鉛健康診断とは|対象の鉛業務、6か月ごとの頻度と1年に緩和できる条件、血中鉛と尿中δ-ALAの検査、5年保存と報告を産業医が解説

「鉛を含む材料を扱っているが、鉛の健診は必要?」「血液中の鉛は毎回測る?」「1年に1回にできる?」。電子部品・蓄電池・金属加工・塗装などの会社の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、鉛健康診断の対象、頻度と項目、1年以内ごとに緩和できる条件、記録・報告、就業禁止を、鉛中毒予防規則(鉛則)にもとづいて解説します。
結論:鉛業務に常時従事する人に、原則6か月以内ごとに血液中の鉛などを検査
- 対象は、労働安全衛生法施行令の別表第4に掲げる鉛業務に常時従事する労働者です(鉛則第53条第1項)。
- 雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回行います(一部の鉛業務は1年以内ごと)。
- 必須項目に血液中の鉛の量と尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査が含まれます。
- 結果は個人票で5年間保存し、3か月以内に医師の意見を聴き、定期の健診は規模にかかわらず報告します(同規則第54条〜第55条)。

対象となる鉛業務
鉛業務には、鉛の製錬・精錬、鉛蓄電池の製造、鉛合金の溶融・鋳造、鉛を含む塗料の塗布やかき落とし、鉛ライニングの業務などが含まれます。対象かどうかは、扱う材料に含まれる鉛の量と作業の内容で決まるため、SDS(安全データシート)と作業の実態を確認しましょう。
鉛業務を行う屋内作業場では、作業環境測定も必要です(作業環境測定とは)。
健診の項目

| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 必須項目 | ①業務の経歴の調査、②作業条件の簡易な調査、③鉛による自覚症状・他覚症状の既往歴の有無の検査と、⑤⑥の過去の検査結果の調査、④鉛による自覚症状・他覚症状と通常認められる症状の有無の検査、⑤血液中の鉛の量の検査、⑥尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査 |
| 省略できる項目 | 定期の健診では、前回⑤⑥の検査を受けた人について、医師が必要でないと認めるときは⑤⑥を省略できる |
| 医師が必要と認める人に追加 | 作業条件の調査、貧血検査、赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査、神経学的検査 |
鉛中毒では、腹痛(疝痛)、手足のしびれや力が入らない症状、貧血、関節痛などが起こることがあります。鉛業務に従事している間や、従事しなくなってから4週間以内にこれらの症状がある人には、速やかに医師の診断を受けさせます(同規則第56条)。
1年以内ごとに緩和できる条件
次のすべてを満たす労働者は、定期の健診を1年以内ごとに1回にできます(鉛則第53条第4項)。
- 作業環境測定の評価が、直近を含めて連続3回、第1管理区分であること
- 直近の健診のあと、作業方法を変えていないこと(軽微な変更を除く)
- 直近の連続した3回の健診で、新たに鉛による異常所見が認められなかったこと
同じ考え方の緩和は、有機溶剤健康診断や特定化学物質健康診断にもあります。
結果の記録・報告と就業禁止
| やること | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人票の作成・保存 | 鉛健康診断個人票を作成し、5年間保存する | 鉛則第54条 |
| 医師の意見聴取 | 健診の日から3か月以内に医師の意見を聴き、個人票に記載する | 同規則第54条の2 |
| 労働基準監督署への報告 | 定期の健診を行ったら、遅滞なく結果報告書を提出する(規模にかかわらず) | 同規則第55条 |
| 就業禁止 | 鉛中毒にかかっている人や、医師が鉛業務に従事することが適当でないと認めた人は、医師が必要と認める期間、鉛業務に従事させない | 同規則第57条 |
記録の保存期間の一覧は健康診断の記録の保存期間をご覧ください。
産業医が関わること
- 血液中の鉛の量などの推移を確認し、就業上の措置や鉛業務からの配置転換について意見を述べる(健康診断後の医師の意見聴取(就業判定))
- 1年以内ごとへの緩和の条件を満たしているかを確認する
- 職場巡視で、局所排気装置、呼吸用保護具、作業場での飲食・喫煙の禁止、手洗いの状況を確認する(産業医の職場巡視)
- 妊娠中・産後の社員の配置について助言する(妊産婦の就業制限)
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、電子部品・蓄電池・金属加工などの事業場で、鉛健康診断の結果の確認と3か月以内の意見聴取、就業禁止や配置転換の判断の助言、局所排気装置や保護具の巡視を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
鉛健康診断は何か月ごとですか?
雇入れ・配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回です(一部の鉛業務は1年以内ごと)。条件を満たせば1年以内ごとにできます(鉛中毒予防規則第53条)。
血液中の鉛の検査は毎回必要ですか?
必須項目です。ただし定期の健診では、前回受けた人について医師が必要でないと認めるときは、血液中の鉛と尿中のデルタアミノレブリン酸の検査を省略できます(鉛中毒予防規則第53条第2項)。
鉛健康診断の結果は何年保存しますか?
鉛健康診断個人票を作成し、5年間保存します(鉛中毒予防規則第54条)。
従業員50人未満でも報告は必要ですか?
必要です。定期の鉛健康診断を行ったら、事業場の規模にかかわらず、遅滞なく結果報告書を労働基準監督署に提出します(鉛中毒予防規則第55条)。
まとめ
鉛健康診断は、鉛業務に常時従事する人に原則6か月以内ごとに行い、血液中の鉛と尿中のデルタアミノレブリン酸を検査します。条件を満たせば1年以内ごとに緩和できます。個人票の5年保存、3か月以内の意見聴取、規模を問わない報告、鉛中毒の人の就業禁止を忘れずに行いましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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