「アンガーマネジメント」と怒りのメカニズム
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皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
今回は、職場の人間関係をスムーズにし、ご自身の心を守るための「アンガーマネジメント」についてお話しします。
アンガーマネジメントは「決して怒ってはいけない」と誤解されがちですが、そうではありません。怒りは人間の自然な感情です。大切なのは、「怒りのメカニズムを理解し、適切にコントロールすること」なのです。
1. 怒りを感じるのは「脳の正常な防衛本能」
仕事中、思い通りにいかないことや理不尽な対応に対して血が上るような怒りを感じる。この時、私たちの脳内では何が起きているのでしょうか。
怒りは、脳の奥にある「扁桃体」という感情のセンサーが危機を察知し、アドレナリンなどのストレスホルモンを急激に分泌させることで起こります。これは動物としての防衛本能です。 しかし人間には、理性を司る「前頭葉」という部分があり、この前頭葉が扁桃体の興奮を鎮め、「まあ落ち着こう」とブレーキをかけてくれます。
つまり、一時的に「イライラしてしまう」こと自体は、脳の正常な生理反応なのです。
2. 自分と職場を守る「怒りのコントロール」3つのポイント
怒りに任せて衝動的な発言をしてしまうと、人間関係の悪化を招き、後で自分自身が一番後悔することになります。感情を上手に扱うための具体的なアプローチをご紹介します。
① 衝動を乗り切る魔の「6秒間」(大脳生理学)
扁桃体が興奮して分泌されたアドレナリンが体内を駆け巡り、理性を司る「前頭葉」が働き始めるまでに「約6秒」かかると言われています。つまり、最初の6秒間さえやり過ごせば、衝動的な発言や行動の大部分は防ぐことができます。
怒りを感じたら、心の中でゆっくり「1、2、3…」と数を数える、深呼吸をする、あるいは「少しお茶を飲んでくる」と物理的にその場から離れる(タイムアウト)などの行動が非常に有効です。
② ご自身の「べき(Should)」に気づく(認知行動療法)
心理療法のひとつである「認知行動療法」の観点では、怒りは「自分の理想(〜するべき)が裏切られた時」に発生すると考えます。「メールの返信はすぐにするべき」「資料は完璧に仕上げるべき」といったものです。
ご自身がどのような「べき」を持っているかを知り、「相手の『べき』は自分とは違うかもしれない」と少しだけ境界線を引くことが、イライラを手放す第一歩になります。
③ 怒りの奥にある「一次感情」に目を向ける(心理学)
心理学において、怒りは「二次感情」と呼ばれます。その奥には必ず、不安・悲しみ・疲労・落胆といった「一次感情」が隠れています。
例えば、同僚のミスにイラッとした時、実は「このままだと自分の仕事が終わらないかもしれない(不安)」や、連日の残業による「疲労」が隠れていませんか。「なんでミスをするの!」と怒り(二次感情)をぶつける前に、「自分は今、不安なんだな」「疲れているのだな」と気づくだけで、心は落ち着きを取り戻しやすくなります。
様々な視点を
「怒り」は決して悪いものではなく、「自分が何を大切にしているのか(どんな「べき」を持っているのか)」を教えてくれる、大切な心のサインでもあります。
特に週末の金曜日は「疲労」という一次感情が溜まりやすく、誰でも感情が揺れ動きやすくなるタイミングです。今週末は、身体をゆっくりと休め、しっかりとリフレッシュしてくださいね。
従業員の皆さんが心理的安全性の高い職場でイキイキと働けるよう、ぜひ日々のコミュニケーションに「アンガーマネジメント」の視点を取り入れてみてください。
