「見えない特性」への合理的配慮
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皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。
新しい1週間が始まりましたね。月曜日の朝はどうしてもエンジンがかかりにくいものですが、焦らずご自身のペースで少しずつリズムを整えていきましょう。
今回は、外見からは分かりにくい「見えない障害・特性(発達特性やHSPなど)」についてお話しします。 「何度言ってもミスを繰り返してしまう」「職場のちょっとした物音や雰囲気にひどく疲労を感じる」。これらは決して、本人の努力不足ではありません。
1. 「脳のOS」が異なるという理解(ニューロダイバーシティ)
近年、ビジネスの現場でも「ニューロダイバーシティ(脳の多様性・神経多様性)」という言葉が注目されるようになりました。
発達障害(ADHD:注意欠如・多動症や、ASD:自閉スペクトラム症など)の特性を持つ方は、脳内の神経伝達物質の働き方や、情報の処理ルートが定型発達の人とは異なっています。 また、HSP(Highly Sensitive Person)は病気ではなく、「感覚処理感受性(SPS)」という生来の気質(脳の神経系の特徴)を指します。脳科学の研究でも、HSPの特性を持つ人は、共感や感覚情報を深く処理する脳の領域が強く活性化することが証明されています。
つまり、「脳の情報の受け取り方や処理の仕方」が生物学的に異なっているのです。 2024年4月に改正された「障害者差別解消法」でも、企業に対してこうした特性や障害への「合理的配慮」の提供が義務化(法的義務)されました。
2. 誰もが働きやすくなる「ユニバーサルな配慮」3つのポイント
特性を持つ方への配慮は、実は特別なことではありません。それは巡り巡って、「すべての人が働きやすくなる(ユニバーサルデザイン)」工夫へと繋がります。今日から職場で取り入れられる3つのポイントをご紹介します。
① 指示は「口頭+テキスト」のセットで残す
ADHDの特性を持つ方などは、耳で聞いた情報を一時的に記憶する「ワーキングメモリ」の容量が小さい傾向があります。口頭で「あれとこれをお願いします」と伝えるだけでなく、必ずチャットやメールなどのテキスト(文字)として残す習慣をつけましょう。これは「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、誰もが業務を正確に進められるようになる業務管理の基本です。
② 曖昧な表現を避け、具体的に指示を出す
ASDの特性を持つ方や、情報を深く考えすぎるHSPの方は、曖昧な指示に対して強い不安や混乱を覚えます。「なるべく早くお願い」ではなく「今日の15時までに」。「適当にまとめて」ではなく「A4サイズ1枚で、箇条書きで」と、「期限・量・ゴール」を具体的に数値化して伝えましょう。この明確な指示出しは、若手社員への教育やテレワークでの業務指示にもそのまま役立ちます。
③ 「感覚の逃げ場」を認める
HSPの方や感覚過敏を持つ方は、職場の雑音、強い照明、他人の怒り声などに脳のエネルギーを激しく消耗します。集中して作業をしたい時のノイズキャンセリングイヤホンや耳栓の使用、まぶしさを和らげるサングラスやブルーライトカットメガネの着用などを、職場のルールとして認めることが、パフォーマンス低下を防ぐための重要な配慮となります。
おわりに
「あの人はなぜできないのだろう」とイライラしてしまった時、少しだけ立ち止まって「もしかしたら、情報の受け取り方が自分とは違うのかもしれない」と想像してみてください。
特定の誰かのために分かりやすい指示を出し、情報を整理し、感覚に配慮する環境を整える。その配慮や優しさは、結果的に「入社したばかりの新入社員」や「体調が優れない日のあなた自身」を助けてくれるはずです。
多様な人材がそれぞれの強みを発揮できるよう、ぜひ今日から「見えない特性」への理解と、お互いが働きやすい環境づくりに目を向けてみてください。
