副業・兼業する社員の健康管理|労働時間の通算・健康診断と面接指導の対象・会社がやること5つを産業医が解説

副業・兼業を認める会社が増え、「副業先の労働時間も通算するのか」「健康診断や面接指導の対象はどう判断するのか」という相談が増えています。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にもとづいて、副業・兼業する社員の労働時間と健康管理で会社がやるべきことを解説します。
結論:労働時間は通算する。健康確保措置の対象の判断では通算しないが、健康への配慮は必要
- 労働時間は、事業主が異なる場合も通算します(労働基準法第38条第1項)。割増賃金や、時間外・休日労働の上限(単月100時間未満・複数月平均80時間以内)の判断で合計します。
- 健康診断、長時間労働者の面接指導、ストレスチェックなどの対象者を判断するときは、副業先の労働時間を通算しないとされています。
- ただし、会社には安全配慮義務(労働契約法第5条)があります。副業の内容や労働時間を届け出てもらい、長時間にならないよう配慮します。
- 副業を認めるルールは就業規則に定め、届出の内容と健康状態の確認方法を決めておきます。

労働時間の通算と健康確保措置の考え方

| 場面 | 副業先の労働時間 | ポイント |
|---|---|---|
| 割増賃金、時間外・休日労働の上限(単月100時間未満・複数月平均80時間以内) | 通算する | 本業と副業の労働時間を合計して判断する(労働基準法第38条第1項) |
| 健康診断・ストレスチェックの対象者 | 通算しない | 常時使用する労働者かどうかは、自社での働き方で判断する |
| 長時間労働者の面接指導の対象者 | 通算しない | 対象の判断は自社の時間外・休日労働で行う |
| 健康への配慮(安全配慮義務) | 把握して配慮する | 届出や定期的な報告で副業の労働時間と健康状態を確認する |
副業が個人事業や業務委託の場合は労働基準法の労働時間の規定は適用されませんが、本人の申告などで、合計の働く時間が長くなりすぎないよう配慮することが望ましいとされています。
会社がやること(5つ)
- 就業規則に副業・兼業のルールを定める:届出制とし、禁止・制限できる場合(労務提供への支障、秘密の漏えい、競業、名誉や信用を損なう場合)を明記する
- 届出の内容を決める:副業先の名称、業務内容、雇用か業務委託か、所定労働日と労働時間
- 労働時間を把握する:雇用の副業は、届出や定期的な報告で副業先の労働時間を確認する。本業と副業それぞれの上限を決めて管理する方法(管理モデル)もある
- 健康状態を確認する:疲労の蓄積や睡眠不足が疑われるときは、法定の対象でなくても産業医面談を勧める
- 方針を社外に公表する:副業・兼業を認めているか、認める条件などを自社のホームページなどで公表することが望ましいとされています
こんなときは産業医に相談を
- 本業と副業を合わせて、休日がほとんどない状態が続いている
- 本業で遅刻・ミスが増えたり、居眠りが目立ったりする
- 夜間の副業で睡眠時間が短くなっている
- 副業先での業務が有害業務や危険な作業にあたる
長時間労働が健康に与える影響と面接指導の進め方は長時間労働者の面接指導の流れ、就業規則の健康管理の規定は就業規則に入れておきたい健康管理の規定で解説しています。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、副業・兼業する社員の健康面の確認、届出ルールや就業規則の健康管理の規定への助言、疲労が心配な社員との面談を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
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事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
副業先の労働時間は通算しますか?
労働時間は、事業主が異なる場合も通算します(労働基準法第38条第1項)。割増賃金や、時間外・休日労働の上限(単月100時間未満・複数月平均80時間以内)の判断では、本業と副業の労働時間を合計します。
副業している社員の健康診断の対象はどう判断しますか?
健康診断やストレスチェック、長時間労働者の面接指導の対象者を判断するときは、副業先の労働時間は通算しないとされています。ただし、健康への配慮は必要です。
副業を禁止することはできますか?
原則として副業・兼業は認める方向で検討し、労務提供に支障がある場合、秘密が漏れるおそれがある場合、競業にあたる場合、会社の名誉や信用を損なう場合などに禁止・制限できるよう就業規則に定めます。
副業による長時間労働が心配なときはどうすればよいですか?
届出や定期的な報告で副業の労働時間と健康状態を確認し、疲労の蓄積が疑われるときは、法定の対象でなくても産業医面談を勧めます。
まとめ
副業・兼業では、労働時間は通算しますが、健康診断や面接指導の対象の判断では副業先の時間を通算しません。それでも会社には安全配慮義務があるため、就業規則で届出のルールを決め、労働時間と健康状態を確認し、必要に応じて産業医面談につなぎましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
- 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
- こころの耳(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 労働契約法(e-Gov法令検索)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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