あなたの職場のそのお菓子、本当に大丈夫?産業医が教える「超加工食品」との賢い付き合い方
みなさん、こんにちは。産業医のうえまつです。
日々いろいろな事業所を巡視しているのですが、多種類のお菓子が食堂、休憩室、オフィス内に陳列しているのを時に見かけます。疲れたときに甘いものを食べるのは、気分転換になりますし、私も否定するものではありません。しかし、その中には「超加工食品」に分類されるものが多く含まれており、皆さんの健康に悪影響を及ぼす可能性が高いことをお伝えしたいと思います。
「超加工食品」とは?
超加工食品とは、砂糖、塩、不健康な脂肪(トランス脂肪酸や飽和脂肪酸)、添加物などを多く含み、工業的な工程を何度も経て作られた食品のことです 。見た目を良くしたり、味を良くしたり、長期保存を可能にしたりするために、さまざまな添加物が使われています。たとえば、お菓子の風味を増すためのフレーバーや、甘さを加える甘味料、鮮やかな色を出すための着色料などがその代表です 。
なぜ超加工食品に注意が必要なのか
超加工食品の摂取が多いほど死亡率が高まることは様々な研究でわかってきていて、これは超加工食品の摂取はカロリー過多、栄養不足、慢性炎症を引き起こしてしまうからなのですが、最近ではその中でもフレーバー、甘味料、着色料といった特定の添加物について、摂取量が増えるほど死亡リスクが高まる可能性を示唆するデータも報告されるようになりました。https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(25)00380-3/fulltext
またその他にも、超加工食品は加工度の少ない食品を摂取することと比較すると太りやすくなるというデータも報告されています。
https://www.nature.com/articles/s41591-025-03842-0
職場に常備されているスナック菓子や市販の焼き菓子、清涼飲料水などには、これらの添加物が多く含まれている可能性があります。少しずつでも毎日のように摂取し続けることで、知らず知らずのうちに大切な従業員の健康が損なわれているかもしれません。
超加工食品を避けるためのアドバイス
では、どのようにすればよいでしょうか? このような菓子類をゼロにする必要はないと考えますが、大切なのは、なるべく加工度の低い食品に置き換えることです。
- お菓子は「加工度合の低い食品」を選ぶ:(ドライ)フルーツ、無塩素揚げのナッツ、ダークチョコレート、プレーンヨーグルト、煎り豆、素焼きの芋など、原材料が少ないものを選びましょう。
- 飲み物を見直す:清涼飲料水ではなく、水やお茶、ブラックコーヒー、無糖の炭酸水などに置き替えるだけで、甘味料や糖質の摂取を大きく減らせます。
- 原材料リストを確認する:購入前に食品の裏に記載された原材料リストを見てみましょう。添加物がたくさん並んで表記されている場合は、超加工食品である可能性が高く、なるべく原材料表記が短いものを選ぶのがよいでしょう。
超加工食品を減らすことは、単に健康リスクを避けるだけでなく、より質の高い栄養を体に取り入れることにつながります。
皆さんの健康な毎日を願っています。