「安全配慮義務」と「健康経営」
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皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
今回は、人事・労務担当者の皆様には「実務のヒント」として、一般の従業員の皆様には「ご自身の心身を守る知識」として、産業保健の基本的な疑問である「そもそも、なぜ会社は従業員の健康管理をするのか?」というテーマについて分かりやすく解説します。
1. 会社と従業員の大切な約束「安全配慮義務」
入社すると、毎年定期健康診断を受診したり、ストレスチェックを受けたり、長時間労働の際には産業医面談の対象になったりします。これらは、労働契約法第5条によって定められている「安全配慮義務」という法律上のルールに基づいています。
安全配慮義務とは、「企業は、労働者が生命や身体の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」という法的義務のことです。従業員は労働力を提供し、企業は給与を支払うだけでなく、「安全に健康で働き続けられる環境を守る」という重要な約束を交わしているのです。
私たち産業医や保健師は、企業がこの約束を適正に果たせるよう、医学的な立場からサポートする専門家として存在しています。
2. 健康管理は「コスト」から「前向きな投資」の時代へ
近年、企業の健康管理に対する視点は大きく変化しています。
かつて、従業員の健康診断やメンタルヘルス対策は、企業にとって「法律で義務付けられているから仕方なく負担するコスト(経費)」という側面が強くありました。しかし現在では、「健康経営」という言葉に代表されるように、従業員の健康管理は「企業を成長させるための前向きな投資」であるという考え方がスタンダードになっています。
従業員が心身ともに健康であれば、集中力やモチベーションが高まり(生産性の向上)、新しいアイデアが生まれやすくなり、予期せぬ休職や離職を防ぐことができます。結果的に、従業員個人のウェルビーイング(幸福)と企業の業績向上が両立するのです。
3. ご自身の健康を守るために「会社の制度」を活用する
① 健康診断は「事後措置」が本番
健康診断は「受診して終わり」ではありません。結果を確認し、「再検査・精密検査に行く」「生活習慣を見直す」といった具体的な行動に移すこと(事後措置)で、初めて制度を活かしたと言えます。
② 不調を「隠さない」
「しんどいけれど、相談したら評価が下がるかもしれない」と無理を重ねると、取り返しのつかない不調に繋がる恐れがあります。ご自身のSOSに気づき、早めに上司や人事担当者、産業医に「少し体調が優れません」とアラートを上げることも、大切なセルフケアの一つです。
③ 産業医を「身近な専門家」として頼る
産業医は、企業と契約しながらも独立した医学の専門家です。守秘義務があるため、相談した内容がご本人の不利になる形で勝手に会社に伝わることはありません。「こんなことで相談してもいいのだろうか」と迷うような些細な不調であっても、気軽な相談窓口としてぜひ活用してください。
おわりに
産業保健とは、企業が一方的に従業員を管理するものではなく、「企業と従業員が協力して、お互いに働きやすい環境を作っていくための仕組み」です。
従業員の皆さんが心身ともに健康で、安心して長く働き続けられるよう、ぜひ今社内の健康管理制度や産業保健スタッフの存在に目を向けてみてください。
