事務所衛生基準規則とは|照度300ルクス、室温18〜28℃、トイレの数と10人以下の特例、休養室・救急用具の基準を産業医が解説

「オフィスの照明は何ルクス必要?」「エアコンの温度は何度にすべき?」「社員が10人しかいないが、トイレは男女別に必要?」。オフィスを移転・改装する会社の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、事務所衛生基準規則(事務所則)にもとづいて、オフィスの広さ・換気・温度・照度・トイレ・休養室・救急用具の基準を、2021年・2022年の改正点も含めて解説します。
結論:事務所の作業環境には、法令で決まった最低基準がある
- 事務作業の照度は一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上です(事務所則第10条)。
- 空気調和設備がある場合、室温は18℃以上28℃以下、相対湿度は40%以上70%以下になるよう努めます(同規則第5条第3項)。
- トイレは原則として男女別ですが、同時に就業する労働者が常時10人以内なら、男女共用の独立個室型のトイレ1つでもよいとされています(同規則第17条の2)。
- 常時50人以上または女性30人以上の事業場では、横になって休める休養室を男女別に設けます(同規則第21条)。

広さ・換気・空気の基準
| 項目 | 基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 気積(広さ) | 設備の容積と床から4mを超える空間を除き、労働者1人あたり10立方メートル以上 | 事務所則第2条 |
| 換気 | 窓などの直接外気に開放できる部分の面積が、床面積の20分の1以上(十分な換気設備があれば不要) | 同規則第3条第1項 |
| 一酸化炭素・二酸化炭素 | 室内で一酸化炭素50ppm以下、二酸化炭素5,000ppm以下 | 同規則第3条第2項 |
| 空気調和設備から供給する空気 | 浮遊粉じん0.15mg/立方メートル以下、一酸化炭素10ppm以下、二酸化炭素1,000ppm以下、ホルムアルデヒド0.1mg/立方メートル以下 | 同規則第5条第1項 |
会議室の眠気や頭痛と二酸化炭素濃度の関係は、CO2濃度と室温が生産性に直結する理由で解説しています。
温度・湿度の基準
- 室温が10℃以下のときは、暖房などで温度を調節する(事務所則第4条第1項)
- 冷房するときは、外気温より著しく低くしない(同条第2項)
- 空気調和設備を設けている場合は、室温18℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下になるよう努める(同規則第5条第3項。2022年の改正で下限が17℃から18℃に引き上げられました)
中央管理方式の空気調和設備がある事務所では、2か月以内ごとに一酸化炭素・二酸化炭素・室温・湿度などを測定し、記録を3年間保存します(同規則第7条)。夏の暑さ対策は職場の熱中症対策の義務化もあわせてご覧ください。
照度・照明の基準
| 作業の区分 | 作業面の照度 |
|---|---|
| 一般的な事務作業 | 300ルクス以上 |
| 付随的な事務作業(資料の袋詰めなど、文字を読み込まない作業) | 150ルクス以上 |
照明はまぶしさや明暗の差が大きくならないようにし、照明設備は6か月以内ごとに1回点検します(同条第2項・第3項)。パソコン作業の照明や画面の位置は情報機器作業(VDT作業)のガイドラインで解説しています。
トイレ・洗面・休養室など

| 設備 | 基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| トイレ | 原則として男女別。男性用大便所は同時に就業する男性60人以内ごとに1つ、男性用小便所は30人以内ごとに1つ、女性用は同時に就業する女性20人以内ごとに1つ以上 | 事務所則第17条 |
| 独立個室型のトイレ | 同時に就業する労働者が常時10人以内なら、男女共用の独立個室型1つでよい。10人を超える場合も、独立個室型を設けた分だけ男女別の便房数を減らせる | 同規則第17条の2 |
| 洗面設備・更衣設備 | 洗面設備を設ける。被服が汚れる・ぬれる仕事では、更衣設備や乾燥設備を設ける | 同規則第18条 |
| 休憩の設備 | 有効に利用できる休憩の設備を設けるよう努める | 同規則第19条 |
| 休養室 | 常時50人以上または常時女性30人以上なら、横になれる休養室・休養所を男女別に設ける | 同規則第21条 |
| 救急用具 | 負傷者の手当てに必要な救急用具と材料を備え、場所と使い方を周知し、清潔に保つ | 同規則第23条 |
独立個室型のトイレの特例は、2021年12月の改正で設けられました。小規模なオフィスへの移転や改装の際は、この基準を確認しておきましょう。
産業医が関わること
- 職場巡視で、照度、温度・湿度、二酸化炭素濃度、トイレや休養室、救急用具の状況を確認する(産業医の職場巡視)
- オフィスの移転・改装の計画段階で、基準を満たしているかを助言する
- 衛生委員会で、作業環境の測定結果や社員からの要望をもとに改善を審議する(衛生委員会の議題例)
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、オフィスの職場巡視での照度・温度・空気環境・トイレや休養室の確認、移転や改装の際の作業環境の助言、衛生委員会での改善の審議を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
オフィスの照度は何ルクス必要ですか?
一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上です(事務所衛生基準規則第10条)。
オフィスの室温は何度にすべきですか?
空気調和設備がある場合、室温は18℃以上28℃以下、相対湿度は40%以上70%以下になるよう努めます(事務所衛生基準規則第5条第3項)。
社員10人の会社でもトイレは男女別に必要ですか?
同時に就業する労働者が常時10人以内であれば、男女共用の独立個室型のトイレ1つでもよいとされています(事務所衛生基準規則第17条の2)。
休養室は何人から必要ですか?
常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使用する場合に、横になれる休養室・休養所を男女別に設けます(事務所衛生基準規則第21条)。
まとめ
事務所衛生基準規則は、オフィスの広さ、空気、温度、照度、トイレ、休養室、救急用具の最低基準を定めています。照度は300ルクス以上、室温は18〜28℃を目安にし、移転や改装のときは小規模事業場のトイレの特例も含めて確認しましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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