温度管理で暑がり・寒がりの調整を

皆さんこんにちは。うえまつ産業医事務所です。

連休が明け、こちら関西では日差しが強くなり、ぐっと気温が高くなる日が増えてきました。そろそろオフィスの冷房の試運転を始める時期ではないでしょうか。

快適な職場づくりにおいて欠かせない「温度管理」ですが、非常に悩ましい課題の一つです。今回は、従業員の皆さんがオフィスで快適に過ごすための具体的な対策をお話しします。

1. 同じオフィス内で「暑い」「寒い」が分かれる理由

オフィスを見渡すと、半袖で汗をかいている方の隣で、カーディガンを着込んで寒そうにしている方がいますよね。それは、人が感じる温度には科学的な個人差があるためです。

  • 筋肉量と基礎代謝の違い 筋肉は、体内で熱を産生する最大の器官です。一般的に、筋肉量が多い人(男性に多い傾向があります)は熱を作り出しやすいため「暑がり」に、筋肉量が少ない人は熱を作りにくいため「寒がり」になりやすいとされています。
  • 「全員が満足する温度」は存在しない 国際標準化機構(ISO)が定める快適性の基準には、「予測不満足者率(PPD)」という指標があります。これは、「どんなに最適な温度設定にしても、必ず5%以上の人は不満(暑い・寒い)を感じる」という科学的な事実を示しています。 つまり、「全員にとってちょうどいい温度」は、最初から存在しないという前提に立つことが重要です。

2. 快適な職場をつくる「個別調整」のヒント

「全員が満足する全体設定」が難しいからこそ、各自が心地よい状態を作れる環境(個別調整)を認めることが、働きやすい職場づくりの第一歩になります。

今日から取り入れられる、具体的なアクションを3つご紹介します。

① 「直風」を防ぐ(風よけの設置)

冷たい風が直接体に当たると、体感温度は急激に奪われます。特定の座席の方だけが過度な寒さを感じている場合、エアコンの吹き出し口に市販の「風よけルーバー」を取り付けるだけで、不快感は大きく改善されます。

② 暑がりな方へ:小型扇風機による風の活用

暑さを強く感じる方には、卓上の小型扇風機などで個別に風を送る工夫がおすすめです。風が当たることで体感温度が下がるため、オフィスの全体設定温度を下げすぎずに快適さを保つことができます。

③ 寒がりな方へ:「3つの首」を温める

冷えを感じやすい方は、「首・手首・足首」の3つの「首」を温めるのが効果的です。太い血管が通っている部位を温めることで、全身に温かい血液が巡ります。ひざ掛けやカーディガンの着用、フットウォーマーの使用など、「自分自身を温める工夫」を職場全体で許容する空気づくりが大切です。

働きやすい職場環境へ

「風が直接当たって寒くないですか?」「私はブランケットがあるから大丈夫ですよ」 そのような、お互いを思いやる些細なコミュニケーションから、働きやすい職場環境は作られていきます。

全員が全く同じ条件で過ごすことは難しくても、それぞれの「快適さ」を尊重し合える職場は、ストレスを軽減し、生産性の向上にも繋がります。冷房による体調不良(冷房病など)も増えてくるこれからの季節、従業員の皆さんが健康に働けるよう、ぜひご自身の周りの環境と「個別調整」を見直してみてください。

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