安全管理者・総括安全衛生管理者とは|選任が必要な業種と規模(50人・100人・300人・1,000人)、資格、職務、選任報告を産業医が解説

「従業員が50人を超えたら、産業医と衛生管理者のほかに安全管理者も必要?」「総括安全衛生管理者は誰を選べばいい?」。製造業や建設業、運送業の会社の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、安全管理者と総括安全衛生管理者の選任が必要な業種と規模、資格、職務、選任の期限と報告を、条文にもとづいて解説します。

結論:一定の業種で50人以上なら安全管理者、100人・300人・1,000人以上なら総括安全衛生管理者も必要
- 安全管理者:林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気・ガス業、各種商品卸売・小売業、旅館業、自動車整備業などで、常時50人以上の事業場に必要です(労働安全衛生法第11条、同法施行令第3条)。
- 総括安全衛生管理者:林業・建設業・運送業などは100人以上、製造業・小売業などは300人以上、その他の業種は1,000人以上の事業場に必要です(同法第10条、同法施行令第2条)。
- いずれも、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく電子申請で労働基準監督署に報告します(労働安全衛生規則第2条・第4条)。
- 安全管理者は、理科系の学歴と実務経験に加えて、所定の研修を修了していることが必要です(同規則第5条)。
選任が必要な業種と規模

| 業種 | 総括安全衛生管理者 | 安全管理者 | 衛生管理者・産業医 |
|---|---|---|---|
| 林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 | 100人以上 | 50人以上 | 50人以上 |
| 製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 | 300人以上 | 50人以上 | 50人以上 |
| その他の業種(金融業、医療・福祉、情報サービス業など) | 1,000人以上 | 不要 | 50人以上 |
衛生管理者と産業医は業種を問わず50人以上で必要です(衛生管理者と産業医の違い、産業医は何人から必要?社員が50人を超えたらやること)。10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者を選任します(安全衛生推進者・衛生推進者とは)。
総括安全衛生管理者の役割
総括安全衛生管理者は、工場長や支店長など、その事業場で事業の実施を統括管理する人を充てます(労働安全衛生法第10条第2項)。資格は必要ありません。安全管理者・衛生管理者を指揮し、次の業務を統括管理します。
- 労働者の危険または健康障害を防止するための措置
- 安全・衛生のための教育の実施
- 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置
- 労働災害の原因の調査と再発防止対策
- 安全衛生に関する方針の表明、リスクアセスメントとその結果にもとづく措置、安全衛生計画の作成・実施・評価・改善(労働安全衛生規則第3条の2)
安全管理者の資格と職務
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資格 | ①大学・高専の理科系の課程を卒業し、2年以上の産業安全の実務経験がある人、または②高校の理科系の学科を卒業し、4年以上の産業安全の実務経験がある人で、厚生労働大臣が定める研修(安全管理者選任時研修)を修了した人。労働安全コンサルタントなども選任できる |
| 専属 | その事業場に専属の人を選任する(労働安全衛生規則第4条) |
| 専任 | 建設業・有機化学工業製品製造業・石油製品製造業は300人以上、無機化学工業製品製造業・化学肥料製造業・道路貨物運送業・港湾運送業は500人以上、紙・パルプ製造業・鉄鋼業・造船業は1,000人以上などで、少なくとも1人を専任にする |
| 職務 | 総括安全衛生管理者の業務のうち、安全に係る技術的事項を管理する。作業場を巡視し、設備や作業方法に危険のおそれがあるときは、直ちに必要な措置を講じる(同規則第6条) |
| 権限 | 事業者は、安全管理者に安全に関する措置をなし得る権限を与える(同規則第6条第2項) |
選任の手続き
- 規模・業種を確認する:常時使用する労働者数(パート・アルバイト、派遣社員を含めて数える場合があります)と業種を確認します(派遣社員の健康管理)。
- 14日以内に選任する:50人・100人・300人などの基準を超えた日から14日以内に選任します。
- 電子申請で報告する:選任報告を遅滞なく労働基準監督署に提出します。産業医・衛生管理者の選任報告と同じ様式です(選任報告の書き方)。
- 安全委員会を設置する:安全管理者が必要な業種の多くは、安全委員会(または安全衛生委員会)も必要です(安全委員会・安全衛生委員会とは)。
産業医との連携
安全管理者は主に「けがの防止」、産業医と衛生管理者は主に「健康障害の防止」を担当しますが、現場では重なる場面が多くあります。たとえば、腰痛や熱中症、化学物質のばく露、長時間労働による疲労は、安全と衛生の両方に関わります。職場巡視の結果を共有し、安全衛生委員会で一緒に対策を話し合うと、抜け漏れを防げます(産業医の職場巡視)。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、安全衛生委員会への出席、職場巡視の結果の共有、労災の再発防止策の検討で、安全管理者・衛生管理者と連携して事業場の安全衛生体制づくりをお手伝いします。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
安全管理者はどんな会社に必要ですか?
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気・ガス業、各種商品卸売・小売業、旅館業、自動車整備業などで、常時50人以上の労働者を使用する事業場に必要です(労働安全衛生法施行令第3条)。
総括安全衛生管理者は誰を選べばよいですか?
工場長や支店長など、その事業場で事業の実施を統括管理する人を充てます(労働安全衛生法第10条第2項)。資格は必要ありません。
安全管理者になるには資格が必要ですか?
大学・高専の理科系の課程を卒業して2年以上、または高校の理科系の学科を卒業して4年以上の産業安全の実務経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した人などが選任できます(労働安全衛生規則第5条)。
安全管理者はいつまでに選任しますか?
選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく電子申請で労働基準監督署に報告します(労働安全衛生規則第4条)。
まとめ
一定の業種では、50人以上で安全管理者、100人・300人・1,000人以上で総括安全衛生管理者が必要です。14日以内に選任して報告し、安全委員会とあわせて、産業医・衛生管理者と連携できる体制を整えましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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