女性の健康課題【理解と職場づくり】

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

今回は、職場でオープンに話しづらいテーマでありながら、企業の実務において非常に重要な「女性の健康課題(PMS・更年期など)と働き方」についてお話しします。

1. 毎月の不調を「気合い」で乗り切ろうとしていませんか?

「毎月、この時期はどうしてもイライラしてしまう」「頭痛や腹痛がひどいけれど、鎮痛剤を飲んでなんとか出社している」「急にのぼせたり、気分が落ち込んだりする」。

こうした女性特有の健康課題(月経痛、PMS:月経前症候群、更年期障害など)を、個人の「我慢」や「気合い」で乗り切ろうとしている方は非常に多くいらっしゃいます。

経済産業省の調査によると、月経に伴う症状による労働損失(欠勤や、出勤していてもパフォーマンスが落ちている「プレゼンティーイズム」の状態)は、日本全体で年間約4,911億円に上ると試算されています。

女性の心身には、月に一度、そして一生の間に「女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)」の急激な変動が訪れます。このホルモンの波は自律神経に直接影響を与えるため、痛み、強い眠気、イライラ、気分の落ち込みといったさまざまな症状を引き起こします。 つまり、これらの不調は、ホルモン変動による症状なのです。

また、労働基準法第68条では「生理休暇」が定められていますが、厚生労働省の調査では実際に取得している女性労働者の割合は1%未満にとどまっており、制度が十分に活用しきれていない現状があります。

2. 制度を「使える」空気と、フラットな理解を

女性本人のセルフケアだけでなく、周囲の理解と環境づくりが合わさることで、職場の働きやすさは変わります。

① 婦人科や産業医を「気軽に」頼る

「この程度の痛みで病院に行っていいのかな」と悩む必要はありません。痛みが強い場合や気分の落ち込みが業務に支障をきたす場合は、まずはかかりつけの婦人科に相談するか、社内の産業医面談を気軽に活用してください。医療の力を借りることで、症状が緩和されるケースも多々あります。

② 「制度」を「使える空気」に変える

生理休暇やフレックスタイム制、テレワークなどの制度があっても、「上司や同僚に言い出しにくい」という理由で使えないのでは意味がありません。「今日は体調が優れないので、テレワークに切り替えます」「午後はお休みをいただきます」と、気兼ねなく言い合える心理的安全性の高いチームづくりが、何よりの支援になります。

③ 周囲の「フラットな理解」を深める

女性の健康課題は、男性はもちろん、同じ女性同士であっても症状の重さに大きな個人差があります。そのため、「私は平気なのに、あの人は甘えている」といったすれ違いが起きやすい領域でもあります。「ホルモンによる不調には個人差があり、コントロールが難しい」という事実を、職場の共通認識にすることが大切です。

おわりに

「女性の健康」について職場で考えることは、決して「女性だけを特別扱いする」ことではありません。

体調に波があることをお互いに理解し、カバーし合える柔軟な組織風土は、育児や介護、あるいは自分自身の思いがけない病気など、「誰にでも起こり得るピンチ」に強い職場をつくる土台となります。

「今日は少し調子が悪そうだな」と思ったら、業務のペース配分を調整したり、温かい言葉をかけたりする。そんな小さな思いやりや配慮がある職場環境を作っていきたいですね。多様な従業員の皆さんが、それぞれのライフステージでイキイキと、そして健康に働き続けられるよう、ぜひ今日から「女性の健康と働き方」に目を向けてみてください。