産業医は何人から必要?社員が50人を超えたら14日以内に選任・選任報告|最初の3か月でやること【漫画でわかる】
従業員が50人を超えると、会社には産業医の選任をはじめ、いくつかの義務が新しく生まれます。とくに産業医と衛生管理者は、選任が必要になった日(常時50人以上になった日)から14日以内に選任しなければなりません。この記事では、まもなく50人になる事業場の総務担当・佐藤さんとメーくんのやりとりを漫画で紹介したうえで、やることと最初の3か月の進め方を産業医が解説します。
※費用を抑えたい場合は、条件を満たせば産業医の訪問を2か月に1回にできます。詳しくは「産業医の訪問は2か月に1回でもいい?隔月訪問の条件と費用(月額3万円〜)」をご覧ください。


漫画のセリフを文字で読む
前半
佐藤さん「この事業場も、来月から50人! 健康管理の体制も変わるのかな?」
メーくん「ポイントは、事業場ごとに『常時50人以上』です」(パート・アルバイトも含めて確認)
佐藤さん「会社全体の人数ではないんですね!」
メーくん「産業医と衛生管理者は、選任が必要になった日から14日以内に選任します」
佐藤さん「選任後は、遅滞なく労基署へ報告です」
佐藤さん「50人になる前から、準備しておこう!」(やることリスト:産業医の選任・報告/衛生管理者の選任・報告/衛生委員会の設置/健康診断・ストレスチェックの準備)
メーくん「はい! ほかに必要なことも、一緒に整理しましょう」
後半
佐藤さん「必要なことを、一覧にしておきたいです!」
メーくん「50人以上の事業場で押さえるのは、①産業医の選任・報告、②衛生管理者の選任・報告、③衛生委員会(毎月1回以上)、④定期健康診断の結果報告、⑤ストレスチェック(年1回・結果報告)の5つ。選任だけで終わりではありません」
メーくん「衛生委員会や職場巡視も、早期に始めましょう」(産業医の巡視:原則毎月1回以上、一定の条件で2か月に1回以上)
佐藤さん「担当者と日程を決めて、継続するんですね!」
佐藤さん「一人で抱えず、産業医と進めます!」(3か月で確認したいこと:担当者・年間計画は決まった?/健診後の対応は進んでいる?/ストレスチェックの準備はできた?)
メーくん「一緒に、働きやすい職場へ!」
※3か月は運用を整える目安です。法定期限を延ばすものではありません。
「50人」はどう数える?
産業医の選任が必要になるのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。数え方で間違いやすいポイントは次の3つです。
- 会社全体ではなく「事業場」ごとに数えます。本社30人・工場25人なら、どちらも50人未満です。反対に、本社に産業医がいても、50人以上の支店や工場には、その事業場の産業医が必要です。
- パート・アルバイトも含めます。正社員だけでなく、日常的に働いている人は雇用形態にかかわらず数に入ります。
- 派遣社員は、派遣先でも数えます。産業医や衛生管理者の選任では、派遣労働者は派遣元と派遣先の両方の人数に含めます。
繁忙期だけ一時的に50人を超えるような場合は「常時」にあたらないこともあります。判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署か産業医に相談してください。
50人以上の事業場で押さえること5つ
| やること | 期限・頻度 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 産業医の選任・報告 | 選任が必要になった日から14日以内に選任、遅滞なく報告 | 1,000人未満(一定の有害業務がある場合は500人未満)なら、非常勤の嘱託産業医で足ります |
| ② 衛生管理者の選任・報告 | 選任が必要になった日から14日以内に選任、遅滞なく報告 | 衛生管理者の免許が必要です。製造業・建設業・運送業・医療など一部の業種は第一種、それ以外は第二種でも選任できます |
| ③ 衛生委員会の設置 | 毎月1回以上開催 | 産業医・衛生管理者・労働者側の委員などで構成し、議事録は3年間保存します |
| ④ 定期健康診断の結果報告 | 健診を実施したら遅滞なく | 「定期健康診断結果報告書」を労働基準監督署に提出します |
| ⑤ ストレスチェック | 年1回 | 実施後、遅滞なく「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出します |
選任報告や健康診断の結果報告は、2025年1月から原則として電子申請で行うことになりました。また、産業医は原則として毎月職場巡視を行います(一定の条件を満たせば2か月に1回にできます)。
産業医を選任しなかった場合は、50万円以下の罰金の対象になります(労働安全衛生法第120条)。罰則よりも大切なのは、長時間労働や休職者への対応など、産業医がいないと判断できない場面がすぐにやってくることです。
最初の3か月の進め方
選任して終わりではなく、最初の3か月で健康管理の運用を軌道に乗せるのが目標です。なお、3か月は運用を整える目安で、14日以内の選任などの法定期限を延ばすものではありません。
1か月目:産業医と衛生管理者を決めて報告する
14日以内という期限は思ったより短いので、50人になる見込みがわかった時点で産業医探しを始めるのが理想です。社内に衛生管理者の免許を持つ人がいない場合は、受験の計画も同時に立てます。選任したら、労働基準監督署へ選任報告を出します。
2か月目:衛生委員会を立ち上げ、職場巡視を始める
委員を決めて第1回の衛生委員会を開きます。最初の議題は「年間計画」「長時間労働の状況」「健康診断の受診状況」などが取り組みやすいです。産業医の職場巡視もこの時期から始めます。衛生委員会と巡視は、担当者と日程を年間計画で決めておくと継続しやすくなります。
3か月目:健康診断の結果を確認し、ストレスチェックを計画する
直近の健康診断の結果を産業医に見てもらい、就業判定(そのまま働いてよいか、配慮が必要か)を行います。ストレスチェックは実施時期・実施者・結果の扱いを衛生委員会で決めてから進めます。3か月たった時点で「担当者と年間計画は決まったか」「健診後の対応は進んでいるか」「ストレスチェックの準備はできたか」を振り返ってみてください。
よくあるご質問
Q. 産業医は何人から必要ですか?
A. 常時50人以上の労働者を使用する事業場で、産業医の選任が必要です。人数は会社全体ではなく事業場ごとに数え、パート・アルバイトも含みます。常時1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)の事業場は専属の産業医、3,000人を超える事業場は2人以上の産業医が必要です。
Q. 産業医の選任届(選任報告)は、いつまでにどこへ出しますか?
A. 産業医は、選任が必要になった日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ「産業医選任報告」を提出します。医師であることと産業医の要件を満たすことを示す書類を添付します。電子申請(e-Gov)でも提出できます。書き方や添付書類は産業医選任報告(選任届)の書き方と提出方法で解説しています。
Q. 産業医はどうやって探せばいいですか?
A. 産業医紹介会社を利用する、産業医事務所と直接契約する、といった方法があります。京都で探す場合の相談窓口や違いは京都で産業医を探す方法で比較しています。費用や担当医の決まり方がそれぞれ違うので、産業医の費用相場の記事も参考にしてください。
Q. すでに産業医がいるが、訪問が少なく相談しにくい場合は?
A. 契約の途中でも産業医は変更できます。手順は産業医を変更したいときの手順で紹介しています。
Q. 衛生委員会では何を話し合えばいいですか?
A. 基本的な考え方は衛生委員会ってなんだろう?で解説しています。50人未満の事業場も、2028年4月からはストレスチェックが義務になります(50人未満のストレスチェック義務化)。
京都・大阪・滋賀・奈良で産業医をお探しの方へ
うえまつ産業医事務所は、京都市中京区を拠点に、労働衛生コンサルタント・総合内科専門医の上松が嘱託産業医を務めています。嘱託産業医は月額30,000円から(税別)。毎月定額で、臨時の相談・面談、交通費、意見書の作成に追加費用はかかりません。はじめて50人を超えた会社の選任報告や衛生委員会の立ち上げからお手伝いします。
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