情報機器作業(VDT作業)のガイドラインとは|1時間ごとに10〜15分の休止、画面は40cm以上、照度300ルクス、配置前と1年ごとの健診を産業医が解説

「パソコン作業が中心の社員にも健康診断が必要?」「1時間ごとに休憩を取らせるべき?」「在宅勤務の作業環境はどうする?」。オフィス中心の会社の方からいただく質問です。この記事では、京都で嘱託産業医をしている筆者が、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(2019年、旧VDTガイドライン)にもとづいて、作業時間の管理、作業環境、健康診断の対象と項目、教育を解説します。
結論:1時間以内の連続作業ごとに10〜15分の休止、対象者には配置前と1年ごとの健診
- パソコン、タブレット、スマートフォンなどを使う作業を「情報機器作業」といい、2019年に旧VDTガイドラインに代わるガイドラインが示されました。
- 一連続作業時間は1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止、連続作業の途中にも1〜2回の小休止をとります。
- ディスプレイは眼からおおむね40cm以上離し、机上の照度は300ルクス以上を目安にします。
- 1日4時間以上の作業などの対象者には、配置前と1年以内ごとに、眼や首・肩・腕の検査を含む健康診断を行います。

作業時間の管理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一連続作業時間 | 1時間を超えないようにする |
| 作業休止時間 | 連続作業と連続作業の間に10〜15分(画面から離れて別の作業や体操をする) |
| 小休止 | 一連続作業時間の中で1〜2回 |
| 業務量 | 個人の能力や特性に応じて、無理のない業務量にする |
作業休止時間は休憩時間とは別で、電話応対や打合せなど画面を見ない作業に切り替える形でもかまいません。
作業環境と作業姿勢

- ディスプレイは眼からおおむね40cm以上離し、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になるようにする
- 机上の照度は300ルクス以上を目安にし、画面への映り込みやまぶしさを防ぐ(ブラインドやスタンドの向きを調整する)
- 椅子は高さを調整でき、足の裏全体が床につくようにする。必要に応じて足台を使う
- ノートパソコンを長時間使う場合は、外付けのキーボードやマウス、ディスプレイを使う
健康診断の対象と項目
対象となる人
- ディスプレイやキーボードを常時使う作業を、1日4時間以上行う人
- 疲れたときに休憩や姿勢の変更が取りにくい作業を、1日4時間以上行う人
- 上記で1日4時間未満の人や、考えながら文書作成・企画などを行う人のうち、眼や肩の痛みなどの症状がある人
時期と項目
| 時期 | 主な項目 |
|---|---|
| 配置前 | 業務歴・既往歴の調査、自覚症状の調査、眼の検査(視力〈遠見・近見〉、屈折など)、首・肩・腕・手指の検査 |
| 定期(1年以内ごと) | 業務歴・既往歴の調査、自覚症状の調査、眼の検査(視力など)、首・肩・腕・手指の検査。医師の判断で項目を選ぶ |
この健診は法令ではなくガイドラインにもとづくもので、一般の定期健康診断とあわせて行うこともできます。結果をもとに、医師の意見を聴いて作業時間や作業環境の見直しを行います。
教育と在宅勤務
- 作業者には、作業管理・作業環境管理・健康管理について教育し、管理者には、それに加えて職場での管理の進め方を教育する
- テレワークで情報機器作業を行う人にも、自宅の机と椅子、照明、画面の位置について、同じ考え方で助言する
- 眼の疲れ、肩こり、腰痛などの訴えがあれば、早めに産業医や保健師に相談できるようにする
産業医が関わること
- 職場巡視で、画面の位置、照明の映り込み、椅子と机の高さを確認する(産業医の職場巡視)
- 健診の対象者を整理し、結果をもとに作業時間や作業環境について意見を述べる
- 衛生委員会で、テレワークを含む作業環境の改善を審議する(衛生委員会の議題例)
会社として整えたい作業環境(机・椅子・画面・照明)
ガイドラインの考え方は、「人が机に合わせる」のではなく、机・椅子・画面を人に合わせて調整できるようにすることです。人間工学(エルゴノミクス)の考え方とも共通しています。会社として、次のような設備を用意すると、腰痛・肩こり・眼精疲労の予防につながります。
| 項目 | 会社が用意・確認すること |
|---|---|
| 椅子 | 座面の高さを調整でき、背もたれがある。足の裏全体が床につかない人には足台を用意する |
| 画面 | 画面との距離はおおむね40cm以上、画面の上端が目の高さとほぼ同じか、やや下になるよう調整できる(モニターアームなど) |
| ノートパソコン | 長時間使う人には、外付けのキーボード・マウスや画面を用意し、画面の高さを調整できるようにする |
| 照明 | 書類やキーボードの上で300ルクス以上を目安に。画面に照明や窓の光が映り込まないよう配置やブラインドで調整する |
| 作業スペース | 書類や資料を置ける広さ、足元の空間を確保する |
眼精疲労・肩こりを防ぐ「作業の休止」と相談の仕組み
ガイドラインでは、一連続の作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止を、また一連続作業時間内に1〜2回程度の小休止を設けるよう示しています。休止は「休憩」ではなく、画面から目を離したり、立って体を動かしたりする時間です。
- 会議や電話など、画面を見ない仕事を間にはさむよう業務を組み立てる
- 目の疲れ・肩こり・頭痛が続く社員は、情報機器作業の健康診断(配置前と1年以内ごとに1回)や、産業医・保健師の面談につなぐ
- テレワークの社員にも、自宅の机・椅子・照明のチェックリストを配り、整えるよう案内する
「デスクワークだから肩こりは仕方がない」と放置すると、作業効率の低下や休業につながることもあります。職場巡視の際に、画面の位置や椅子の高さを一緒に確認するのも効果的です。
うえまつ産業医事務所にご相談ください
うえまつ産業医事務所では、オフィス・コールセンター・設計部門などの事業場で、職場巡視での作業環境の確認、情報機器作業の健診結果の確認と意見、テレワークの作業環境の助言を、毎月定額の範囲で行います。
- 嘱託産業医:2か月に1回の訪問で月額30,000円、毎月訪問で月額50,000円(税別)
- 従業員50人未満の顧問契約:月額20,000円(税別)/1回だけのスポット相談:20,000円(税別)
- 毎月定額。職場巡視・衛生委員会への出席、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成、Webストレスチェック・健康管理Webに追加費用はかかりません
- 紹介会社を通さず、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が継続して担当します(京都・大阪・滋賀・奈良へ訪問、全国Web面談)
事務所の概要は京都の産業医|うえまつ産業医事務所、料金とご契約の流れは報酬・ご契約の流れ、ご相談はお問い合わせから(翌営業日までに返信します)。
よくある質問
パソコン作業は何分ごとに休憩が必要ですか?
ガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止、連続作業の途中にも1〜2回の小休止をとるとしています。
情報機器作業の健康診断は義務ですか?
法令ではなく、厚生労働省のガイドラインにもとづくものです。1日4時間以上の作業を行う人などを対象に、配置前と1年以内ごとに行うことが求められています。
ディスプレイとの距離はどのくらいがよいですか?
眼からおおむね40cm以上離し、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になるようにします。
机の上の明るさの目安は?
ガイドラインでは、机上の照度は300ルクス以上が目安とされています。画面への映り込みやまぶしさにも注意します。
ノートパソコンだけで仕事をしてもよいですか?
禁止されてはいませんが、ノートパソコンは画面が低く、首を前に曲げた姿勢になりやすいため、長時間使う人には外付けのキーボードや画面を用意し、画面の高さを調整できるようにすることが望まれます。
まとめ
情報機器作業では、1時間以内ごとの作業休止、画面との距離と照明、椅子と机の調整が基本です。1日4時間以上の作業を行う人などには、配置前と1年ごとに眼や首・肩の検査を含む健診を行い、テレワークの作業環境にも目を配りましょう。
参考:公的機関の資料
この記事の内容は、次の法令・公的機関の資料にもとづいています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。
この記事を書いた人
上松 弘典(うえまつ ひろのり)
うえまつ産業医事務所 所長。産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・博士(社会健康医学)・MPH。京都市中京区(四条烏丸)を拠点に、京都・大阪・滋賀・奈良の事業場で嘱託産業医として訪問しています。九州大学医学部卒業後、内科・呼吸器内科の臨床に従事し、東京大学大学院(MPH)、京都大学大学院(博士・社会健康医学)を修了。一般企業のほか病院・クリニックの産業医も務め、メンタル不調・休職・復職の対応、健康診断後の就業判定、製造業の特殊健康診断、ストレスチェックを中心に、企業の健康管理を支援しています。
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