、医師を探す手段として紹介会社が役に立ちます。しかし紹介会社の役割は紹介までで足ります。紹介料を支払い、紹介後は事業者と医師が直接契約する形(紹介料型)なら、本稿の論点は生じません。後任の手配も、改めて紹介を受ければ済みます。直接契約できる窓口には、地域の医師会、産業医事務所、開業医などがあります(京都府内は京都で産業医を探す方法)。直接契約の流れや契約書で確認したい項目は産業医と直接契約する方法で解説しています。
産業医契約を見直す5つのチェックポイント
- 契約の相手方は医師(または医師が所属する産業医事務所)か、紹介会社か
- 毎月の巡視を行えているか(隔月なら、産業医の意見・衛生委員会の調査審議・事業者の同意という手順を経ているか)、巡視以外の職務を訪問の間隔にかかわらず期限内に行えているか
- 復職判定や、長時間労働者・高ストレス者の面接指導を、必要なときに遅滞なく依頼できる契約になっているか
- 業務の内容・進め方を誰が決めているか
- 事業者と産業医が、紹介会社を通さずに直接連絡を取れるか
あわせて産業医の選び方、産業医を変更・交代したいときの手順、産業医の費用相場・報酬相場もご覧ください。
当事務所によくあるご相談
うえまつ産業医事務所には、企業さまから「紹介会社経由の契約から、産業医との直接契約に切り替えたい」というご相談がよく寄せられます。同じようなことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
産業医の探し方・契約のコラム
よくある質問
産業医紹介会社のデメリットは何ですか?
手数料で割高になることに加えて、業務委託(再委託)型では、事業者に契約上の注意義務を負うのが医師ではない紹介会社になります。費用を抑える方向に働きやすく、紹介会社が産業医業務の水準を判断する知識を備えているとは限らないため、巡視や面接指導などの法定業務が削られやすい構造があります。
紹介会社を通さずに、産業医と直接契約してもよいですか?
はい。労働安全衛生法は、事業者が医師のうちから産業医を選任することを定めており、紹介会社を通すことは求めていません。紹介会社を使う場合も、紹介後に直接契約する紹介料型をおすすめします。
紹介料型と業務委託型の違いは何ですか?
紹介料型は、紹介後に事業者と医師が直接契約し、紹介会社が関わるのは紹介の時だけです。業務委託型は、事業者が紹介会社と契約し、紹介会社が医師に再委託するため、契約期間中ずっと間に入ります。
産業医の業務委託は偽装請負になりますか?
業務委託型そのものは違法ではありません。ただし、医師が実態として紹介会社に雇用され、事業者の指示で働いていれば偽装請負(無許可の労働者派遣)にあたりえます。雇用関係がなくても、医師に労働者性が認められれば、労働者供給(職業安定法第44条)や中間搾取(労働基準法第6条)の問題になりえます。
産業医の訪問を2か月に1回にしてもよいですか?
隔月にできるのは職場巡視だけで、それも産業医の意見、衛生委員会等での調査審議、事業者の同意という手順が必要です。健康相談などほかの職務は隔月にならず、長時間労働者や高ストレス者の面接指導は、申出があれば遅滞なく行う必要があります。
まとめ
業務委託型の紹介会社が事業者と産業医の間に継続的に入る構造は、注意義務と専門性の分離、産業医の助言や確認の届きにくさ、労働法上のリスク、選任制度との不整合を生みます。産業医を選ぶ際は、医師との直接契約を基本に検討し、紹介会社を利用する場合は、紹介後に直接契約できる紹介料型を選ぶことをおすすめします。
参考資料
- 労働安全衛生法/労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「働き方改革関連法による産業医・産業保健機能の強化」
- 厚生労働省「産業医及び産業保健活動の現状と課題」(産業医制度の沿革)
- 厚生労働省「職業紹介事業報告」(平成30年度)
- 衆議院「医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問主意書」(2021年)
- 厚生労働省「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者として初めて19社を認定」(2021年)
- 厚生労働省ほか「事業場の皆様へ 確認しましょう!」(2016年)
- 神奈川労働局「労働安全衛生規則の改正《産業医制度の充実関係》の適正・適切な運用について」(巡視頻度の変更手続き)
- 厚生労働省「ストレスチェック制度 導入マニュアル」(面接指導は申出から1か月以内)
- 厚生労働省「労働者派遣法施行令の一部改正について」
- 厚生労働省「37号告示関係疑義応答集」
- 労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(1985年)
- 日本医師会「産業医契約書の手引き」(2019年)
- 民法(第644条、第644条の2、第656条)、労働基準法(第6条、第9条)、職業安定法(第44条)、労働者派遣法(第5条、第26条第6項)・同法施行令(第2条)
2026年10月25日確認。本稿は一般的な情報提供であり、個別の契約についての法的助言ではありません。
この記事は、京都の産業医事務所「うえまつ産業医事務所」の産業医が書いています。

