【産業医の役割】病院の先生と産業医はどう違う?
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皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
今回は、人事・労務担当者の皆様の強力なパートナーである「産業医の役割と上手な活用法」についてお話しします。 「毎月の職場巡視や衛生委員会への出席、書類への押印だけを行う存在」……もし、産業医をそのような形式的なものとして捉えているとしたら、企業にとって非常に勿体ないことです。
1. 主治医は「生活の専門家」、産業医は「労働の専門家」
従業員がメンタルヘルス不調などで休職・復職する際、人事担当者を最も悩ませるのが「医師の診断書」の扱いではないでしょうか。 「主治医から『復職可能』の診断書が提出されたが、現場からは『まだ業務を任せられる状態ではない』と反発される」。こうした板挟みは、実務において直面しやすい課題の一つです。
なぜこのようなすれ違いが起きるのでしょうか。そこには、主治医と産業医の「目的の違い」があります。
- 主治医のゴール:「日常生活」が送れること 主治医は「病気を治すこと(治療)」の専門家です。主治医の言う「働ける」は、多くの場合「日常生活が送れるようになり、通勤電車に乗れる程度には回復した」という意味合いを含んでいます。その方が職場でどのようなプレッシャーを受け、どれくらいの業務量をこなさなければならないか(実際の職場環境)までは把握していません。
- 産業医のゴール:「安全に働き続けられる」こと 一方で産業医は、「労働と健康」の専門家です。病気が完全に治っていなくても、「現在の業務内容や残業時間において、健康を悪化させずに安全に働けるか(就業判定)」を見極めるのが役割です。主治医の診断をベースにしつつ、企業の業務の実態と照らし合わせて、最終的な「就業可否の意見」を企業に提供します。
つまり、主治医の「復職可」の診断書はそのままゴールになるわけではなく、産業医が就業判定を行うための「スタートの材料」に過ぎないのです。
2. 人事・労務担当者が実践したい「産業医との連携」のポイント
産業医から「企業と従業員を守るための、質の高い意見」を引き出すためには、人事担当者からの事前情報が不可欠です。
① 現場の「リアルな情報」を産業医に共有する
産業医面談の前に、「該当部署は現在繁忙期で、月40時間の残業が常態化している」「上司とのコミュニケーションに課題を抱えているようだ」といった、診断書には書かれないリアルな職場環境を産業医に共有してください。この情報があるだけで、面談の質や企業へのアドバイスの具体性が格段に向上します。
② 会社としての「方針・見解」を事前に相談する
「本人はフルタイムでの復帰を希望しているが、会社としてはまず短時間勤務から様子を見たい」など、人事としての見解や希望する対応を事前に産業医に伝えておきましょう。その方針が医学的に妥当かどうかを一緒に検討し、スムーズな復職支援へと繋げます。
③ 組織課題の「コンサルタント」として活用する
個別の従業員対応だけでなく、「最近、特定の部署で休業者が続いている」「若手社員の離職が増加している」といった組織全体の課題についても、ぜひ産業医の意見を求めてみてください。医学的・客観的な視点から、企業が気づいていない労働環境の問題を指摘し、改善策を提示できるはずです。
おわりに
産業医は、働く人が健康に働き続けられるよう支援する医師であると同時に、企業を労務トラブルから守り、組織をより良くするための外部コンサルタントでもあります。
企業と従業員の双方が安心して働ける環境づくりのために、ぜひ日頃から積極的に情報を提供し、産業医という専門家を最大限に活用してみてください。
