【+コップ2杯】 無理なくはじめる水分補給

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、デスクワークの方も屋外作業の方も毎日意識していただきたい【水分補給のコツと職場の熱中症ルール】についてお話しします。

人間の体の約60%は水分でできています。この水分がたった1〜2%不足するだけで、目立った自覚症状がないまま、集中力や判断力といったパフォーマンスは静かに、しかし確実に低下していきます。 「たかが水」と侮らず、ご自身の身体のパフォーマンスを最大化するための正しい水分の摂り方を整理していきましょう。

1. 1日に「飲むべき水」は1.2リットル

私たちは普通に生活しているだけで、1日に約2.5リットルの水分を失っています(便や尿で約1.6リットル、汗や呼吸で約0.9リットル)。当然、失った分と同じ約2.5リットルを毎日補う必要があります。

その内訳を見てみましょう。

  • 食事から摂る水分:約1.0リットル
  • 体内で作られる水分:約0.3リットル
  • 飲み物として摂る水分:約1.2リットル

つまり、体重や年齢で多少の個人差はあるものの、私たちは汗をかかない涼しい季節であっても、毎日「約1.2リットル」の水分を意識して飲む必要があるということです。 ここで見落としがちなのが、「食事からの水分(約1.0リットル)」です。忙しいからと朝食や昼食を抜く(欠食する)ことは、栄養不足になるだけでなく、ダイレクトに「脱水」を引き起こす大きな原因となります。

2. パフォーマンスを下げない水分補給の「4つのポイント」

適切な水分補給は、熱中症を防ぐだけでなく、血液がドロドロになるのを防いで脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げ、老廃物の排出(代謝)を促すという絶大なメリットがあります。

① こまめに飲む(のどが渇く前に飲む) 人間の体は、一度に大量の水を飲んでも吸収しきれず、尿として排出されてしまいます。「のどが渇いた」と感じた時には、すでに体は脱水状態に入っています。起床時、毎食時、入浴の前後、運動の前後、就寝前など、タイミングを決めて「コップ1杯をこまめに飲む」習慣をつけましょう。

② 食事をしっかり摂る 前述の通り、食事は極めて重要な水分補給源です。3食しっかり食べることは、脱水予防の基本です。

③ 汗をかいた時は「塩分」もプラス 大量に汗をかいた時に「水」だけをガブ飲みすると、血液中のナトリウム(塩分)濃度が急激に薄まる「水中毒(低ナトリウム血症)」を引き起こし、頭痛やけいれん、最悪の場合は命に関わる危険があります。大量発汗時は、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分も一緒に補給してください。

④ 飲酒時の脱水に注意する アルコールには強い利尿作用があるため、飲んだお酒の量以上の水分が体から出ていきます。「ビールで水分補給」は医学的に大きな間違いです。お酒の席では、必ず「チェイサー(お水)」を一緒に飲むようにしてください。

3. 職場の熱中症対策は「法的義務」へ

職場における熱中症対策のルールも、近年大きく厳格化されています。 2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、これまで企業の「努力義務」だった熱中症対策が、【罰則付きの法的義務】へと変わりました。

対象となるのは、「WBGT(暑さ指数)28度以上、または気温31度以上の環境」で、「継続して1時間以上、または1日4時間を超えて行われる作業」です。これは屋外に限らず、空調の効いていない室内や倉庫なども対象になります。

事業者には以下の3点が強く求められています。

  1. 体制の整備:体調不良者を早期に見つけるための報告体制を作る
  2. 手順の作成:発見時の具体的な対応手順(作業離脱・体の冷却・救急要請など)を定めておく
  3. 周知徹底:上記の内容を、関係するすべての労働者に周知する

重大な労働災害の多くは、「初期症状の放置」と「対応の遅れ」から発生しています。義務化の有無にかかわらず、日頃からの水分補給と、現場での「体調どう?」という声かけが最大の防波堤となります。

おわりに

毎日の正しい水分補給は、誰もがすぐに始められる最も手軽な「健康投資」です。

いきなり1.2リットルを完璧に飲もうと身構える必要はありません。まずは今日から、いつもの日常に「プラス・コップ2杯」の水を増やすことから始めてみませんか。 ※心臓や腎臓の疾患等で主治医から水分制限の指示が出ている方は、必ず主治医の指示に従ってください。

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