海外赴任者の健康診断|6か月以上の派遣前・帰国後に必要な項目と、赴任前に会社が準備すること5つを産業医が解説

社員を海外に赴任させるとき、出発前と帰国後に特別な健康診断が必要なことをご存じでしょうか。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、6か月以上の海外派遣で必要な健康診断の対象・項目・時期と、赴任前・赴任中に会社が準備しておきたい健康管理を、条文にもとづいて解説します。
結論:6か月以上の海外派遣は、出発前と帰国後に健康診断を行う
- 社員を海外に6か月以上派遣するときは、あらかじめ健康診断を行います(労働安全衛生規則第45条の2第1項)。
- 6か月以上海外に派遣した社員を国内の業務に就かせるときも健康診断を行います(同条第2項)。一時的に国内の業務に就かせるときは除きます。
- 項目は、定期健康診断の項目に加え、医師が必要と認める追加の項目です。
- 出発前には、持病の治療の継続、予防接種、現地の医療事情、緊急時の連絡体制も確認しておきます。
海外派遣者の健康診断:対象・時期・項目
| 派遣前の健康診断 | 帰国後の健康診断 | |
|---|---|---|
| 対象 | 海外に6か月以上派遣する社員 | 6か月以上海外に派遣した社員を国内の業務に就かせるとき |
| 時期 | 派遣する前(あらかじめ) | 国内の業務に就かせるとき |
| 項目 | 定期健康診断の項目+医師が必要と認める項目(腹部画像検査、血中尿酸、B型肝炎ウイルス抗体、血液型など) | 定期健康診断の項目+医師が必要と認める項目(腹部画像検査、血中尿酸、B型肝炎ウイルス抗体、糞便塗抹検査など) |
| 省略 | 直近6か月以内に受けた雇入れ時・定期健康診断などの項目は省略できる | ― |
定期健康診断の項目は定期健康診断の項目と省略基準で解説しています。
赴任前に準備しておきたいこと
- 持病の治療の継続:主治医と相談し、薬の量と持ち込みの手続き、現地で受診できる医療機関を確認する
- 予防接種:赴任先で必要な予防接種を、検疫所や渡航外来で確認する(帯同する家族も含めて)
- 現地の医療事情と保険:医療機関の水準、費用、海外旅行保険の加入、労災保険の海外派遣者特別加入の要否を確認する
- 緊急時の連絡体制:急病・事故のときの連絡先と、日本の担当者・産業医への相談方法を決める
- メンタルヘルスの準備:言葉や生活環境の変化による負担を説明し、オンラインで相談できる窓口を伝える
赴任中の健康管理
- 海外の事業場で働く間は、日本の労働安全衛生法が直接適用されない場合があります。それでも会社には安全配慮義務があるため、現地での健康診断の受診や一時帰国時の受診のルールを決めておきます。
- 長時間労働になりやすいため、労働時間の把握と、オンラインでの産業医面談の機会をつくります。
- 帯同する家族の健康や生活の悩みも、赴任者のメンタルヘルスに影響します。相談先を家族にも伝えておきます。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、海外派遣前・帰国後の健康診断の結果確認と就業上の意見、赴任中のWeb面談を毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
海外赴任前の健康診断は義務ですか?
はい。社員を海外に6か月以上派遣するときは、あらかじめ健康診断を行う義務があります(労働安全衛生規則第45条の2第1項)。
海外から帰国したときも健康診断は必要ですか?
6か月以上海外に派遣した社員を国内の業務に就かせるときは、健康診断が必要です。一時的に国内の業務に就かせるときは除きます(同条第2項)。
海外派遣者の健康診断ではどんな項目を調べますか?
定期健康診断の項目に加え、医師が必要と認める場合に、腹部画像検査、血中尿酸、B型肝炎ウイルス抗体、血液型(派遣前)、糞便塗抹検査(帰国後)などを行います。
6か月未満の海外出張でも健康診断は必要ですか?
法律上の海外派遣者健康診断の対象は6か月以上の派遣です。ただし、赴任先の医療事情や持病によっては、出発前に産業医や主治医に相談しておくと安心です。
まとめ
6か月以上の海外派遣では、出発前と帰国後に、定期健康診断の項目と医師が必要と認める項目の健康診断を行います。あわせて、持病の治療、予防接種、保険、緊急時の連絡体制、メンタルヘルスの相談先を準備し、赴任中も安全配慮の観点から健康を見守りましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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