ダイエットや生活習慣病の予防などを心がけている方から、「油はカロリーが多く太るので油の摂取は控えている」という声を聞くことがあります。しかしながら油は栄養学的には体にとって不可欠なものなので、体の健康を保つためには、やみくもに制限することは推奨されず、摂取する油の種類や摂り方に気をつけるという考え方が大切になります。
油は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の大きく2つの種類に分けられます。

飽和脂肪酸は常温で固形になりやすい油で摂取し過ぎると肥満や高LDLコレステロール血症を招き、心筋梗塞な6どの心血管疾患の発症リスクを高め、不飽和脂肪酸は常温でサラサラした液状の油で、特に魚の油に多く含まれるオメガ3は心疾患の発症リスクを下げることが知られています。オメガ3は脂質異常症の薬として内科外来等でもよく使われていますね。
先日、不飽和脂肪酸の中でもオメガ3が生物学的老化を遅らせる効果について、オメガ3(1日1g)単独の摂取で生物学的老化が3年間で約2.9~3.8か月遅延し、オメガ3の摂取だけでも老化遅延する効果が論文【1】に報告されました。これはオメガ3が老化の原因であるDNAメチル化を遅らせることによりますが、オメガ3は疾病リスクを下げるだけでなく、不老長寿にも一役買ってくれるのかもしれませんね。
さてそんなオメガ3ですが、青魚(サバ、イワシ、アジ、マグロ、ブリ)、脂肪の多い魚(サケ、マス、マグロ)、甲殻類、貝類などの海産物に多く含まれます。またエゴマ油・亜麻仁油にも豊富に含むので、1日2g(小さじ1杯分)を目安にサラダやヨーグルト、納豆にかけたり、飲み物に混ぜたりしても良いでしょう。ただ熱に弱く酸化しやすいので加熱料理には向きません。
オメガ3を日常に取り入れて健康長寿を目指しましょう。
(文献)
[1] https://www.nature.com/articles/s43587-024-00793-y
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